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アプリ・システム開発の基礎知識

システム開発における「業務用ダッシュボード設計」の基礎知識と実装の考え方

企業のシステム開発において、「管理画面」や「業務用ダッシュボード」は単なる補助的な機能ではなく、業務の生産性や意思決定のスピードに直結する極めて重要な要素です。特に、データの可視化と一元管理を可能にするダッシュボードの設計次第で、業務効率や社内の情報共有文化そのものが大きく変化することもあります。

本記事では、開発を外注しようと情報収集中の担当者や事業責任者に向けて、「業務ダッシュボード設計」の基礎知識を体系的に整理し、設計・開発を受託する会社とのやりとりにおいて見落とされがちな重要観点を掘り下げて解説します。

なぜ今「業務ダッシュボード設計」が注目されているのか

昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務効率化の波を受け、多くの企業が従来のExcel管理や紙運用から脱却を図っています。その中で注目されているのが、「リアルタイムに、必要な情報を、役職や業務に応じて、適切な形で表示できる」業務用ダッシュボードの存在です。

たとえば以下のようなニーズが背景にあります。

  • 倉庫や物流部門における在庫数・受注状況のリアルタイム表示
  • 営業・CS部門でのKPI(例:案件進捗、応答時間など)の可視化
  • 承認・報告フローを集中管理するための申請処理ステータス一覧
  • 権限や職種に応じた表示切替・編集機能付きのカスタマイズ対応

このように、ダッシュボードは単なる見栄えの良い表示画面ではなく、業務プロセスそのものを最適化するツールとして注目されています。特に、開発会社に依頼する場合、どのような情報構造や拡張性を持たせるべきかを正しく設計できるか否かが、後々の運用コストや再開発リスクを大きく左右します。

業務ダッシュボードの基本設計要素

1. 誰が使うか(ユーザー視点)

ダッシュボードのユーザーは、部署や役割によって求める機能や表示情報が大きく異なります。たとえば、在庫管理を担う倉庫担当者は「入出庫操作のしやすさ」や「現在の残数の即時把握」が求められるのに対し、営業マネージャーは「月次の売上推移」や「滞留在庫の傾向分析」が重要視されます。

したがって、ユーザーごとの操作権限・閲覧範囲を事前に明確化し、「誰が、何を、どこまで操作・閲覧できるのか」をロール設計に反映する必要があります。

2. 何を管理・可視化するか(業務視点)

表示すべきデータは、各業務のKPIやチェックポイントに基づいて定義されるべきです。売上、在庫、顧客情報、障害情報など、多岐に渡るデータを整理し、業務カテゴリごとに分類して視認性の高いUIに落とし込む工夫が求められます。

たとえば、カード型の要約パネル、フィルタ付きテーブル、日別グラフ、状態ごとのタブ切替などを組み合わせることで、多角的な情報提供が可能になります。

3. どのような操作や遷移が必要か(UX視点)

UX(ユーザー体験)に配慮したダッシュボードでは、ユーザーが「次にすべき行動」が直感的に分かるように導線が設計されています。異常値のアラート表示、ワンクリックでの詳細遷移、CSVエクスポートボタンなど、業務行動をサポートする機能群が不可欠です。

また、通知アイコンやツールチップ、確認ダイアログの設置も、ミス防止や業務ミスの予防に貢献します。

よくある設計ミスとその対策

ダッシュボード設計における失敗例として、以下のようなパターンが見られます。

  • 表示要素を詰め込みすぎて、かえって視認性が悪化する
  • 並び替え・検索・フィルタといった基本的なデータ操作機能が抜け落ちている
  • 業務フローと画面遷移の連携が曖昧で、作業導線が冗長
  • 現場業務での利用を考慮しておらず、スマホやタブレットでの表示最適化がされていない

これらを回避するには、開発初期の段階でワイヤーフレームやFigmaなどのプロトタイプを用いたユーザー検証を実施することが重要です。業務担当者を巻き込んだレビュー体制を築くことが、実用性の高い設計を生む鍵となります。

システム開発会社選定時に確認すべきポイント

業務ダッシュボードの開発を依頼するパートナー企業を選ぶ際は、次の観点を必ず確認しましょう。

  • UI/UX設計を専任とするデザイナーや設計者がプロジェクトに参画しているか
  • 業務管理やダッシュボード系の開発実績があり、画面仕様に強いエンジニアがいるか
  • ロールベースアクセス制御(RBAC)やログ管理といったセキュリティ要件に対応可能か
  • 標準的にログイン、通知、データ出力機能が実装される開発体制か

これらの条件をクリアしている会社は、単なる画面づくりではなく「業務定着」まで見据えたパートナーとして信頼できる存在です。

拡張性を意識した設計で長期的な運用に備える

業務ダッシュボードは、一度完成すれば終わりではなく、業務フローや指標の変化に応じて継続的な改修が必要になります。そのため、以下のような拡張性設計が必須となります。

  • DB設計において、カラムの追加やマスタ値の増加に柔軟に対応できるスキーマを採用
  • マスタデータは画面上から操作できるようにし、属人化を防ぐ
  • 表示レイアウトやグラフ種別、表示条件などを定義ファイルや設定画面で制御可能に
  • 多言語対応やレイアウト変更に備え、フロントエンドをコンポーネントベースで設計

こうした構造を意識することで、初期構築時だけでなく、将来的な業務成長や社内体制変更に対応できる持続可能な設計が実現します。

まとめ:「管理画面の作り込み」が業務効率に直結する時代へ

業務システムにおける「管理画面」や「業務用ダッシュボード」は、単なる情報表示の枠を超えて、日々の業務推進を支えるプラットフォームとして進化しています。とりわけ、中堅〜大手企業においては、部門ごとに異なる業務要件を整理・統合し、ひとつの画面体系に落とし込む設計力が求められます。

そのためには、システム開発会社や受託開発パートナーとの連携において、「誰が、何を、どのように見る・操作するのか」を可視化し、業務設計と画面設計を一体で進めることが不可欠です。

ダッシュボードの設計力は、そのまま業務の質とスピードを引き上げる武器になります。開発会社選定の段階から、こうした視点を持って準備を進めましょう。

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