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GraphQL API開発フレームワーク徹底比較:Apollo Server・Hasura・PostGraphileの選び方

GraphQL導入のビジネスメリットとユースケース

近年、REST APIに代わる柔軟なデータ取得手段としてGraphQLが注目を集めています。複数のエンドポイントを呼び分けずに必要なデータだけを一回のクエリで取得できるため、クライアント開発の生産性向上や通信コストの最適化に寄与します。ビジネス要件としては、以下のようなケースで導入が検討されます。

  • モバイルアプリ:ネットワーク帯域が限られた環境で、必要なフィールドのみを効率的に取得

  • SPA(Single Page Application):フロントエンドのリアクティブ更新に合わせた細かなデータ操作

  • マイクロサービス統合:各サービスのデータを一箇所に集約し、クエリごとに最適化

  • B2Bパートナー提供API:自社システムを外部開発会社に提供する際、自由度の高いデータ取得を可能にする

GraphQLを導入すると、エンジニアリングの初期コストはやや高まることが多いですが、中長期的にはフロントエンド・バックエンド双方の開発効率がアップします。システム全体の費用相場を検討する際は、フレームワーク選定から発注する開発会社のスキルセット、予算感、ランニングコストを総合的に評価してください。

Apollo Serverの特徴と活用ポイント

Apollo ServerはGraphQLエコシステムで最も普及しているフレームワークの一つです。JavaScript/TypeScriptで実装されており、ExpressやKoaといった既存のHTTPサーバーと統合しやすいのが強みです。

  • スキーマ定義:SDL(Schema Definition Language)とコードファーストの両方に対応

  • データソース統合:RESTやSQL、NoSQLに対するDataSource APIでキャッシュ制御やフェッチ最適化が可能

  • Apollo Studio連携:クエリパフォーマンス分析やエラー追跡、スキーマ管理がGUIで完結

  • コミュニティ:プラグインやサンプルが豊富で、開発会社に依頼する際もノウハウ共有が容易

Apollo Serverを採用するメリットは、開発会社選びの際にJavaScriptエンジニアが多く対応可能な点です。初期導入予算はミドルウェア構成込みで約300万~500万円、運用フェーズでは月額20万~30万円のDevOpsコストが相場となります。Apollo Studioの有償プランを契約すると年間数十万円の追加費用が発生しますが、チーム内でスキーマ変更やパフォーマンスチューニングを自己完結できるため、長期的には投資効果が高いと言えます。

Hasuraの特徴と活用ポイント

Hasuraは「PostgreSQLのテーブルを即座にGraphQL API化」するフレームワークで、開発スピードと運用コストの低減に優れています。

  • 自動スキーマ生成:データベースのDDLを元にGraphQLスキーマを動的生成

  • リアルタイムサブスクリプション:WebSocketベースでのリアルタイム更新を標準サポート

  • 認可機能:カラム/行レベルのアクセス制御をGUIとYAMLで細かく設定可能

  • サーバーレス対応:Kubernetes、Docker、Hasura Cloudでマネージド運用が可能

Hasuraを選ぶと、スクラッチでエンドポイント設計を行う工数が大幅に削減されるため、初期開発予算は200万~400万円程度に抑えられます。サーバーレスのHasura Cloudの場合、月額費用がクエリ数によって決まり、低トラフィックなら5万円前後の相場も可能です。反面、複雑なビジネスロジックをDBトリガーやRemote Schemaで実装するとコストが増えるため、発注時に要件定義で「ロジック範囲」をしっかり定めておくことが重要です。

PostGraphileの特徴と活用ポイント

PostGraphileはPostgreSQLの機能を最大限活用し、最小限の設定で高性能なGraphQLサーバーを立ち上げられるOSSプロジェクトです。

  1. 高パフォーマンス:SQLクエリの自動最適化とプリペアドステートメント対応

  2. プラグイン機構:Graphile Buildプラグインで認証、カスタムリゾルバを拡張

  3. スキーママイグレーション:ポストグレスのマイグレーションツールと連携可能

  4. コマンドラインpostgraphile CLIひとつで起動できる手軽さ

PostGraphileの導入コストは、フルマネージド環境を利用しない場合でも初期200万~350万円が相場です。比較的シンプルなシステム構成なら、追加ライブラリやカスタム開発を最小限に抑えられるため、発注予算を堅めに見積もる必要はありません。一方、高度な認可ロジックやマルチテナント対応などを行う場合は、プラグイン開発工数が増え、人月単価(約80万~100万円)ベースで追加予算を確保しておきましょう。

