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BUSINESS COLUMN

契約書に書いた住所が変わる。移転のたびに追いかけないために

公開 ・ 更新

契約書に載せた所在地は、移転のたびに相手全員へ通知することになる。住所を変えずに済ませる拠点の持ち方と、登記や郵便の届け先、更新期限の管理の仕方を整理する。

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仕事を続けていると、契約書は少しずつ増える。取引の基本契約、業務委託、賃貸、保守、保険。どれも締結した日には気にするが、しまい込んだあとは思い出さない。

思い出すのはたいてい、何かが起きたときだ。自動更新されていた、解約の申し出が間に合わなかった、送った書面が届いていなかった。そのどれもが、住所と期限の管理でほとんど防げる。

契約書は住所で相手とつながっている

契約書の頭には、必ず当事者の所在地が書いてある。その住所は、通知を送る先としてそのまま効いてくる。

解約の申し出も、条件の変更も、書面はその住所に届く。連絡先が電話やメールで済んでいると思っていても、いざというときの根拠は書面のやりとりになる。

つまり契約書に書いた所在地は、飾りではなく受け取り口だ。ここが実態と合っていないと、届いたはずの通知が届かない扱いになる。

小さく仕事をしていると、住所は数年で変わる。自宅から借りた部屋へ、部屋からまた別の部屋へ。そのたびに、過去に結んだ契約が全部ぶら下がってくる。

契約の本数が十本を超えたあたりから、この作業は片手間では回らなくなる。どこに何を書いたか、頭の中では追えなくなる。

相手側が移転することもある。送った書面が宛先不明で戻ってきて、そこで初めて気づく。こちらの管理だけの問題ではない。

契約書に記入する場面

まず一覧を作る

管理を始める前に、いま何本あるのかを数える。相手の名前、締結日、期間、更新の条件、通知の期限。この五つで足りる。

紙で保管しているなら、表紙をめくって五項目だけ書き写す。全部を読み直す必要はない。読み直すのは、期限が近づいたものだけでいい。

一覧に載せる住所は、契約書に書いてある住所をそのまま写す。今の住所ではない。ここを今の住所で埋めてしまうと、ずれに気づけなくなる。

期限は月ごとに並べる。三か月先まで見える形にしておけば、更新の月に慌てない。

一覧が一枚できると、契約書そのものは棚にしまったままでよくなる。探す作業がほとんど消える。

作るのに半日かかるが、一度作れば追記だけで維持できる。新しく結んだ日に五項目を足す。それだけだ。

家の契約も同じ表に入れてしまってもいい。賃貸、保険、通信。期限で困る構造は仕事とまったく同じで、別々に管理する理由がない。

棚に並べたファイル

住所を変えると全部に連絡が要る

移転すると、一覧に載っている相手すべてに住所変更を伝えることになる。契約書の条項に「変更は書面で通知する」と書いてあれば、口頭では足りない。

十本あれば十通、二十本あれば二十通。これを引っ越しの片づけと同時にやることになる。抜けるとしたら、まさにこのタイミングだ。

抜けたまま数年が過ぎると、期限の通知が古い住所へ送られ続ける。届かなかった通知が「送った」ことになるかどうかは、条項の書き方次第だ。

だから、変えなくて済む住所を先に持っておくという考え方がある。作業する場所は動かしても、書面上の所在地は動かさない。

SOHO・起業家・週末起業家が使うバーチャルオフィス は事業用の住所を月額で借りる仕組みで、自宅や仕事場を移しても契約書に書いた所在地はそのまま残せる。移転のたびに通知を出し直す作業が消える。

住所を借りるかどうかにかかわらず、次に移転する可能性があるなら、住所を書いた書面の一覧だけは作っておきたい。

届いた郵便を落とさない

期限の通知は、たいてい封書で来る。メールで来ると思っていると、机の上の封筒の山に埋もれる。

不在で持ち戻られた郵便が、そのまま差出人へ返る。返ってしまえば、こちらは受け取っていないことになるが、相手は送った記録を持っている。

平日の昼に人がいない働き方なら、受け取りの手当てが要る。ここは根性ではどうにもならない。

まだ自宅の住所や自分の携帯番号をネットで使いますか? では届いた郵便物を代わりに受け取って転送してもらえるので、更新の通知や解約の申し出が入った封書を取りこぼしにくくなる。

受け取ったものは、開封した日を書いて一覧に紐づける。日付が残っていれば、あとで期限を数え直せる。

原本と写しを分ける

原本は一か所にまとめ、日常はスキャンした写しで扱う。原本を持ち歩くと、なくすか汚す。

保管する場所は、鍵のかかる棚でいい。特別な設備は要らないが、どこに置いたかを一覧に書いておく。

写しは検索できる形で置く。相手の名前でたどり着ければ十分だ。細かい分類を作り込むと、続かない。

会社の登記の住所と、原本を置いている場所は違ってかまわない。同じである必要はどこにもない。

ただし、どちらがどこかは書き留めておく。自分にとって当たり前のことほど、人に引き継ぐときに抜ける。

量が増えて棚に入らなくなったら、日常で触らない古い年度の分だけ別の置き場に移す。手元に残すのは、期限が生きているものだけでいい。

更新の月にやること

期限の三か月前になったら、条項を読み直す。値上げの申し出が来ていないか、自動更新の条件が変わっていないか。

続けるなら何もしない、というのが自動更新の怖いところだ。何もしなければ続く契約は、意識して「続ける」と決める。

やめるなら、通知の方法と期限を条項どおりに守る。書面が要るなら書面を送り、控えを残す。

そして、更新のたびに一覧の住所欄を見る。相手の住所も、こちらの住所も、変わっていないかを確かめる。

条件を変えたいなら、更新の月がいちばん話しやすい。期限が来ているという理由だけで、交渉の場が立つ。

言いにくいことは、期限に乗せて言う。これは値上げを受ける側でも、頼む側でも同じだ。

よくある質問

Q. 契約書は紙で残す必要がありますか。

A. 電子で締結したものは電子のまま保存する。紙で結んだものは原本を残す。保存期間は種類によって違うので、税務や労務の書類は専門家に確認する。

Q. 借りた住所を契約書に書いてよいですか。

A. 使えるかどうかは提供元と相手方の条件による。登記や表示に使える範囲を契約前に確かめ、相手にも隠さず伝えておく。

Q. 相手が住所を変えたら気づけますか。

A. 通知が来るはずだが、来ないこともある。更新の月に一覧を見直すときに、相手の所在地も一緒に確かめておく。

Q. 一覧はどこまで細かく作りますか。

A. 相手、締結日、期間、更新条件、通知期限の五項目で足りる。項目を増やすほど更新されなくなる。

まとめ

契約書に書いた所在地は、通知の受け取り口として生き続ける。

管理は一覧から始める。相手、日付、期限の五項目でいい。

移転すると全ての相手へ通知が要る。変えなくて済む住所を持つと、この作業が消える。

期限の通知は郵便で来る。受け取れない働き方なら、受け取りを預ける手当てをしておく。

そして更新の月に条項を読み直す。何もしないで続く契約こそ、意識して決め直す。