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BUSINESS COLUMN

初めての取引先と契約する。登記の確認から押印までの順番

公開 ・ 更新

相手の会社が実在するか、契約書に誰の印鑑を押すか。取引を始める前の確認は、会社を設立したときに一度考えたきり止まっていることが多い作業です。手順に落とします。

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初めての相手から仕事の話が来る。条件も悪くないし、担当者の感じもいい。それでも、契約書に判を押す前にやっておくことがいくつかある。

やるといっても、探偵のような調査ではない。公開されている情報を見て、契約書に必要な条項を入れて、押す印を正しいものにする。それだけで、後から困る場面のほとんどは防げる。

求められているのは、手順であって断定ではない

相手が問題のある会社かどうかを、こちらが最終的に判断することはできない。できるのは、確かめられる範囲を確かめて、それを記録に残すことだ。

金融機関や大手の取引先から確認を求められたときも、見られるのは結論ではなく手順のほうだ。何を、どうやって確かめたか。

だから、手順を先に決めてしまう。決まっていれば、案件ごとに悩まずに済む。

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自社でできる範囲

まず、会社が実在するかを確かめる。登記の情報は誰でも取得できるので、商号、本店、設立の時期、目的、資本金を見る。

次に、公開されている情報を検索する。社名、代表者名、所在地。過去の報道や行政の公表があれば、そこで出てくる。

自社の側も同じように見られている。弥生が会社設立をサポート【弥生のかんたん会社設立】 で会社設立の手続きを整えておくと、登記も会計も最初から形が整い、相手から求められたときに出せる書類がそろう。

見て分かることと、分からないこと

登記から分かるのは、いつ作られた会社で、何をすると宣言していて、誰が役員かということだけだ。実際の運営までは分からない。

だから、登記に加えて実際の様子も見る。事務所を訪ねる、取引の実績を聞く、支払の条件を確かめる。

分からないことは分からないままにして、そのぶん条件で守る。全部を調べようとすると、いつまでも契約できない。

契約書に条項を入れる

万一のときに取引を解除できる条項を、契約書に入れておく。これがあるかないかで、後の動き方がまるで変わる。

ひな形は一度作れば使い回せる。案件ごとに考えるのではなく、標準の様式に組み込んでしまう。

条項の書き方は法律の話になるので、最初の一本は弁護士に見てもらうといい。以後はそれを写せば足りる。

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契約書に押す印を用意する

意外と抜けるのが、押印の準備だ。実印はどれか、角印はどれか、契約書にはどちらを押すのか。決めていない会社が多い。

会社の印を新しく作るなら、会社印鑑のことなら、即日発送可能な「会社印鑑ドットコム」 のような会社印鑑の専門店で、実印と角印と銀行印をまとめて注文できる。書体や材質を選べて、登記に使える規格に合わせて作られる。

作ったら、保管の場所と、押せる人を決める。誰でも押せる状態で置いておくのが、いちばん危ない。

押印の記録を残す

いつ、どの契約書に、誰が押したか。台帳に一行残す。あとから「その契約は誰が決めたのか」を追える形にしておく。

電子で締結する場合も同じで、誰の権限で締結したかを残す。紙か電子かは関係なく、記録の考え方は変わらない。

台帳は表計算の一枚で足りる。契約書の保管場所も同じ行に書いておくと、探す時間が減る。

記録に残す

確かめた日、見た情報、判断。この三つを一枚に書く。書式は決めておいて、案件ごとに埋めるだけにする。

該当なしという結果でも、必ず残す。調べていないことと、調べて問題がなかったことは、まったく違う。

保管の期間も決めておく。契約が続く間と、終わってから数年。決めておかないと、いつまで持つのか誰も分からなくなる。

疑いが生じたときの動き

途中で気になる情報が出てきたら、まず取引の量を増やさない。止めるかどうかは、そのあとで考える。

社内で誰に報告するかも先に決めておく。担当者が一人で抱えると、判断が遅れる。

必要なら弁護士に相談する。この段階で相談すると選べる手が多いが、こじれてからだと選べる手が減る。

続けて見る

一度確かめたら終わりではない。長く続く取引ほど、途中で相手の状況が変わる。

年に一度、主な取引先だけでも登記を取り直して見る。役員が総入れ替えになっている、といったことが分かる。

支払の遅れや、担当者の交代が続くといった変化も、同じ台帳に記録しておくと後で効く。

自社の側も整えておく

相手から求められる書類は、たいてい決まっている。登記の証明書、決算の書類、会社の概要、そして印鑑証明。

求められてから集めると数日かかる。手元に何があるかを把握しておくだけで、話が速くなる。

会計の書類は、決算のたびに一式まとめて保管する。出す機会は年に何度もある。

手順を一枚にして配る

決めた手順は、一枚の紙にする。確かめる項目、使う様式、記録の置き場所、迷ったときの相談先。

営業の担当者が自分で判断できる形にしておくと、案件のたびに止まらない。逆に、誰かに聞かないと進まない形だと、忙しい時期には飛ばされる。

年に一度、その紙を見直す。実際に使ってみて要らなかった項目は削り、足りなかった項目を足す。

押印をどこまで電子に寄せるか

紙の契約書に印を押す形と、電子で締結する形は併存している。相手に合わせて両方できる状態にしておくのが現実的だ。

電子に寄せると、押印のために出社する必要がなくなり、記録も自動で残る。一方で、相手が紙しか受け付けない場面はまだある。

どちらの場合も、締結の権限を誰が持つかは同じ決め方でいい。方法が変わっても、決めることは変わらない。

よくある質問

Q. どこまで調べれば十分ですか。

A. 登記の情報と公開情報の確認、そして契約書への条項の追加。この三つを手順にして、記録に残していれば説明はできます。

Q. 検索で似た名前が出てきました。

A. 商号だけでは特定できません。本店の所在地と代表者名まで一致するかを確かめてください。一致しないなら別の会社です。

Q. 契約書にはどの印を押しますか。

A. 会社として意思表示する契約書には代表者印を使うのが一般的です。社内で用途ごとの使い分けを決めて、押印の記録を残してください。

Q. 該当なしでも記録は必要ですか。

A. 必要です。調べていないことと、調べて問題がなかったことはまったく違います。日付と見た情報を残してください。

まとめ

初めての相手と取引を始めるときにやることは、実在の確認、公開情報の確認、契約書の条項、そして押印の準備の四つだ。どれも一度手順にすれば、案件ごとに悩む必要はない。

そして、確かめた記録を残す。結論の正しさより、手順を踏んだことのほうが後になって効く。条項の書き方や個別の判断は、弁護士や税理士に確認しながら整えてほしい。