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社員の自家用車を業務で使わせるとき。手当と保険の線引き

公開 ・ 更新

社員の自家用車を業務に使わせる場合に決めておくことを判断の順に追います。任意保険の条件、走行距離に応じた手当の考え方、駐車場代やガソリン代の扱い、事故が起きたときの責任の所在まで。確認先も明示しています。

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社員が自分の車で取引先を回っています。ガソリン代は月に一度、申告された金額を払っています。保険については、誰も確認したことがありませんでした。

先月、その車で接触事故がありました。相手への対応をしているうちに、業務で使わせていた責任がどこまで会社にあるのかが分からなくなりました。

なぜ先に決めるのか

曖昧なまま使わせると、事故のときに困ります。

起きるのは、保険が使えない条件だった、会社の責任の範囲がはっきりしない、費用の負担で不満が出る、社員によって扱いが違う、車の整備状態を誰も見ていない、この五つです。

問題が表に出るのは事故のときです。それまでは何年も動いてしまうため、決めないまま続いている会社が少なくありません。 何も起きていない期間は、決めていないことの不都合が見えません。

そして、起きたときには、遡って整えることができません。保険の条件も、手当の根拠も、その時点のままで判断されます。

事故が起きる前に、保険と手当と責任の三つを決めてください。台数と頻度によっては、社用車を持つほうが安く、管理も楽になります。

車の鍵を手渡す場面

保険の条件を確認する

ここを飛ばすと、他をいくら決めても意味がありません。

確認するのは、業務での使用が補償の対象か、対人と対物の補償額、使用目的の申告内容と実態が合っているか、運転者の範囲の限定、会社側でかける保険の要否です。

個人の保険は使用目的を申告して契約しています。通勤や日常使用で申告している車を業務で使うと、条件に合わない可能性があります。本人任せにせず、証券の写しで確認してください。

保険は毎年更新されます。年に一度、内容を確かめる時期を決めてください。更新の際に条件が変わることもあります。

会社としてどこまで備えるべきかは、保険会社の窓口と、必要に応じて弁護士に確認してください。

手当をどう決めるか

「実費」で始めると、必ずもめます。

決め方の型は、距離に応じた単価で払う、月額の定額にする、実費を精算する、定額と距離の組み合わせ、駐車場代や高速代を別に扱う、この五つです。

距離あたりの単価には、燃料代だけでなく、消耗と保険の負担が含まれます。燃料代だけを払う設計にすると、車を出す人が損をします。 タイヤも、車検も、走行が増えれば早く来ます。

そして、その負担は本人が負います。会社の業務で走った分を、自分の財布で払っている状態です。

燃料、消耗品、タイヤ、車検の一部、保険。どこまでを手当に含めるかを文書にしてください。含めない分は別に精算します。手当の出し方によって給与として扱われるかが変わります。税理士に確認してください。

走行の記録を残す

申告だけでは、根拠が残りません。

記録する項目は、日付と訪問先、出発地と到着地、走行の距離、業務の内容、高速や駐車場を使った場合の費用です。

距離で手当を払うなら、距離の根拠が要ります。記憶で書かせると、人によって基準が変わります。

訪問先が決まっているなら、あらかじめ距離表を作っておくと毎回測らずに済みます。よく行く先を一覧にしてください。燃料代を実費で精算するなら、高速情報協同組合のガソリンカード を渡して給油を明細に残す形にすれば、レシートを集めて突き合わせる作業がなくなります。

記録と精算が別々だと、確認に時間がかかります。同じ様式にまとめてください。

駐車中の自動車

会社が見ておく車の状態

社員の車でも、業務で使うなら無関係ではありません。

確認しておくのは、車検の有効期限、タイヤの状態、保険の満了日、運転する人の免許の有効期限、修理が必要な不具合の有無です。

整備されていない車で業務に出させていた、という状態を避けるためです。細かく点検する必要はありませんが、期限だけは把握してください。

個人の所有物です。業務に関わる範囲に限って確認すること、その理由を伝えることが大切です。 私生活の移動まで管理する話ではありません。

そして、理由を伝えずに提出を求めれば、監視されていると受け取られます。目的を先に説明してください。

「業務で使う以上、会社にも責任が生じるため」と伝えます。免許証の確認は、社用車を使う社員と同じ扱いにしてください。

事故が起きたときの扱い

責任の所在を先に整理しておきます。

先に決めるのは、連絡の順番、どの保険から対応するか、修理費と免責の負担、業務中かどうかの判断、その後も業務で使わせるかです。連絡の順番は社用車と同じにします。

業務中の事故は、会社の責任が問われる場面があります。「社員の車だから社員の問題」とはなりません。弁護士に確認して、範囲を整理してください。

通勤の途中で取引先に寄った場合など、判断の難しい場面があります。あらかじめ考え方を決めておくと現場が迷いません。

アルコールの確認も、社用車と同じ扱いにします。自分の車だからという理由で、扱いを緩めないでください。

事故の後にその車を業務で使わせ続けるかも、判断が要ります。本人が運転をためらう場合は、無理をさせない選択が必要です。運転する人が入れ替わる前提なら、クレジット審査なし!法人ガソリンカード のように全国の店で使えるカードを人ではなく車に紐づけておくと、担当が変わっても精算の形を変えずに済みます。

よくある質問

Q. 月に数回しか使いません。それでも決めが必要ですか。

A. 必要です。頻度が低くても、事故が起きれば同じ問題になります。回数が少ないなら、レンタカーやカーシェアに切り替える選択もあります。

Q. 手当はいくらが妥当ですか。

A. 一律の正解はありません。燃料費だけでなく消耗と保険の負担を含めて考え、金額の根拠を文書に残してください。税務上の扱いは税理士に確認してください。

Q. 保険の証券を見せてほしいと言いにくいのですが。

A. 業務で使わせる以上、確認は会社の責任です。目的を伝えて依頼してください。個人の情報に踏み込まない範囲に限ることも同時に伝えるとよいでしょう。

Q. 断る社員がいた場合は。

A. 自家用車の業務利用を強制する形は避けてください。使わない選択ができるよう、社用車やレンタカーなどの代わりを用意しておくのが安全です。

まとめ

自家用車を業務で使わせるなら、保険の条件の確認が最初です。ここを飛ばすと、他を決めても意味がありません。

手当は「実費」で始めないこと。燃料だけでなく、消耗と保険の負担を含めて設計してください。

距離で払うなら距離の根拠が要ります。よく行く先の距離表を作っておくと手間が減ります。

車検と免許の期限だけは会社も把握してください。個人の所有物なので、範囲は業務に関わる部分に限ります。

そして、事故のときの責任の範囲を先に整理すること。社員の車でも、業務中なら会社の問題になります。