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開発ユースケース紹介

AIチャットボットで業務効率革命!社内ナレッジ自動化プラットフォームの構築事例

企業のDX推進において、社内ナレッジの共有と活用は重要なテーマです。膨大なドキュメント検索や問い合わせ対応にかかる時間を短縮し、現場の生産性を劇的に向上させるソリューションとして、AIチャットボットを活用した社内ナレッジ自動化プラットフォームの導入事例を紹介します。相見積もりを検討する際のポイントや、システム開発会社選びの観点も押さえつつ、ユースケースの背景から要件定義、設計・開発、運用保守に至るまで、実践的に解説していきます。

ユースケース背景と課題整理

大手製造業A社では、製品設計部門や品質管理部門、営業部門など社内各部署に蓄積された技術資料・マニュアルの検索に平均10分以上かかることが常態化していました。また、情報更新時にはメールやイントラ掲示板への通知のみで、古いドキュメントが放置されるケースも多発。結果としてミスコミュニケーションや確認漏れによるトラブルが月数件発生し、年間数千時間の工数がムダになっていました。
こうした課題を解決するべく、以下の要素を含むプラットフォーム構築を立案:

  • 社内ドキュメント(PDF/Word/Confluenceページなど)の一元インデックス化

  • AI自然言語処理による全文検索とチャット形式の対話インターフェース提供

  • 権限管理と更新ワークフロー連動による情報鮮度担保
    案件のゴールは「情報検索時間を平均10分→1分以内」「社内問い合わせチャネル数を50%削減」の達成です。

システムアーキテクチャ概要

全体はフロントエンド、APIレイヤー、ドキュメントインデックス基盤、AI検索エンジン、認証/権限管理、運用監視の6つのコンポーネントで構成。
フロントエンドにはReact+TypeScriptでチャットUIを実装し、ユーザーのクエリを自然言語として入力。APIゲートウェイ(AWS API Gateway)が呼び出しを受け、バックエンドのLambda関数でまず認証・権限チェックを行います。
ドキュメントインデックスにはElasticsearchを採用。定期ジョブでConfluence APIやS3上のPDF/Wordを収集し、全文を解析・構造化して格納。検索時にはBERTベースのAIモデル(Amazon SageMaker上)でクエリの意図をベクトル化し、類似度スコアを元に上位ヒットを返却する流れです。
権限管理にはKeycloakを利用し、OAuth2.0/OpenID ConnectでSSO連携。社内Active Directoryとの同期により、所属部署や役職ごとの閲覧範囲を厳格に制御します。
運用監視はPrometheus+Grafanaでメトリクス監視、Elasticsearch+Kibanaでログ集約し、Slack通知とPagerDuty連動でアラート対応を自動化しました。

開発フェーズと重点ポイント

要件定義フェーズでは、ステークホルダー(設計部門長、品質保証責任者、情報システム部)のヒアリングを通じ、検索対象ドキュメントのフォーマットや更新頻度、ユーザー像を整理。具体的には「週次で更新されるマニュアル」「月次レポート」「緊急時トラブルシュート情報」など、ドキュメントの分類ごとに更新ワークフローを設計しました。
設計フェーズでは、ERDとシーケンス図、インフラ構成図を並行作成。特にAI検索エンジン周りはプロトタイプでSageMakerノートブック上でクエリ応答精度を検証し、学習データとして社内過去問い合わせログをラベル付けして精度向上策を講じました。
開発フェーズはアジャイルで2週間スプリントを6回設定。各スプリントで以下を順次実装:

  1. ドキュメント収集ジョブ + スケジューラ

  2. Elasticsearchインデックス + 権限フィルタリング

  3. チャットUI + API連携

  4. AI検索モデル組み込み

  5. SSO/Keycloak連携

  6. モニタリング・アラート機構
    CI/CDはGitHub Actions+TerraformでIaC化し、ステージング環境→本番環境へのパイプライン自動化を実現。テストカバレッジはユニット80%以上、E2Eテスト自動化によるリグレッション防止を徹底しました。

開発会社選びの要点

チャットボットやAI検索エンジンを活用した独自プラットフォーム開発では、以下の視点で開発受託先を比較検討することが重要です。
技術適合性:自然言語処理や機械学習の実績があり、SageMakerやTensorFlow、PyTorchを運用できるか。
要件定義力:ステークホルダー調整力とドキュメント化スキル、業務フローを可視化して具体化できるか。
インフラ設計力:IaC/Terraformでのクラウド構築経験、本番運用に耐えうる冗長化・可用性設計が可能か。
コスト感把握:AI推論コストやElasticsearchクラスタ運用コストなどを踏まえた見積もりができるか。
保守運用体制:リリース後のアラート対応、障害時のオンコール、バージョンアップ作業を含むSLAを提示できるか。
これらの項目を基に各社の提案書を評価し、技術面・コスト面・コミュニケーション面のバランスで最適なパートナーを選びましょう。

