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BUSINESS COLUMN

決めごとが守られないのはなぜか。セキュリティを教える順番

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貼り紙を出しても人は動きません。何が起きるのかをどう見せるか、対策ソフトと置き場所でどう支えるか、社内システムのデータをどのサーバに寄せるかを、順番に決めていきます。

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パスワードを付箋に書かないでください、と貼り紙を出したことがあります。一週間で誰も見なくなりました。

貼り紙が効かないのは、書いてある内容が間違っているからではありません。読んだ人が、なぜそれが要るのかを分かっていないからです。理由の分からない決めごとは、忙しい日にいちばん先に外されます。

貼り紙では人は動かない

守られない決めごとには、だいたい共通点があります。何が起きるのかが書いていないことです。

だめだと言われても、何がだめなのかが分からなければ、目の前の締め切りが勝ちます。手順を一つ飛ばして今日が終わるなら、飛ばすほうを選びます。

だから、伝える側の仕事は「決める」ことではなく「起きることを見せる」ことになります。これは教育の話であって、規則の話ではありません。

もう一つ、決めた本人以外が理由を説明できない、という問題もあります。決めた人が辞めた後も貼り紙だけが残っている職場は珍しくありません。誰も理由を言えない紙は、誰も守りません。

何が起きるのかを先に見せる

情報の扱いで起きることは、抽象的に説明しても伝わりません。具体的な場面に落とします。

添付ファイルを開いた端末がウイルスに感染すると、その端末だけでは終わりません。つながっている先まで見に行かれます。

取引先の名簿が漏えいすると、謝る相手は自分の会社ではなく相手の会社の顧客になります。情報漏えいの怖さは、迷惑をかける範囲が自分の外側に出ることです。

閉じた黒い本

不正アクセスは、大きな会社だけを狙って来るわけではありません。侵入しやすいところから順に試されます。小さな職場は、対策が薄いという理由で選ばれます。

言い方を変えると通る

同じ内容でも、言い方が変わると受け取られ方が変わります。ここは学ぶことができる技術です。

責める形で伝えると、相手は理由の説明ではなく言い訳を考え始めます。そうなると、次からは報告そのものが来なくなります。

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伝える側が変わると、報告が早くなります。事故は隠されている時間の長さで被害が決まるので、これは効きます。

仕組みで支える

教えるだけでは足りません。人が忘れても成り立つように、仕組みの側でも受けます。

端末に入れる対策ソフトは、その代表です。不審なメールの添付や、改ざんされたページを開いたときに止めてくれます。全員に同じものを入れておくと、説明も一度で済みます。

家で使う端末も同じ扱いにします。仕事の書類を家の端末で開く人がいるなら、そこが弱いところになります。家族と共用している端末なら、なおさらです。

机の上のノートとキーボード

入れっぱなしにせず、更新が効いているかを月に一度だけ見ます。期限が切れた対策ソフトは、入っていることが安心につながるぶん、無いより危ないことがあります。

データをどこに置くかを決める

もう一つ決めておくのが、置き場所です。ファイルが人の端末に散っている状態は、何をしても守りきれません。

誰がどこに何を置いたかを把握できないと、漏れたときに何が漏れたのかを説明できません。説明できない事故は、実際の被害よりはるかに大きく扱われます。

社内システムや業務システムのデータを一か所に寄せて、そこにだけ守りをかける形にします。持ち出す必要が減れば、持ち出しの事故も減ります。

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置き場所を自前で持つなら、サーバの管理を誰がやるかまで決めます。誰も見ていないサーバは、更新が止まった時点で穴になります。

借りる形にして手間を減らす

自分で機械を持つと、管理が全部こちらに来ます。ここは借りたほうが早い部分です。

法人向けのレンタルサーバーなら、クラウド上で動くため機械の置き場所も電源も要らず、更新の作業も提供側が受け持ちます。

自社サイトやホームページを置くだけなら小さい契約で足ります。業務のデータを載せるなら、バックアップの取り方まで確かめてから決めます。

契約前に見るのは、止まったときに誰に連絡するかです。ここが不明な契約は、止まった日に必ず困ります。

決めごとを減らす

最後に、数を減らします。守るべきことが二十個ある職場では、どれも守られません。

三つに絞ります。端末に対策ソフトを入れる、データは決めた場所に置く、おかしいと思ったらすぐ言う。この三つが回っていれば、多くの事故は防げます。

半年に一度、残っている決めごとを読み返して、要らないものを捨てます。増やすより捨てるほうが難しいので、日を決めてやります。

新しく入った人に説明してみると、要らないものが見つかります。説明しながら自分が困ったところが、そのまま捨てる候補です。新人に教える場面は、決めごとを点検する機会でもあります。

事故が起きた後に決めごとを足すのは自然な反応ですが、足すだけだと数年で読めない量になります。一つ足したら一つ捨てる、と先に決めておくと膨らみません。

よくある質問

Q. 注意しても直らない人にはどうしますか

A. 個人を責める前に、手順のほうが面倒すぎないかを見ます。守れない手順は、たいてい設計のほうに原因があります。

Q. 対策ソフトは入れる必要がありますか

A. 端末を仕事に使うなら入れます。無料のものだけで済ませると、更新が止まっていることに気づけません。

Q. 研修はどのくらいの頻度でやりますか

A. 年一回の長い研修より、十五分を四回のほうが残ります。人が入れ替わる職場ほど短く刻みます。

Q. サーバは自前と借りるのとどちらがいいですか

A. 管理できる人が中にいないなら借ります。置いた機械は、誰かが面倒を見続けないと必ず古くなります。

まとめ

守られない決めごとは、理由が伝わっていません。何が起きるのかを具体的な場面で見せます。

言い方は学べます。責める形で伝えると、次から報告が来なくなります。

人が忘れても成り立つように、対策ソフトと置き場所の二つで支えます。

決めごとは三つに絞り、半年に一度読み返して捨ててください。