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APIファースト開発入門:外部連携を見据えたシステム設計の基礎知識

APIファースト開発とは、バックエンド・フロントエンド・外部システム連携を意識し、まずAPIの設計から着手する手法です。従来の画面設計後にAPIを後付けする流れと異なり、APIを主軸に据えることで拡張性・再利用性が高いシステムを構築できます。特に近年、AIチャットボットやモバイルアプリ、SaaS連携など、多様なクライアントがバックエンドと通信する場面が増え、開発会社選び方や予算・費用の見積もりにもAPI設計の品質が大きく影響しています。この記事では、ITに詳しくない経営者や初めてシステム発注を担当する事業担当者の方にもわかりやすく、APIファースト開発の基礎を解説します。

APIファースト開発のメリットと全体像

APIファースト開発では、最初にAPI仕様書を作成し、その仕様をもとにバックエンド実装やUI開発、外部連携を進めます。こうした手法には下記のようなメリットがあります。

  • 再利用性の向上:API化された機能は複数のクライアント(Web、モバイル、IoT)から再利用可能です。

  • 開発分業の促進:API仕様書を基準にバックエンド、フロントエンド、外部連携担当が並行開発でき、スピードアップします。

  • 後からの拡張が容易:新たなサービス連携やチャットボット導入など、API呼び出し先を増やすだけで機能拡張が可能です。

  • 品質担保:仕様定義段階でエラーコードやレスポンスフォーマットを固めることで、後工程での手戻りを減らせます。

  • コスト見積もりの精度向上:発注時にAPI仕様を明確にすることで、開発会社への相場感ある見積依頼がしやすくなり、予算超過リスクを抑えられます。

APIファーストの全体像は以下のとおりです。

  1. 要件定義:ビジネス要件を整理し、どの機能をAPI化するかを決定

  2. API設計:エンドポイント、リクエスト/レスポンス、認証方式を仕様書化

  3. Mockサーバー構築:API実装前にモックを用意し、フロントエンドと連携テスト

  4. バックエンド実装:仕様に従って開発会社がサーバーサイドを構築

  5. 統合テスト:クライアントや外部システム連携を含む総合テスト

  6. リリース・運用:APIドキュメントを社内外に公開し、バージョン管理を実施

この流れを踏むことで、機能ごとの費用・工数を明確にしやすく、開発会社への発注や予算策定がスムーズになります。

REST vs GraphQL:選び方とコストの比較

APIファースト開発において最も多く選ばれるAPIスタイルがRESTとGraphQLです。それぞれの特徴と、開発費用や運用コストへの影響を整理します。

REST APIの特徴と費用面

  1. エンドポイント設計:資源(リソース)ごとにURLを定義

  2. HTTPメソッド活用:GET/POST/PUT/DELETEなど、標準的な操作を割り振り

  3. キャッシュ対応:標準HTTPキャッシュヘッダーで応答をキャッシュできる

  4. ドキュメント生成:OpenAPI(Swagger)で自動的に仕様書を生成可能

費用面では、RESTはフレームワーク(Express, Spring, Django等)が充実しており、開発会社に依頼する場合の相場は比較的安価です。ただし、エンドポイントが増えるとメンテナンスコストやAPIドキュメントの更新コストが大きくなる点に注意してください。

GraphQLの特徴と初期投資

  1. 単一エンドポイント:柔軟なクエリで必要なデータを一度に取得

  2. 型システム:スキーマ定義により型安全なAPIを実現

  3. 過剰取得・不足取得の解消:必要なフィールドのみをクエリで指定可能

  4. リアルタイムサブスクリプション:WebSocketを用いたプッシュ通知が容易

GraphQLは初期設計やスキーマ定義に時間がかかるため、開発会社への発注費用・相場はRESTに比べ若干高めです。一方で、クライアント開発工数を大幅に削減できるため、スマホアプリや多様なクライアントを同時開発する場合には総合的な費用対効果が高まります。

選び方のポイント

  • クライアントが複数・動的:GraphQLを選択すると良い

  • 単一画面・シンプルなCRUD:RESTでコストを抑制

  • 将来的な連携拡張性:GraphQLのスキーマ拡張性が有利

  • 開発会社のスキル・体制:GraphQL未経験の場合はRESTでの発注が安全

APIドキュメンテーションのベストプラクティス

APIファースト開発では、ドキュメントの充実度がプロジェクト成功の鍵を握ります。仕様を明文化しておくことで、社内SEや外部ベンダー間の認識ずれを防ぎ、品質保証や運用コストの平準化が可能です。特に以下のポイントを押さえてドキュメントを整備しましょう。

