システムの使いやすさは「エラーメッセージ設計」で決まる?ユーザーと開発者をつなぐ見えない設計の重要性

アプリやシステムを使っていて、「何かエラーが出たけど、どうすればいいのかわからない」と感じた経験はありませんか?
あるいは、「エラーが出たのに、画面には何の説明も出てこない」といった不親切な設計に不満を感じたことがあるかもしれません。
こうした問題の背景には、「エラーメッセージ設計」の軽視があります。エラー表示は、単に不具合を知らせるためだけではなく、ユーザーの行動をサポートし、ストレスなく目的を達成してもらうための“案内役”でもあります。
この記事では、開発会社とのやり取りや見積もり検討時にも役立つよう、エラーメッセージ設計の基本と実務上の注意点、依頼側として意識しておきたい視点を整理して解説します。
よくある課題:エラー表示が不十分だと、ユーザー離脱や問い合わせ増加の原因に
アプリやシステムにおけるエラーは、ユーザーの入力ミスや通信不良など、さまざまな場面で発生します。しかし、そのときに「何が起きたのか」「次に何をすればいいのか」が分からないと、ユーザーは不安を感じ、時には利用をやめてしまうことさえあります。
実際に起こりやすいトラブルには、以下のようなものがあります。
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フォームに入力ミスがあっても「エラーです」しか表示されない
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通信障害など一時的な不具合でアプリが真っ白になってしまう
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管理画面でデータ保存に失敗しても何の反応もない
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ユーザーが何度も同じ操作を繰り返してしまい、サーバーが過負荷になる
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問い合わせ件数が想定より多く、サポート対応がひっ迫する
これらは、「エラーメッセージを適切に設計しておけば未然に防げた」ケースも少なくありません。裏を返せば、エラー表示の設計は、UI/UXだけでなく業務効率や顧客満足にも直結する重要な設計領域なのです。
技術的背景:エラーには種類がある。だからこそ設計が必要
エラーメッセージと一口に言っても、その発生要因や設置場所はさまざまです。設計の基盤として、まず「どんなエラーがあるのか」を整理しておくことが重要です。
1. 入力ミス(バリデーションエラー)
最もよく見かけるのが、フォーム入力時のミスによるものです。
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メールアドレスの形式が間違っている
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必須項目が未入力
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パスワードが文字数の条件を満たしていない
こうしたエラーはリアルタイムで表示され、どの項目でエラーが起きているのかが明確である必要があります。
2. システムエラー(予期しない障害)
サーバーの不具合、通信障害、予期せぬ例外処理などが原因で、システム内部で何らかの異常が起きた場合です。
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「500 Internal Server Error」などの一般的なサーバーエラー
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タイムアウトやデータベース接続エラー
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外部APIからの異常応答
この場合は、「原因不明」とせず、少なくとも「時間をおいて再度お試しください」など、ユーザーの次の行動を示すことが望まれます。
3. ビジネスロジックに基づくエラー
ユーザーの操作そのものは正しくても、業務ルール上NGとなるようなケースです。
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予約枠がすでに埋まっている
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上長の承認が必要な処理を飛ばして進もうとしている
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同一アカウントで複数ログインできない仕様になっている
この種のエラーは、業務フローに深く関係するため、「なぜダメなのか」の説明がとても重要になります。
エラーメッセージ設計で確認すべき要素
エラーメッセージの設計は、単に「表示させるかどうか」だけでなく、いくつかの設計要素を整理しておくことが重要です。
エラーの場所と形式をどう表示するか
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入力フォームの場合は、どの項目でエラーが起きたかを明確に表示
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ポップアップ/バナー/画面上部メッセージなど、状況に応じて使い分け
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モバイルでは画面の狭さも考慮して、目立つ表示にすることが大切
ユーザーにとって「次に何をすればよいか」が伝わるか
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単なる「エラーが発生しました」ではなく、「●●を修正してください」と具体的に指示
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再入力や再試行の可否についても明示する
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操作ガイドやFAQへのリンクを添えるのも有効
システム側でログを取得できる設計になっているか
ユーザーに表示するエラーメッセージとは別に、開発者側で内部エラーを把握できるよう、ログ出力の仕組みも併せて設計されていることが望ましいです。
トラブル時の原因特定と早期復旧につながります。
想定外の事象に対する「最後の砦」は用意されているか
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アプリがフリーズして何もできなくなる
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画面が真っ白でボタンも戻る手段もない
こうした「完全停止」を防ぐために、最低限のリカバリーメッセージや、トップページへのリダイレクト、再ログインの促しなどが設計されていると、ユーザー体験は大きく改善されます。
提案や見積もり時に確認すべき視点
エラーメッセージは、開発工数がわかりやすく見積もられる領域ではないため、提案書やワイヤーフレームでの扱いが軽くなることもあります。しかし、だからこそ以下の視点で確認しておくことが重要です。
フォーム入力エラーの表示がどのように設計されているか
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各入力項目ごとのエラー表示の位置と形式は設計されているか
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入力補助(例:リアルタイムバリデーション)の有無はあるか
業務ルールに紐づく制限エラーへの配慮があるか
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利用フローの中で、ユーザーにとって混乱が起きやすいポイントはどこか
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その際に表示されるエラーメッセージの文言が想定されているか
汎用エラーと詳細エラーを分けて考えているか
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予期しないエラーが起きた場合の共通メッセージはあるか
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ログにだけ詳細を出し、ユーザーには簡潔に表示する設計になっているか
テスト時にエラー発生時のシナリオが含まれているか
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想定されるすべてのエラーを網羅したテスト計画があるか
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実際にどんな文言が表示されるかのチェックも含まれているか
まとめ:エラーメッセージは「不満の原因」ではなく「信頼の要」にできる
多くの人が「使いづらい」と感じるアプリやシステムの裏には、適切なエラーメッセージ設計がなされていないケースがあります。
一方で、丁寧なエラー表示があるだけで、ユーザーは「ちゃんと考えられている」「安心して使える」と感じることができ、結果的にサービスへの信頼や継続率向上にもつながります。
開発を依頼する立場としては、「エラーメッセージの設計まで意識した提案がされているか」「それが運用面での問い合わせ削減にもつながるのか」といった視点で提案内容を読み解くことで、見積もりの妥当性や開発会社の配慮レベルを判断する材料になります。
アプリやシステムの成功は、見えない部分の細やかな設計に宿るものです。
ぜひ、エラーメッセージという“見えにくいけれど大事な要素”にも、注目してみてください。