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BUSINESS COLUMN

会社に置く防災の備えと、家に置くぶん。中身をどう分けるか

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会社の箱は水の期限が二年切れ、家の押し入れには明かりが一つもありませんでした。一晩とどまる備蓄と、持ち出す一式では中身が違います。分けて決め直した結果を書きます。

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去年の秋、会社に置いてある備えの箱を開けました。中の水は期限が二年切れていて、乾電池は液が漏れて袋の中で固まっていました。

同じ日に家の押し入れも開けました。こちらは水こそ足りていたのに、明かりが一つもありません。用意したのは同じ人間なのに、抜けている場所が違いました。今回は、会社に置くぶんと家に置くぶんをどう分けたかを書きます。

会社と家で、要るものが違う

会社で災害に遭ったら、たいてい帰れません。そのまま何時間か、場合によっては一晩そこにいることになります。

家なら、逃げるか残るかの二択です。逃げるなら持ち出せる重さに収める必要があり、残るなら日数ぶんの量が要ります。

この違いを考えずに同じ中身をそろえると、会社には毛布が足りず、家には持ち出せない重い箱ができます。うちは実際にそうなっていました。

分けて考え始めてから、買うものがむしろ減りました。両方に同じものを積む必要が無くなったからです。

前は「防災用品」というひとかたまりで考えていました。置く場所と、そこで起きることを先に決めると、中身のほうが後から決まります。

机の上のノートパソコン

会社に置くのは一晩ぶんと決めた

会社の備蓄は、その場に一晩とどまる前提で決めました。水と食べもの、明かり、簡易のトイレ、それに寒さをしのぐものです。

このうち、いちばん軽く見られているのが簡易トイレでした。断水すると建物のトイレは使えません。人数ぶんの回数を数えると、思っていた三倍要ります。

人数ぶんそろえると場所を取るので、置き場所を先に決めます。うちは打ち合わせ用の部屋の棚を一段空けました。

一段に収まらない量は持ちません。増やしたくなったら何かを減らします。この線を引かないと、いつのまにか使わないものが積まれていきます。

置き場所は入口に近いほうがいい。奥の倉庫に入れると、停電した夜に取りに行けません。

そろっているものを土台にする

一つずつ買いそろえようとして、二年止まっていました。何が要るかを調べる時間が取れなかったからです。

防災士と消防士が中身を決めた四十四点のオシャレなのに"お得で高機能"な防災セット を一箱買って、そこから足りないぶんだけ足す形に変えました。決める工程が消えたので、その週のうちに終わっています。

足したのは、常用している薬と眼鏡の予備の二つでした。これは既製の箱には入りません。

要らないと思ったものも、しばらく入れたままにしています。使う場面を自分で想像できていないだけかもしれないからです。

家は持ち出すぶんと残るぶんに分ける

会議のテーブル

家は二段構えにしました。玄関に置く持ち出し用と、押し入れに置く残る用です。

玄関のぶんは片手で持てる重さに収めます。うちは五キロで線を引きました。背負って階段を降りられるかどうかで決めています。

一度、実際に背負って外を一周しました。想像だけで決めていたときより、二キロ軽くなりました。

押し入れのぶんは重さを気にしません。水と食べものは、断水を三日と見て積んでいます。

避難所へ行く前提と、家にとどまる前提では、要るものが逆になります。どちらもありうるので、分けたままにしています。

ひとりで住んでいる家族のぶん

うちの子は離れて住んでいます。実家にある箱は、その子の役には立ちません。

ひとり暮らしの部屋に置ける三十九点の防災士厳選の防災グッズ39点セット を送りました。自分で選ばせようとすると、たぶん先延ばしになると思ったからです。

届いてから電話で中身を一緒に見て、置き場所だけ決めてもらいました。玄関の靴箱の上です。

そのときに、連絡が取れなくなったらどうするかも決めました。物より先に、この話をしておくべきだったと思っています。

年に一度、同じ日に開ける

期限切れを防ぐ方法は、開ける日を決めることだけでした。うちは防災の日の前後の休みに固定しています。

開けたら水と食べものの期限を見て、電池を入れ替えます。古い水は掃除に使い、食べものはその週の食事に回します。

かかる時間は、会社と家を合わせて一時間ほどです。一年に一時間なら続きます。

やった日は紙に書いて箱の内側に貼ります。次に開けたとき、前がいつだったかが分かります。

二年やってみて、いちばん効いたのはこの日付でした。中身を増やすより、開ける日を決めるほうが先です。

置いた場所を、その場にいる全員が知っているか

そろえたあとで気づいたのは、置き場所を知っているのが自分だけだったことです。自分がいない日に地震が来たら、箱は無いのと同じになります。

会社は、入口の見えるところに紙を貼りました。何がどこにあるかを三行で書いただけの紙です。

家は、冷蔵庫の横に同じ紙を貼っています。家族には、玄関の箱と押し入れの箱の違いだけ伝えました。

伝えたあとで一度、実際に取りに行ってもらいました。うちの家族は押し入れの箱を出すのに、上に載せた布団をどける必要があると気づいています。

置き場所と、そこまでの道のりまで含めて備蓄です。取り出すのに二分かかるなら、それは置いていないのと変わりません。

夜に停電した状態で取りに行けるかも、一度試しておくといい。うちは廊下に何も置かない習慣が、そこから始まりました。

よくある質問

Q. 会社にはどこまで置けばいいですか

A. 全員が一晩とどまる前提で、水と食べもの、明かり、簡易トイレ、防寒の五つがあれば形になります。置き場所を先に決めて、その量を超えないようにしてください。

Q. 家の備蓄は何日ぶん要りますか

A. うちは断水と停電を三日と見て積んでいます。地域や住まいで変わるので、自治体が出している想定を一度読んでおくと量を決めやすくなります。

Q. 一式そろったものを買う意味はありますか

A. 何を買うか調べる工程が消えます。うちは二年止まっていたものが一週間で終わりました。足りないものだけ後から足す形で十分です。

Q. 期限切れをどう防ぎますか

A. 開ける日を年に一度決めてください。古い水は掃除に、食べものはその週の食事に回すと無駄が出ません。開けた日を紙に書いて箱に貼っておきます。

まとめ

会社の備えは一晩とどまる前提、家の備えは持ち出すぶんと残るぶんの二段構えにすると、買うものが決まります。置き場所を先に決めて、その量を超えないようにすれば増えすぎません。そろっているものを土台にして、薬や眼鏡のような自分にしか要らないものだけ足すのがいちばん早い。あとは年に一度、日を決めて開けるだけです。開ける日さえ決まっていれば、期限切れは起きません。