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BUSINESS COLUMN

入稿したら色が違う。印刷物のデータで揉めない準備

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刷り上がりが画面と違う、文字が欠ける、断ち落ちが足りない。入稿データで起きる事故と、発注前に確認しておくことを整理しました。

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刷り上がったチラシが届いて、社内が静かになりました。画面で見ていた青が、手元では明らかにくすんでいます。端に置いたロゴは、裁断の線に食い込んで一部が切れていました。

印刷会社に問い合わせると、「入稿データのとおりに刷りました」と言われました。どちらの落ち度なのかが、こちらには判断できません。次から何を確認すればよいのかが分かりません。

事故は四種類に分かれる

原因を分けると、防ぎ方が見えます。

よく起きるのは、色が画面と違う、端の文字や絵柄が切れる、文字の書体が変わる、画像が粗く出る、透明の効果が黒く沈むことです。

端の文字や絵柄が切れるのは、裁断の位置のずれによります。

文字の書体が変わるのは、相手の環境にその書体がない場合です。

画像が粗く出るのは、解像度が足りない場合です。

透明の効果が黒く沈むこともあります。印刷の工程で変換されるためです。

画面の色と紙の色は、そもそも別の仕組みで出ています。画面は光、紙はインキです。完全に一致させることはできません。「近づける」ことが目標になります。

そして、どれも入稿前に潰せます。刷ってから直せるものは一つもありません。確認は発注前にしか置けないと考えてください。刷り上がってから気づけば、費用も日数も丸ごとやり直しです。

キーボードと書類を置いたデスク

色の食い違いを減らす

期待値を、先に合わせます。

やるのは、入稿前に色の指定方法を印刷会社に聞く、重要な色は数値で指定する、紙の種類で色が変わることを織り込む、可能なら色校正を取る、過去の刷り物を見本として渡すことです。

重要な色は数値で指定します。会社の色などです。

過去の刷り物を見本として渡す方法もあります。「この色に合わせてください」と伝えられます。

色校正は追加費用と日数がかかりますが、刷り直しより安い場面があります。ブランドの色が決まっている、大部数を刷る、写真が主役、このいずれかなら検討してください。 色校正には数千円から数万円かかります。日数も数日加わります。

しかし、一万部を刷り直すことになれば、費用は桁が違います。納期も間に合いません。

三つの条件のいずれかに当てはまるなら、色校正を取ります。当てはまらない小部数の刷り物であれば、省いても構いません。判断の基準を持っておきます。

同じデータでも、光沢のある紙と、ざらついた紙では発色が違います。紙見本を取り寄せて実物で選ぶと、想像との差が縮まります。

モニタの明るさの設定も影響します。設定がばらばらな環境で見比べても、判断はそろいません。

切れと余白を確保する

裁断の位置は、必ずずれます。

押さえるのは、塗り足し、内側の余白、折り位置と綴じ位置を避ける、ページをまたぐ絵柄の扱い、裏面の透けを見込むことです。

塗り足しは、仕上がりより外側まで色を伸ばすことです。

折り位置と綴じ位置も避けます。文字が折り目にかかると読めません。

裏面の透けも見込みます。薄い紙では、裏の絵柄が透けます。

文字は仕上がりの線から内側へ十分に離してください。裁断は数ミリ動きます。ぎりぎりに置くと、切れるか、片側だけ余白が広い仕上がりになります。 画面上では、端から二ミリの位置に文字を置いても問題なく見えます。

しかし、裁断の精度には限界があります。数ミリの誤差は通常の範囲です。そして、その誤差の分だけ、文字が切れるか、余白が偏ります。

内側の余白を、指定より多めに取ります。デザイン上の理由がなければ、端から離しておくほうが安全です。

具体的な数値は印刷会社の指定に従ってください。会社ごとにテンプレートが用意されていることが多く、それを使うのが最も確実です。自己流の設定で作ってから合わせ直すと、手戻りになります。

