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BUSINESS COLUMN

移動の時間を働いた時間に入れるか。扱いを決めておく

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出張中の移動や待ち時間の扱いは、社内で決めていないと不公平が生じます。判断の考え方、休日をまたぐ出張、記録の残し方を整理し、確認先も示します。判断に迷う場面と、必ず確認すべき相手も併せて示します。

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朝六時の列車に乗り、現地に着いたのは十時でした。打ち合わせは十一時から一時間で終わり、帰社したのは十七時です。

この日を何時間働いたと数えるのか。八時間なのか、打ち合わせの一時間なのか。社内で聞いても、答える人によって違いました。移動の時間をどう扱うかを、決めた記録がありません。

決めていないと不公平が残る

判断が人ごとに違うと、遠方へ行く人が損をします。

起きているのは、移動の長い出張を避けたがる、担当が固定される、申告の仕方が人によって違う、休日をまたぐ出張で不満が出る、実際の負担が記録に残らない、といったことです。

二つ目は深刻です。遠方の出張を嫌がる人が増えると、引き受ける人が固定されます。そしてその人だけが、朝五時に家を出る日を年に何度も繰り返します。負担が記録に残らないため、周囲からは見えません。

扱いを一つに決めて、書いてください。 書いていないから、その都度もめます。しかも「前回は認められたのに今回は違う」という食い違いが、不信につながります。

滑走路に伸びる旅客機の主翼

判断の考え方

移動していること自体ではなく、その時間に何を求めているかで考えます。

見る観点は、移動中に業務の指示があるか、物品の運搬や監視を任せているか、移動の経路や手段を会社が指定しているか、移動中に自由に過ごせるか、到着後すぐに業務に入る必要があるかです。

同じ三時間の移動でも、車内で資料を読んで報告書を作るよう指示している場合と、着くまで自由にしてよい場合では、性質が違います。高額な機材を運搬させ、目を離さないよう求めているなら、それは移動というより監視の業務です。

移動中に業務を求めているなら、扱いは変わり得ます。労働時間にあたるかどうかの判断は、社会保険労務士に確認してください。 会社ごとの事情や実態によって結論が変わるため、社内の慣行だけで決めないことです。

決めた内容は書面にし、出張の申請の様式にも反映します。

車で動く分は、記録が残る形にしておくと様式と突き合わせやすくなります。スピード発行 法人ETCカード のような法人向けのETCカードなら、通った日時と区間がそのまま明細に出ます。

休日をまたぐ出張

最ももめるのがここです。

決めておくのは、前日の夜に移動する場合の扱い、日曜に戻る場合の扱い、代わりの休みを与えるか、手当を出すか、連続して出張が入る場合の上限です。

月曜の朝九時から現地で打ち合わせがあるなら、日曜のうちに移動するしかありません。この日曜をどう扱うかが決まっていないと、本人は「休みが一日減った」と感じます。しかも会社からは何も言われません。

前泊と後泊の扱いを、出張の前に決めてください。 当日の朝に「日曜は移動だから休みと同じ」と言われると、必ず不満が残ります。事前に「前泊が必要な場合は代休を一日」と決まっていれば、納得して移動できます。

連続する出張の上限も決めます。月に何度も休日をまたぐ移動が入ると、実質的な休みがほとんどなくなります。

スーツケースを置いて座る旅行者

待ち時間の扱い

移動と待機は、別のものとして考えます。

分ける場面は、乗り継ぎの待ち時間、訪問先での待機、交通の遅れによる足止め、天候による延泊、現地での自由時間です。

訪問先で「呼ぶまで待っていてください」と言われて二時間待つのは、自由に過ごせる時間とは違います。その場を離れられず、いつ呼ばれるか分からない状態で待っています。

その場を離れられるかどうかが、一つの分かれ目になり得ます。 乗り継ぎの二時間を、駅の外に出て自由に過ごせるなら性質が違います。

判断が難しい場面は、その場で結論を出す必要はありません。記録だけを残し、後で確認してください。 「訪問先で十四時から十六時まで待機を指示された」という事実が残っていれば、後から判断できます。記録がないと、判断のしようがありません。