  • 自動生成と手動補完の併用:OpenAPI(Swagger)やGraphQL SDLでベース仕様を自動出力し、サンプルコードやユースケースは手動で詳述

  • 例示レスポンスの掲載:成功時とエラー時のJSON例を具体的に示すことで、クライアント側の実装工数を削減

  • 変更履歴の管理:バージョンごとにどこが変わったのかが一目でわかるように、Changelogを用意

  • 認証・認可フローの可視化:OAuth2やAPIキー発行の手順をフロー図にまとめることで、発注側も運用側も混乱を防止

  • FAQセクション:実際の運用でありがちなつまずきポイントをQ&A形式で補足

ドキュメントの品質を高めることで、追加開発や保守を外注する際のコスト見積もりも安定します。特に複数の開発会社にRFPを投げる際、「ドキュメントが整備されていること」はベンダー選び方の評価基準にもなるため、発注前の準備段階でしっかり整備しておきましょう。

エラー設計とバージョン管理のポイント

API運用で未然にトラブルを防ぐには、エラーコード設計とバージョン管理のルール設定が欠かせません。

  1. HTTPステータスコードの適正活用:400系はクライアントエラー、500系はサーバーエラーと分け、エラー時のレスポンスに必ずcodeとmessageを含める

  2. エラーコード一覧の公開:各エラーにユニークな番号を振り、想定される原因と対処法をドキュメントに掲載

  3. 後方互換性を意識したバージョニング:パラメータ追加はマイナーバージョンアップ、仕様変更や削除はメジャーバージョンアップと区分

  4. Deprecationポリシーの透明化:古いバージョンの廃止時期を前倒しで通知し、クライアント移行のスケジュールを明示

  5. モニタリング連携:エラー発生率を可視化し、一定閾値超過で開発チームにアラートを上げる仕組みを構築

これらの設計を行うことで、想定外のリクエストや誤ったパラメータ送信によるコスト増を最小化できます。ドキュメントにエラーコード一覧を盛り込むことで、開発会社からの見積時にも「あいまいな要件」を減らし、予算の透明性が向上します。

セキュリティ設計の基本

APIファースト開発におけるセキュリティは、単なる認証・認可だけでなく、データ保護やインフラ構成まで含みます。以下の項目に留意しましょう。

  • 認証方式の選定:OAuth 2.0、JWT、APIキー発行など事業要件に適した方式を選ぶ

  • 暗号化通信の徹底:全エンドポイントでHTTPSを強制し、証明書は自動更新できる仕組みを利用

  • レートリミットの設定:DDoS攻撃やなりすまし抑止のため、IP/ユーザー単位でリクエスト上限を設計

  • 入力検証とサニタイズ:SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)への基本対策を行う

  • 脆弱性スキャンの定期実施:APIやインフラを対象に自動スキャンを定期実行し、発注後の運用体制で継続的にチェック

セキュリティ設計に手間をかけることで、リリース後の脆弱性対応費用や信用失墜リスクを大幅に低減できます。特に金融やヘルスケアなど機密情報を扱うシステムでは、クラウドWAFやID統合認証との相性も考慮し、総合的な予算策定を行いましょう。

クラウドサービスとAPIファーストの相性

AWS、Azure、GCPなど主要クラウドには、APIファースト開発を支援するPaaSやマネージドサービスが豊富に用意されています。採用例とコスト影響を比較します。

  1. API Gateway & Functions:サーバーレスアーキテクチャでAPIを管理し、呼び出し料金に応じた従量課金

  2. App Service & Container Instances:Docker化したAPIサーバーを簡易デプロイし、自動スケール対応

  3. Managed GraphQL Services:Apollo StudioやHasuraなど、スキーマ管理とバージョン管理をクラウド上で一元化

  4. CI/CDパイプライン連携:Cloud BuildやCodePipelineと連携し、自動テスト→自動デプロイを実現

クラウドサービスを活用すると、初期投資を抑制しつつ、運用フェーズでの費用を最適化できます。ただし、従量課金の料金体系やデータ転送料金が複雑なため、事前に見積ツールを用い、予算内に収める工夫が必要です。

まとめと次のステップ

APIファースト開発は、システムやアプリ開発において将来の拡張性や外部連携を見据えた設計手法です。今回ご紹介したメリット・設計ポイントを押さえれば、予算や費用の無駄を削減しつつ、開発会社への発注もスムーズになります。

  • APIドキュメンテーションとモックサーバーで並行開発を

  • REST/GraphQLの特徴を理解して技術選択を最適化

  • エラー管理・バージョニング、セキュリティ設計を必須要件に

  • クラウドサービス活用で運用コストを効率化

まずは現在進行中のプロジェクトや次回発注時に、APIファーストの考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか?開発費用の目安を簡単チェックしたい場合は、こちらからどうぞ。

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