BUSINESS COLUMN
遠くに住む人を採用する。会わずに決めるときに見るところ
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住んでいる場所で応募を落とすと母集団が狭まります。画面越しの面接で確かめられること、最終の一回で会う意味、交通費と出社頻度の決め方を並べました。
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求人を出したら、片道三時間かかる場所に住んでいる人から応募が来ました。書類はよく、経験も合っています。ただ、一度も会わずに決めてよいものかどうか迷います。
会って話せば分かる、という感覚は当てになりません。近くに住んでいる人を会って採用しても、三か月で辞めることはあります。距離ではなく、確かめる項目を決めていないことが問題です。
遠いという理由だけで落とさない
住んでいる場所を理由に書類で落とすと、応募の母集団が一気に狭くなります。
そのうえ、落とした理由が本人に伝わると評判になります。地方に住んでいる経験者ほど、動ける先を熱心に調べています。
まず決めるのは、その仕事が本当に毎日その場所にいなければできないか、です。月に何回来られれば成立するかを数字にします。
週五日の出社が必須なら、遠方の人は転居が前提になります。そこまで求めるなら、求人票に最初から書きます。
書かずに面接まで進めて最後に切り出すのは、双方の時間の無駄です。応募の数が減ることを恐れて曖昧に書くと、辞退の数が増えるだけです。
月に一度でよい仕事なのか、週に二日は要るのか。ここを決めるのは人事ではなく、その持ち場を実際に回している人です。

画面越しで確かめられることを決める
オンラインの面接で分かることと分からないことを、先に分けておきます。
分かるのは、話の組み立て方、質問への戻し方、資料を見せながら説明できるか、時間を守るか。この四つは画面越しでもよく見えます。
分かりにくいのは、場の空気の読み方と、雑談から生まれる相性です。ここを面接で見ようとするから「会わないと決められない」になります。
代わりに、仕事の進め方を具体的に聞きます。前の職場で誰と、どの順番で、何を決めていたか。答えの粒の細かさで、実際にやっていたかどうかは分かります。
画面が固まる、音が途切れる、といったこともそのまま材料になります。慌てずに言い直せる人かどうかを見ます。
こちらの回線や機材が悪くて相手が話せなかった場合は、その回を判断に使いません。会社の準備不足を応募者の評価に混ぜないことです。
質問の順番も先に決めておきます。面接する人によって聞くことが違うと、複数人を並べて比べられなくなります。
一度は同じ場所で会う
すべてを画面で済ませる必要はありません。最終の一回だけ、こちらから出向くか、来てもらうかを決めます。
交通費と宿泊費は会社が持ちます。ここを本人負担にすると、条件の良い人から先に降ります。
会う日は、面接だけにしません。働く場所を見せて、一緒に働く人と短く話す時間を入れます。
入ってから「思っていたのと違う」で辞められるより、この半日のほうが安く済みます。
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通う費用と時間を先に計算する
遠方の人を採ると、後から費用の話が出ます。先に計算して、条件として提示します。
決めるのは、出社の頻度、交通費の上限、前泊が必要な場合の扱い、移動の時間を勤務に含めるか、の四つです。
四つ目でもめる会社が多くあります。片道三時間の移動を私用の時間とみなすなら、その分は報酬に乗せないと続きません。
転居を伴う場合は、住宅の補助と赴任の費用も先に決めます。口約束のまま入社させると、必ず後で食い違います。
金額の根拠は就業規則に書いておきます。人によって違う扱いにすると、社内から不満が出ます。
税や社会保険の扱いが絡む部分は、社会保険労務士や税理士に確認してから条文にしてください。運用を先に始めて、あとから直すほうが手間がかかります。
入ったあとに孤立させない
遠方から入った人が辞める理由は、たいてい距離ではなく孤立です。
最初の三か月は、短くてよいので毎日話す相手を決めます。用がなくても五分話す時間を予定に入れます。
情報が事務所の雑談だけで流れている職場では、離れた人だけが知らない状態になります。決めごとは必ず文字に残します。
会社の側が「わざわざ遠くから採ってやった」という空気を出すと、その人は一年で出ていきます。採ったのはこちらの都合です。
定着したかどうかは、半年後に本人へ直接聞きます。上司ではない人が聞くほうが本当のことが出ます。
社内の人材を見る目も変える
遠方から採れるようになると、社内の考え方も変わります。
いま通勤に耐えている人が、介護や育児で通えなくなったとき、辞めずに済む道が用意できます。
一度でも遠方採用の仕組みを作れば、その仕組みは既存の社員にも使えます。制度を二重に作る必要はありません。
採用の条件を広げることは、離職を減らすことと同じ作業です。別々の課題として扱わないでください。
求人票に「在宅可」とだけ書いてある会社と、頻度と費用まで書いてある会社では、届く応募の質が変わります。書ける会社は、すでに社内で決まっているということです。
よくある質問
Q. 一度も会わずに内定を出してよいですか
A. 出せますが、最終の一回は同じ場所で会うことを勧めます。働く場所を見せておくと、入社後の食い違いが減ります。
Q. オンライン面接で見るべき点はどこですか
A. 話の組み立て方と、質問への戻し方です。前の職場でどの範囲を自分で決めていたかを具体的に聞くと分かります。
Q. 交通費はどこまで負担しますか
A. 面接の交通費は会社が持ちます。入社後の出社頻度と上限は、求人票の段階で数字にして出してください。
Q. 遠方の人が早く辞めてしまいました
A. 距離より孤立が原因のことが多くあります。決めごとが雑談で流れていないか、最初の三か月に話す相手がいたかを見直してください。
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まとめ
住んでいる場所だけで落とさず、月に何回来られれば成立するかを数字にします。
画面越しで分かることと分からないことを分け、分かることだけを面接で見ます。
最終の一回は同じ場所で会い、働く場所と一緒に働く人を見せます。
出社の頻度・交通費の上限・移動時間の扱いを、条件として先に出します。
入ったあとは孤立させません。決めごとは雑談ではなく文字で流します。
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