導入効果と成果モニタリング

本番リリースから3ヶ月後の効果検証では、検索時間が平均10分→約30秒に短縮。問い合わせ件数は導入前月比で52%削減となり、想定目標を上回る成果を達成しました。
具体的には、品質管理部門ではトラブルシュート情報検索時間が平均8分→20秒に削減され、問題解決までのリードタイムが70%短縮。設計部門では過去仕様確認のためのメール往復が月30件→10件に減り、プロジェクトリードタイム全体で5%の短縮効果が得られています。
これらの数値はPrometheusのメトリクスとElasticsearchのクエリログを基に可視化し、週次ダッシュボードで経営層へ定点報告。効果改善サイクルを回すことで、利用推進施策やAIモデルチューニング項目の優先順位をリアルタイムに見直しています。

運用・保守のポイント

運用開始後は、ドキュメント更新漏れやAIモデルの精度劣化を防ぐため、以下の運用フローを定義。

  • 毎朝00:00にドキュメント収集・インデックス更新ジョブを実行

  • 毎週金曜に検索ヒット率やユーザー満足度アンケートを集計し、チューニング要件を確定

  • 月次でAIモデル再学習とElasticsearchチューニングパラメータの見直し

  • Slack通知によるインデックス更新エラーや認証エラーの即時対応
    これにより、運用開始から半年経過時点でも検索精度99.2%、稼働率99.8%を維持。SLAで定めた「月間ダウンタイム30分以内」「検索クエリエラー率1%以下」を大幅にクリアしています。

今後の拡張性とロードマップ

初期導入では社内ナレッジ共有にフォーカスしましたが、今後は以下の拡張を予定しています。

  • 多言語対応:海外拠点の英語・中国語ドキュメントを対象にAI翻訳+検索機能を実装

  • 音声インターフェース:会議録音の文字起こし結果を検索対象にすることで、議事録活用を促進

  • 外部連携:SalesforceやSlack上の問い合わせ履歴を取り込み、FAQ自動生成機能を追加

  • ナレッジ推薦:機械学習でユーザー行動ログを分析し、関連ドキュメントをレコメンド
    これらはクラウドネイティブなマイクロサービス構成を採用しているため、既存インフラを活かしつつ段階的にローリングデプロイ可能です。

チーム体制とガバナンス

プロジェクト推進チームは、プロジェクトマネージャー1名、AIエンジニア2名、インフラエンジニア1名、フロントエンドエンジニア2名、QAエンジニア1名の計7名体制。
週次でステークホルダー会議を開催し、要件変更やリスクを迅速に共有。開発受託先とのコミュニケーションはSlackとConfluenceで一元管理し、決定ログや設計書はすべてWiki化。
品質保証として、テストカバレッジレポートとE2E結果を毎日自動配信し、リグレッションリスクをリアルタイムに可視化する仕組みを整えました。

相見積もり比較の実践術

受託先選定時には、以下3社から提案を取得し、技術力とコストパフォーマンスを比較しました。

  1. 大手SIer系A社:要件定義力とドキュメント化は高評価も、AI実装部分は外部パートナー依存で割高見積もり

  2. AIスタートアップB社:AI自然言語処理に強く、初期PoC費用は低価格。インフラ運用体制にやや懸念

  3. Web系中堅C社:フルスタック対応可能でコンサルから開発、運用まで一貫。コストはA社の70%程度
    評価軸は「提案内容の詳細度」「リスク管理体制」「見積構成の透明性」「コミュニケーション頻度」の4点。
    最終的にC社を採用し、要件定義~デリバリ~運用までワンストップで一貫して依頼。費用対効果の高い体制を実現できました。

まとめ

AIチャットボットによる社内ナレッジ自動化プラットフォームは、単なる検索ツールではなく、組織全体の情報流動性を高める“ナレッジハブ”として機能します。本事例では、検索時間短縮や問い合わせ削減といった定量効果に加え、組織文化としての「ナレッジシェアリング」の定着を促進しました。
開発受託先の選び方では、技術適合性・要件定義力・運用体制・コスト感を多面的に評価し、最適なパートナーを選定することが成功の鍵です。今後は多言語対応や外部連携による更なる拡張を見据え、リリース後も継続的改善を図ることで、真のDX実現を目指しましょう。

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