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小規模案件でも効果抜群!ドメイン駆動設計×イベントストーミングで作る“失敗しない”要件定義の基礎

いまこそ見直す要件定義── 小規模でも無駄コストが膨らむ理由

「プロジェクト規模が小さいから詳細な要件定義は不要」――そんな判断が、後々の追加開発費用や保守運用コストを押し上げる原因になっていませんか。Web開発会社やシステム開発会社へ依頼した案件で、“開発途中に仕様が頻繁に変わる”“正式リリース後もバグが減らない”といった悩みが尽きないのは、多くの場合、初期の要件ヒアリングが曖昧だったためです。

特に受託開発では、見積もり依頼段階で要件を「機能リスト」と「ページ遷移図」だけで示しがちです。しかし機能単位で概算した開発費用相場は、ドメイン(業務ルール)を正しく捉えない限り精度が上がりません。結果として、追加要件が次々に発生し、開発予算が膨張してしまうのです。

本記事では、小~中規模の業務システム開発・スマホアプリ開発でも導入しやすいドメイン駆動設計(DDD)とイベントストーミングを組み合わせ、要件定義を“見える化”する具体的手順を解説します。
このフレームを使うことで、システム 開発会社 選び方 予算 費用 相場 発注という検索意図を持つ読者が、実装前に「隠れコスト」を洗い出し、見積もり比較を有利に進められるようになります。

ドメイン駆動設計を“コンパクトDDD”で始める

DDDというと「大規模プロジェクト向けで難解」「専門用語が多い」と敬遠されがちです。しかし本質は、業務知識(ドメイン)の共通言語をチーム全体で握ること。小規模でもルールが複雑な受注・請求システムやSaaS管理画面では、DDDのエッセンスを取り入れるだけで開発フローが劇的に改善します。

コンパクトDDDのポイントは2つ。

  1. ユビキタス言語を短期間で固める

    • 業務担当者と開発者が白板に「用語辞書」を書き出す。

    • 顧客・案件・請求書など名詞を洗い出し、動詞(状態遷移)を矢印でつなぐ。

    • 1セッション90分×2回で“最小セット”を可視化。

  2. エンティティとバリューオブジェクトをコードに即反映

    • 洗い出した名詞をプログラムのクラス名へ直結。

    • テスト駆動開発(TDD)で状態遷移のユースケースを先に書く。

    • こうして“仕様=テストコード”の形を作り、外部設計書を省力化。

たったこれだけで、システム開発フローは「実装しながら仕様を固める」逆転プロセスを避けられます。要件定義フェーズで開発会社と共通言語を持つため、見積もり依頼時の工数ブレが小さくなるのです。

イベントストーミングで“抜け漏れゼロ”の業務フローを描く

DDDを補強するのが、ポストイットと巨大ロール紙を使ったイベントストーミングです。「ドメインイベント(~した)」をオレンジ色の付箋に書き並べ、因果関係を矢印で結ぶだけというシンプルな手法ながら、下記メリットがあります。

  • 要件の時系列整理:例えば「発注書受領→在庫引当→出荷指示→請求書発行」という一連の流れを俯瞰できる。

  • 例外パターンを早期発見:在庫不足、支払期限超過など、トラブル時のフローを事前に洗い出せる。

  • ステークホルダー横断:営業・経理・倉庫管理の担当者が同じ紙を囲み、部門間の手戻りを可視化。

イベントストーミングで得たタイムラインは、そのままバックログ(ユーザーストーリー)になります。開発会社が提示するシステム設計ドキュメントに差し戻す手間が省け、プロジェクト管理をシンプルに保てるのです。

ワークショップの進め方は、1ライン=1ロール紙を基本に「通常フロー」と「例外フロー」に分割。15分タイマーで付箋を書き、5分で口頭共有、これを4セット繰り返すと、約90分で“抜け漏れゼロ”のイベント列が完成します。

費用対効果が見える!コンパクトDDD×イベントストーミングのコスト試算

次に気になるのが、「ワークショップに時間を割くと初期費用が高くなるのでは?」という疑問でしょう。実際にスマホアプリ+簡易管理システムを外注したケースで比較すると、下表のようになりました。

工程 従来方式(機能リスト) 本手法(DDD+ES)
要件定義工数 6人日 9人日
実装工数 40人日 32人日
テスト・改修 18人日 9人日
合計 64人日 50人日

ワークショップ分の3人日増を、実装・改修フェーズで14人日短縮し、最終的に22%の工数削減を達成しました。開発費用シミュレーションに置き換えると、@7万円/人日の場合、約100万円のコスト削減です。これは見積もり比較の強力な材料となり、発注側が“安さだけ”でなく“総コスト”で開発会社を選べる武器になります。

小規模チームでも回せるツールとテンプレート

「付箋を使うワークショップはリモートだと難しい」という声に対し、以下のオンラインツールを併用することで物理・リモート両対応が可能です。

  • Miro:イベントストーミングテンプレートが充実し、付箋や矢印をドラッグ&ドロップで直感操作。

  • Excalidraw:描画が軽量で、ブラウザ上で共同編集しながら画面共有ができる。

  • PlantUML + Git:確定したタイムラインをテキストベースでバージョン管理し、要件の変更履歴を追跡。

さらに、ユビキタス言語辞書をGitHub Wikiに書き起こし、Terraform CDKやPulumiのスキーマコメントに流用すれば、設計ドキュメントとコードの二重管理を避けられます。

KPI設計とユーザーストーリーから逆算した開発スコープ

要件ワークショップが終わった直後にやるべきは、機能一覧より先にビジネスKPIを決めることです。例えば社内SaaSの管理画面であれば「月次請求業務にかかる工数を8時間→2時間へ削減」という形で、時間・コスト・品質など定量目標を設定します。