記録の残し方を決める

後から思い出して書くと、正確になりません。

残す項目は、出発と到着の時刻、訪問先での開始と終了、移動中に行った業務、待機を求められた時間、遅延や延泊があった事実です。

様式は簡単なもので構いません。時刻を書き込む欄が並んでいるだけの用紙で足ります。

その日のうちに残してください。 翌日には、乗り継ぎの待ち時間が何分だったかは思い出せません。記録がないまま「だいたい二時間くらい」と申告すると、それが正確かどうかを誰も確認できず、結局もめます。

移動中の空き時間に書ける形にすると続きます。列車の中で三分あれば埋まる程度の様式にしておきます。

負担を減らす手当ても併せて行う

扱いを決めるだけでは、負担そのものは変わりません。

打てる手は、移動の少ない経路や時間帯を選べるようにする、早朝や深夜の移動を避ける、遠方は前泊を標準にする、同じ人に集中させない、オンラインで足りる訪問を減らすことです。

前泊を認めるほうが、早朝の移動より安全です。 朝五時に家を出るということは、四時に起きるということです。睡眠が短い状態で移動し、そのまま打ち合わせに臨むと、判断の質も落ちます。宿泊費より、その日の成果のほうが大きな金額です。

同じ人に集中させないことも重要です。誰がどれだけ出張しているかを月ごとに集計すると、偏りが見えます。

オンラインで足りる訪問を減らすのは、最も効果が大きい手です。初回は訪問し、二回目以降はオンライン、という形にできる相手は少なくありません。

それでも残る移動については、費用の管理を軽くします。ETC協同組合のガソリンカード のような給油専用のカードにすれば、領収書の回収と立替の精算がなくなります。

自ら運転する場合

列車や飛行機と同じには扱えません。

分けて考えるのは、運転そのものが業務にあたり得ること、連続して運転できる時間の上限、深夜や早朝の運転を避けること、交代要員を付けるかどうか、車両の点検と保険の確認です。

列車では移動中に休めますが、運転は移動そのものに集中を要します。三時間の運転は、三時間の作業です。しかも帰りは、一日の業務を終えた後の運転になります。

連続運転の上限を決めておきます。二時間ごとに休憩を取る、片道三時間を超える場合は前泊するか交代要員を付ける、といった具体的な線が必要です。

運転を伴う移動は、扱いを別に決めてください。判断が難しい場合は、社会保険労務士に確認します。 事故が起きた場合、会社の管理の状況が問われます。運転の時間を把握していなかった、休憩の指示をしていなかった、という状態は避けてください。

よくある質問

Q. 移動時間は労働時間になりますか。

A. 一律には決まりません。移動中に業務を指示しているか、物品の監視を求めているか、自由に過ごせるかなどで判断が変わります。実態に即した判断は社会保険労務士に確認してください。

Q. 休日の移動はどう扱いますか。

A. 前泊と後泊の扱いを、出張の前に決めておいてください。代休や手当の有無を含めて書面にしておくと、当日にもめません。連続する出張の上限も決めます。

Q. 乗り継ぎの待ち時間は。

A. その場を離れられるかどうかが一つの分かれ目になり得ます。判断が難しい場面は、その場で結論を出さず「何時から何時まで待機を指示された」という記録だけ残してください。

Q. 記録はいつ書きますか。

A. その日のうちです。翌日には待ち時間の長さを思い出せません。移動中に三分で埋まる様式にしておくと続きます。

まとめ

決めていないから、その都度もめます。しかも遠方を引き受ける人に負担が集中し、記録にも残りません。

判断は、移動中に何を求めているかで変わり得ます。社内の慣行ではなく、社会保険労務士に確認してください。

前泊と後泊の扱いは、出張の前に決めます。当日の朝では遅すぎます。

判断の難しい待機は、その場で結論を出さず記録だけ残してください。

扱いを決めるだけでなく、負担そのものも減らします。前泊のほうが、早朝の移動より安全です。