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停電したときに何が止まるか把握していない。優先順位を決める

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全部を動かす備えは現実的ではありません。止まると困る機器の洗い出し、無停電装置と発電機の違い、燃料と保管、試運転の頻度を整理します。

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先週の停電は三十分で復旧しました。ただ、その三十分の間に何が止まり、何が動いていたのかを、社内の誰も把握していませんでした。

冷蔵の設備は止まり、電話も通じませんでした。復旧後、機器の一部は再設定が必要でした。今回は短時間で済みましたが、次に数時間続いたらどうなるのか、想像がつきません。

全部を動かす備えは現実的でない

すべての機器を停電中も動かそうとすると、備え自体が成立しません。

全部を狙うと、費用が跳ね上がる、燃料や電池の管理が回らない、結局どれも中途半端になる、試運転がされない、いざというときに使えない、という結果になります。

事務所全体を賄う発電機は、購入費も設置場所も燃料の管理も、中小規模の会社には現実的ではありません。導入したとしても、使わない期間の維持が負担になり、点検が滞ります。

止まると困るものを三つに絞ってください。全部を守ろうとすると、何も守れません。 三つなら、費用も管理も現実的な範囲に収まります。そして、実際に使える状態を保てます。

備えの目的は、すべてを継続することではありません。被害を許容できる範囲に抑えることです。

水面に映る街並みと空

止まると困るものを洗い出す

業務ではなく、機器の単位で書き出します。

分けて考えるのは、止まると商品や材料が傷むもの、止まると復旧に時間がかかるもの、止まると連絡が取れなくなるもの、安全に関わるもの、止まっても待てるものです。

冷蔵や冷凍の設備は分かりやすい例です。数時間止まれば、中身が損なわれます。金額としての損失が明確に出ます。

止まると復旧に時間がかかるものを優先してください。停電の時間より、復旧の時間のほうが長くなります。 三十分の停電で、再設定と立ち上げに二時間かかる機器があります。この場合、実際に業務が止まるのは二時間半です。

制御装置や、起動に手順の要る機械がこれに当たります。正しい手順で停止させられれば、復旧は速くなります。ここに無停電装置を入れる価値があります。

安全に関わるものも外せません。照明がなければ避難できません。換気が止まる作業場では、そこにいること自体が危険になります。

書き出したら、止まったときの損失を金額か時間で見積もります。そこから優先順位が決まります。

優先順位を付けたら、明かりと水と電池をどこに置くかも同時に決めます。防災士が厳選した防災セットあかまる防災 のような一式を一箱買って、決めた場所に置いておくのが早いです。

無停電装置と発電機の違い

役割がまったく違います。ここを混同すると、必要のないものを買うことになります。

無停電装置は、数分から数十分の電力を供給します。目的は、機器を安全に終了させる時間を稼ぐことです。作業中のデータを保存し、正しい手順で電源を落とす。この時間があるかないかで、復旧にかかる時間が変わります。

発電機は、燃料がある限り動きます。数時間から、燃料を補給すればそれ以上。ただし、燃料の保管と、排気の問題があります。

蓄電池は中間的な位置づけです。発電機より静かで、屋内に置けます。容量に応じて数時間程度は賄えます。

携帯用の電源は、照明や通信の維持に使えます。機器を動かすほどの容量はありませんが、最低限の連絡手段を保つには十分です。

無停電装置は、動かし続けるためのものではありません。 ここを誤解して「停電しても業務が続けられる」と考えると、実際の停電時に想定が崩れます。安全に止めるための装置だと理解したうえで導入します。

空を横切る一本の電線

通信と照明を確保する

電源の次に困るのが、ここです。

用意するのは、携帯端末の充電手段、携帯型の照明、乾電池の予備と使用期限、通信が使えない場合の連絡手段、非常口と通路の明かりです。

停電すると、固定の電話が使えなくなる場合があります。携帯端末も、基地局の状況によっては通じません。取引先への連絡も、社内の安否確認もできなくなります。

照明は人数分用意してください。一台を共用すると、動けない人が出ます。 昼間でも、窓のない場所や倉庫の奥は真っ暗になります。その状態で移動するのは危険です。

携帯型の照明は、各自の机や作業場所の決まった位置に置きます。倉庫にまとめて保管していると、停電した瞬間に取りに行けません。

乾電池の予備と使用期限も管理します。いざ使おうとしたら電池が切れていた、という状態は珍しくありません。年に一度、期限を確認する日を決めます。

非常口と通路の明かりも確認します。定期の点検で作動を確かめておきます。

燃料と保管

発電機を入れるなら、ここが本題です。

確かめるのは、燃料の種類と必要量、保管できる量の上限、保管の場所と容器、燃料の劣化と入れ替えの周期、排気の逃がし方です。

必要量は、想定する時間から計算します。三時間動かすのに何リットル必要かを確認し、その分を保管することになります。

燃料の保管量には、法令上の制限があります。量と保管の方法は、消防署に確認してください。 一定量を超えると届出や許可が必要になり、保管の設備にも要件が生じます。「念のため多めに」と保管すると、それ自体が違反になり得ます。