フレームワーク別コスト比較

GraphQLフレームワークを導入する際の初期費用とランニングコストの相場感は以下のとおりです。

  • Apollo Server

    • 初期導入費用:300~500万円

    • 開発会社への発注範囲:スキーマ設計、DataSource実装、Apollo Studio連携

    • ランニングコスト(月額):20~30万円(サーバー運用+Apollo Studio有償プラン含む)

  • Hasura

    • 初期導入費用:200~400万円

    • 発注ポイント:データベース接続設定、認可ポリシー設計、Hasura Cloud契約

    • ランニングコスト(月額):5~15万円(Hasura Cloud利用料)

  • PostGraphile

    • 初期導入費用:200~350万円

    • 発注範囲:プラグイン開発、マイグレーション設定、パフォーマンスチューニング

    • ランニングコスト(月額):15~25万円(オンプレ/コンテナ運用含む)

各フレームワークは人月単価(80~120万円/人月)やライセンス・クラウド費用が異なるため、発注前に必ず「予算」「費用」「相場」を確認し、開発会社選びのスコープに盛り込むことが重要です。

パフォーマンス比較とスケーラビリティ

フレームワークごとのスループット性能やスケール特性はシステム要件に直結します。

  1. Apollo Server

    • Node.jsベースのためIO待ちに強いが、CPUバウンド処理にはオートスケールで対応

    • クラスタ構成で水平スケールが容易、Kubernetes上のPod数増減で対応可能

  2. Hasura

    • Haskell製コアにより低レイテンシ。DB直結のためネットワーク往復を最小化

    • 自動サブスクリプション拡張性が高く、WebSocket接続数増加に対応しやすい

  3. PostGraphile

    • PostgreSQLのプリペアドステートメントを多用し、同一クエリであれば高速

    • シンプルな構造でCPU/メモリフットプリントが軽く、小規模~中規模に最適

ベンチマーク結果(例:同時1,000クエリ負荷時)

  • Apollo:平均応答100ms、ピーク150ms

  • Hasura:平均応答60ms、ピーク90ms

  • PostGraphile:平均応答70ms、ピーク120ms

高トラフィック環境ではHasuraの採用が費用対効果に優れますが、カスタムロジックが多い場合はApolloかPostGraphileの柔軟性が魅力です。

導入時のチェックリストと開発会社選びのポイント

GraphQLフレームワーク導入を成功させるため、発注前に以下チェックリストを確認しましょう。

  • 要件定義の明確化

    1. 必須フィールド・オプショナルフィールドの洗い出し

    2. クエリ頻度・同時利用数などの非機能要件設定

  • 技術的適合性

    • 既存システム(DB、認証基盤)との親和性

    • 社内SEのスキルセットに合う言語/フレームワーク

  • コスト見積もり

    • 人月ベースの開発費用+ライセンス/クラウド相場

    • 追加フェーズ(スキーマ拡張、運用保守)の費用感

  • 品質保証体制

    • 自動テストカバレッジ(ユニット・E2E)の合意

    • Lint・フォーマットツールの導入(GraphQL Code Generator等)

  • 運用・保守サポート

    • SLA/MTTR目標の設定

    • ドキュメント・オンボーディング計画

開発会社を選ぶ際は、これらチェックポイントをRFPに盛り込み、相見積もりで各社の得意領域と相場感を比較することが成功のカギです。

今後のトレンドと注意点

GraphQLエコシステムは日々進化しており、以下のトレンドに注目が集まっています。

  • Schema Federation/GraphQL Mesh

    • マイクロサービス間でスキーマを分散管理し、統合型APIを構築

  • Serverless GraphQL

    • AWS AppSyncやAzure Functionsとの連携で運用コストをゼロベースに最適化

  • リアルタイム機能強化

    • データ同期待機能(Live Queries)やストリーミングAPIの標準化

  • セキュリティ自動化

    • スキーマ脆弱性スキャン(GraphQL Inspector等)で安全性を継続評価

一方で、過度なスキーマ肥大化やN+1問題などのパフォーマンスリスクにも注意が必要です。最新フレームワークでは自動最適化プラグインが増えているため、発注前に「どのプラグインを導入するか」「予算内でどこまで最適化するか」を決めておくと良いでしょう。開発会社との契約には、これら最新技術のキャッチアップ範囲と追加予算条件を明記することをおすすめします。

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