書体と画像の扱い

手元で見えているものが、相手に届くとは限りません。

書体については、アウトライン化するか埋め込むかを確認する、特殊な書体は利用条件を確認する、代替書体に置き換わると体裁が崩れることを押さえます。

画像については、印刷に足りる解像度を確認する、拡大して貼った画像は粗く出る、画面用の画像をそのまま使わない、写真の利用範囲を確認することを押さえます。

画面用の画像は、印刷には解像度が足りません。

拡大して貼った画像も、粗く出ます。元の大きさを確認します。

購入した書体でも、印刷物への使用が条件で制限されることがあります。無料で配布されているものは特に、商用利用の可否を確認してください。「無料」と「商用利用可」は別です。 無料で入手できる書体の多くには、利用の条件が付いています。個人の利用は認めるが、商用は別途契約が必要、という形です。

そして、チラシやパンフレットは、商用の利用にあたります。

書体を選ぶ前に、提供元の条件を確認します。社内資料での利用と、配布する印刷物での利用は扱いが違います。入稿の前にネット印刷ならプリントアース のような発注先の入稿ガイドを開き、埋め込みとアウトライン化のどちらを求めているかを見ておくと、書体まわりの差し戻しは起きません。

書類と筆記具を広げた机

校正の回し方を決める

誰が最終確認をするかを、決めてください。

決めるのは、校正の担当と最終決裁者、何回まで見るか、確認する観点、戻す期限、修正指示の書き方です。

何回まで見るかも決めます。回数が増えれば納期も延びます。

確認する観点も分けます。誤字、数値、連絡先、色、体裁。

修正指示の書き方も統一します。口頭では伝わりません。

住所、電話番号、メールアドレス、金額は必ず声に出して読み合わせてください。文章の誤字より、この四つの間違いのほうが被害が大きくなります。刷り直しになる典型です。 本文に誤字があっても、多くの場合は刷り直しません。読めば意味は通じます。

しかし、電話番号が一桁違えば、その刷り物は使えません。連絡が来ないか、無関係な人に迷惑をかけます。

一人が読み上げ、もう一人が元の資料と照合します。この四項目だけで、一分もかかりません。すべての校正で必ず行います。

画面で追うと、誤字を見落とします。一度印刷して、指でなぞって読むと精度が上がります。

校正が止まると、納期がそのまま後ろにずれます。誰が何日までに返すかを先に決めてください。

発注前の最終確認

この一覧を、発注のたびに通してください。

確認するのは、部数と判型と紙と色数が見積と一致しているか、入稿データの形式が指定どおりか、テンプレートを使っているか、塗り足しと内側の余白が取れているか、書体と画像の条件を満たしているか、誤字と連絡先を読み合わせたか、納期と納品先です。

入稿データの形式も確認します。指定と違えば受け付けられません。

納期と納品先も確認します。いつ、どこに届くか。

納品先は、事務所か、現場か、イベント会場か。当日に届かないと意味がない場面では、予備日を挟んでください。配送は必ず遅れる可能性があります。催しの前日に届く手配では、遅れた時点で使えません。

何をどう指定して、どう仕上がったか。記録を残せば、次の発注で使えます。届くまでのあいだに手元で刷って確かめたい分があるなら、枚数を気にせず出せる定額制でプリントし放題の複合機レンタルサービス【プリント革命】 のような定額のレンタル機を社内に置いておく手もあります。

よくある質問

Q. 画面の色と刷り上がりを一致させられますか。

A. 完全には一致しません。画面は光、紙はインキで色を出しています。重要な色は数値で指定し、必要なら色校正を取ってください。

Q. 色校正は取るべきですか。

A. ブランドの色が決まっている、大部数、写真が主役のいずれかなら検討してください。刷り直しより安く済む場面があります。

Q. 無料の書体を使ってよいですか。

A. 商用利用と印刷物への使用が認められているかを確認してください。「無料」と「商用利用可」は別です。

Q. テンプレートは使ったほうがよいですか。

A. 使ってください。印刷会社の指定に合わせて作られているため、塗り足しや余白の設定で迷いません。

まとめ

事故は、色、切れ、書体、画像の四つに分かれます。

画面と紙は別の仕組みで色を出します。重要な色は数値で指定します。

文字を仕上がりの線に寄せません。テンプレートを使うのが最も確実です。

書体と画像の利用条件を確認します。「無料」と「商用利用可」は別です。

住所、電話番号、メールアドレス、金額は読み合わせてください。一分で済みます。