容器も指定されたものを使います。適さない容器での保管は、漏れや発火の原因になります。

燃料は劣化します。長期間保管したものは、いざというときに使えないことがあります。入れ替えの周期を決めて、定期的に新しいものにします。

排気にも注意が必要です。屋内での使用は、一酸化炭素中毒の危険があります。 換気が不十分な場所での使用は、命に関わります。屋外の、排気が屋内に入らない位置で使うことを、手順として明記します。

試運転する

動かない備えは、備えではありません。

決めるのは、試運転の周期、担当者、手順を書いた紙を機器と一緒に置く、電池と燃料の期限を確認する、記録を残すことです。

周期は半年に一度が目安です。年に一度では、故障に気づくのが遅れます。

手順を書いた紙を、機器と一緒に置いてください。 停電の最中に、暗い中で説明書を探すことになります。しかも、その説明書が事務所の棚にあれば、そこまで行けません。

手順は、実際に試運転した人が書くと分かりやすくなります。説明書の写しではなく、「ここのレバーを上げてから、赤いボタンを三秒押す」という具体的な形にします。

試運転の記録も残します。日付、担当者、動作の状況、気づいた点。これがあると、前回からの変化に気づけます。

電池と燃料の期限確認も、同じ日にまとめて行います。試運転の日を「備えの点検日」として、関連する項目をすべて確認する形にすると、忘れません。

復旧したときの手順

戻ったときにも注意が要ります。

決めておくのは、電源を入れ直す順番、入れ直す前に確認すること、データの整合を確かめる、冷蔵の中身の扱い、記録を残して次に生かすことです。

一度に全部を入れ直さないでください。復電時の突入電流で、また落ちます。 停電中に電源が入ったままだった機器が、復電と同時に一斉に起動します。その瞬間の電流は、通常時の数倍になります。これでブレーカーが落ちれば、また同じことを繰り返します。

順番を決めておきます。まず全体を落とし、必要なものから順に入れる。冷蔵の設備を先に、次に事務の機器、といった順です。

入れ直す前の確認も必要です。停電の原因が漏電や落雷であれば、機器が損傷している可能性があります。濡れていないか、焦げたにおいがしないか、異音がしないかを確かめてから入れます。

冷蔵の中身の扱いも決めておきます。何時間止まったら廃棄するのか。判断の基準がないと、その場で迷います。食品を扱う場合は、この判断が衛生の問題に直結します。

記録も残します。停電の時間、止まったもの、復旧にかかった時間、困ったこと。次の備えを見直す材料になります。

記録を見て足りなかったものが出てきたら、そこだけ買い足します。人数分に届いていないなら、防災士厳選の防災グッズ39点セット のような一人用の袋を必要な数だけ足すと過不足が出ません。

よくある質問

Q. まず何を守りますか。

A. 止まると復旧に時間がかかるものです。三十分の停電で復旧に二時間かかる機器があれば、実際に止まるのは二時間半です。ここを守ると効果が大きくなります。

Q. 無停電装置があれば動き続けますか。

A. 続きません。数分から数十分、安全に終了させる時間を稼ぐ装置です。動かし続けたいなら発電機や蓄電池になり、費用も管理の手間も別の話になります。

Q. 燃料はどれだけ置けますか。

A. 法令上の制限があります。一定量を超えると届出や許可が必要です。量と保管の方法は消防署に確認してください。屋内での使用は一酸化炭素中毒の危険があります。

Q. 復旧したら何をしますか。

A. 一度に全部を入れ直さないでください。復電時の突入電流でまた落ちます。まず全体を落とし、濡れや焦げを確認してから、決めた順に入れていきます。

まとめ

全部を守ろうとすると、費用も管理も破綻して結局何も守れません。三つに絞ってください。

優先するのは、止まると復旧に時間がかかるものです。停電の時間より復旧の時間のほうが長くなります。

無停電装置は、安全に止めるための時間を稼ぐ装置です。動かし続けるものではありません。

照明は人数分、決まった場所に置きます。倉庫にまとめておくと、停電時に取りに行けません。

復旧時は一度に入れ直さないでください。突入電流でまた落ちます。順番を決めておきます。