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BUSINESS COLUMN

引き継いだ事業の住所を移す。登記と届け出をどの順で直すか

公開 ・ 更新

名義や代表が変わると、書面に書いていた所在地も動くことが多い。登記の住所を移す順番、郵便の転送、取引先への通知をどこまでやるかを一つずつ確かめる。

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事業を引き継ぐ話が具体的になると、値段や引き継ぐ範囲に目が行く。ところが実務でいちばん手間を食うのは、書面に書かれた所在地の付け替えだ。

代表が変わり、名義が変わり、場所も変わる。そのどれもが、登記と届け出と取引先への連絡につながっている。順番を間違えると、郵便が宙に浮いて、期限のある通知を取りこぼす。

何が変わるのかを先に並べる

引き継ぎと一口に言っても、形はいくつもある。株式を譲る、事業だけを譲る、代表だけを交代する。

どの形かによって、必要な手続きがまるで違う。まずそこを決めないと、何を届け出るかも決まらない。

決まったら、変わるものを紙に並べる。代表者、所在地、屋号、取引の名義、口座、許認可。

並べたら、それぞれに期限があるかを書き添える。登記は変更から二週間以内といった決まりがあるものが多い。

ここまでやってから日程を組む。頭の中で進めると、必ずどれか一つが抜ける。

引き継ぐ側と譲る側で、どちらがどれをやるかも決めておく。「相手がやってくれていると思っていた」で止まる項目が、必ず一つは出る。

紙の一覧は共有する。口頭で分担すると、あとで食い違ったときに確かめようがない。

本の詰まった棚

所在地が動くかどうかで手間が変わる

引き継いだあとも同じ場所を使えるなら、住所まわりの手続きは減る。

使えないことのほうが多い。前の代表の自宅で登記していた、借りていた部屋を返す、といった事情が出てくる。

住所が動くと、登記の変更、税務の届け出、労働保険、許認可、銀行、取引先。この全部に連絡が要る。

そして、動かした先をまた数年後に動かすなら、同じ作業をもう一度やることになる。

だから、次に動かさなくて済む住所を選ぶ、という考え方が出てくる。

変えなくて済む所在地を用意する

作業する場所と、書面に書く所在地を分けておけば、引っ越しても登記は動かない。

一般社団法人和文化推進協会 は法人の登記に使える住所を借りられて、届いた書類の転送や専用の電話番号まで用意できるので、拠点を移しても書面上の所在地はそのまま置いておける。

地域を選べるのも効く。取引先が集まっている地域の住所を持てば、相手から見た距離の印象が変わる。

引き継ぐ側が別の土地に住んでいる場合、この選び方は特に効く。事業の所在地を動かさずに、住む場所だけ変えられる。

契約する前に、登記に使えるか、郵便の転送はどの頻度か、来訪をどう扱うかを確かめる。用途を伝えて書面で答えをもらう。

通路の奥まで続く書架

許認可は引き継げないことがある

見落とされやすいのが許認可だ。会社そのものを引き継ぐ形なら残ることが多いが、事業だけを譲る形では取り直しになることがある。

取り直しになると、審査の期間だけ営業できない空白ができる。そこを見込まずに日程を組むと、引き継いだ翌月に止まる。

要件に事務所の条件が入っている業種では、新しい所在地がその条件を満たすかも見る。

(自由テキスト)は事業用の住所を月額で借りるサービスで、書面上の所在地として使える一方、独立した区画を求める許可では要件を満たさないことがある。どの許可に使えるかは、申請先と提供元の両方へ確かめておく。

判断が難しいところは、行政書士に見てもらう。空白の期間を作らない日程を組むには、その助けが要る。

引き継ぐ前に、いま持っている許可の写しを全部そろえておく。何を持っているか把握していない状態で譲り受けると、失効に気づくのが遅れる。

更新の時期も一緒に控える。引き継いだ直後に更新が来る、というのはよくある巡り合わせだ。

郵便の受け取りを切らさない

名義が変わる時期は、郵便がいちばん危ない。前の名義宛ての書類が古い住所へ届き続ける。

転送の届け出は出しておく。ただし期間に限りがあるので、その間に差出人へ住所変更を伝える。

伝える先は、取引先だけではない。保険、金融機関、通信、行政。定期的に書類が来る先を全部並べる。

前の代表と連絡が取れるうちに、届いた郵便をどう渡すかを決めておく。関係が切れてからでは頼みにくい。

そして、受け取りを預ける形にしておくと、切り替えの時期でも取りこぼさない。

取引先への伝え方

変更の連絡は、一斉に出すものと、個別に説明するものに分ける。

主要な相手には、会って説明する。名義が変わったことより、これまでと同じように続くかどうかを知りたがっている。

書面での通知は、変わった項目だけを箇条で書く。長い挨拶文の中に埋めると、読み飛ばされる。

請求書の宛先や振込先が変わるなら、それは太字ではなく、独立した項目として書く。金額に関わる部分は、間違えられると回収が遅れる。

反映されるまでに、ひと月はかかると思っておく。その間に届く書類は、前の名義のまま来る。

伝えた相手は一覧に印を付けていく。伝えたつもりの相手が一番危ないので、記録で潰す。

半年後にもう一度、まだ前の名義で届いているものが無いかを見る。そこで残っていれば、伝え漏れがあったということだ。

よくある質問

Q. 許認可はそのまま引き継げますか。

A. 形によって変わる。会社ごと引き継ぐなら残ることが多く、事業だけを譲る場合は取り直しになることがある。申請先に確認する。

Q. 登記の変更はいつまでにやりますか。

A. 変更から二週間以内と決まっているものが多い。遅れると過料の対象になることがあるので、日程の先頭に置く。

Q. 借りた住所で登記できますか。

A. 多くの提供元が対応しているが、許認可の要件を満たすかは別に確認が要る。用途を伝えて書面で回答をもらう。

Q. 郵便の転送はどのくらい続きますか。

A. 期間には限りがある。その間に差出人へ変更を伝え、届き続ける先を一つずつ潰していく。

まとめ

引き継ぎの形を先に決める。形が決まらないと、届け出も決まらない。

変わるものを並べて、それぞれの期限を書き添えてから日程を組む。

所在地が動くと連絡先が芋づるで出てくる。次に動かさない住所を選ぶ手がある。

許認可は取り直しになることがある。空白の期間を作らない日程を組む。

そして、郵便を切らさない。名義が変わる時期は、そこがいちばん抜ける。