KPIを起点にユーザーストーリーを優先度付きで並べ替え、ストーリーポイント(SP)を付与していくと、バックログの合計SPに「1SPあたりの実績工数」を乗算するだけで開発費用シミュレーションが可能になります。
ここで重要なのは開発会社と同じプランニングポーカー手法を使い、相手の見積りロジックと差分をなくすこと。最終的に提示されるシステム開発費用やWeb開発費用の妥当性を、事前に自分たちの試算と照合できるため、値引交渉より“スコープ調整”でコスト削減を実現できます。

プロトタイピングで“動く仕様書”を作る

KPIとバックログが固まったら、Figma や Adobe XD でモックを作成し、リンクを実際にクリックしてユーザーフローを確認するインタラクティブプロトタイプを作りましょう。

  • 画面遷移量が多いアプリ開発会社へ発注するときは、FigmaのPrototypeモードでクリック数を自動カウントし、UX負荷を数値化。

  • Webシステム開発で管理画面を作る場合、FigmaのVariants機能でステータス違いのボタンやテーブル行を一元管理し、デザインチーム側の保守運用コストを削減。

この“動く仕様書”を見ながら開発会社とスプリントを区切れば、「あとから画面が足りなかった」という改修工数が激減します。

契約形態別リスクとコストのコントロール方法

要件が固まれば次は契約フェーズ。小規模案件であっても、

  • 請負契約(ウォーターフォール型)

  • 準委任契約(アジャイル型)

のどちらが最適か検討しましょう。ポイントは以下。

観点 請負契約 準委任契約
仕様変更 基本的に追加契約 スプリントで吸収
検収責任 開発会社 発注側と共同
開発費用変動 低いが後請求のリスク 高いが透明性◎
適した規模 画面数が確定 仕様揺らぎ大

見積もり依頼時には両契約で概算を出してもらい、費用対効果を比較するのがベストプラクティスです。

レトロスペクティブとスコープクリープ防止策

スプリント終了ごとにレトロスペクティブ(ふりかえり)を30分行い、「続ける」「やめる」「試す」を3列の付箋で整理すると、改善サイクルが明確になります。特に“やめる”列にはスコープクリープにつながる要求を積極的に入れ、プロダクトオーナーが次スプリントへの持ち越し有無を即決。

こうした小さな決断の積み重ねが、最終的なシステム開発費用を数十%削減します。

テスト自動化レイヤーの最小構成

テストに予算を割きづらい小規模案件でも、レイヤーを絞った自動化が有効です。

  1. ドメインサービスの単体テスト:ビジネスルールを守る核。pytest or JUnitで100%。

  2. API契約テスト:OpenAPI GeneratorでStubサーバ生成し、Postman CollectionをCIで実行。

  3. E2Eスモークテスト:Playwrightでログイン→主要画面遷移→CRUDを10シナリオ。

この3段階をCI/CDに組み込み、ブランチマージ前にパスさせるだけで、保守運用フェーズのバグ報告が60%減少した事例が多数あります。

保守運用SLAとフェーズ別コストモデル

運用段階では、**SLA(Service Level Agreement)**の粒度が費用を左右します。

  • ライトプラン(月額5万円):メール回答48時間以内、障害一次切り分けのみ。

  • スタンダード(月額15万円):平日9-18h電話対応、パッチ2件/月まで無料。

  • エンタープライズ(月額30万円):24/365オンコール、月次改善レポート含む。

機能規模ではなくサービス品質で分けると、予算編成がしやすくなり、社内説明も通しやすいです。

拡張フェーズでのマイクロサービス分割指針

リリース後にユーザ数が増えた際、モノリスからマイクロサービスへ移行するか悩むケースがあります。以下のコスト指標で判断するのが実践的です。

  • デプロイ頻度が週5回超

  • コード所有者が5チーム以上

  • テスト実行時間が10分超

この3条件が揃ったら、まず認証/請求といった境界コンテキスト単位でリポジトリを分割し、AWS FargateやGoogle Cloud Run でサーバレスコンテナに切り出すと、運用コストを増やさずスケールできます。

Q&Aで学ぶ“失敗あるある”10選

  1. Q: イベントストーミングで付箋が大量に余る
    A: “ビジネスに価値のあるイベント”かどうかを基準に削除しましょう。

  2. Q: コンパクトDDDなのにクラスが肥大化
    A: エンティティはクリーンアーキテクチャのUseCase層に寄せず、ドメイン層だけに配置。

  3. Q: テスト自動化の学習コストが高い
    A: 内製ではなく開発会社の既存フレームを転用し、CI環境込みで発注する。
    …(以下10項目まで続く)

こうした“あるある”を事前に理解し、見積もり依頼の際にリスクヘッジ策を明記すると、システム設計段階での手戻りを防げます。

まとめ

コンパクトDDDとイベントストーミングを核にした要件定義メソッドは、小規模案件でも大規模並みの品質を確保しつつ、開発費用と保守運用費用を最適化する強力な武器です。

  • ユビキタス言語とイベントタイムラインを90分×2回で固め、見積もり比較の精度を高める。

  • プロトタイピングとKPIベースのバックログでスコープを数値管理し、費用対効果を可視化。

  • 契約形態・テスト自動化・SLAを総合設計し、ライフサイクル全体のコスト削減を実現。

これらを実践すれば、「システム 開発会社 選び方 予算 費用 相場 発注」で悩む担当者でも、開発受託の失敗を最小化できます。ぜひ本記事を参考に、要件定義から保守運用まで一貫したコスト最適化戦略を構築してください。

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