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社内の資料をAIに読ませたい。入れる前に決めること

公開 ・ 更新

議事録や手順書をAIに読ませて調べ物を早くしたい。入れてよい資料の線引き、録音や文字起こしの扱い、社内で先に決めておくルールを整理します。

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社内の手順書や過去の議事録をAIに読み込ませれば、「あの案件のときどう決めたか」を数秒で引けるのではないか。そういう提案が現場から上がってきました。試してみたい気持ちはありますが、社外のサービスに社内の資料を渡してよいのかが分からず、判断が止まっています。

止まったまま数か月が過ぎ、その間に一部の社員が個人の判断で使い始めている。よくある展開です。禁止も許可もしない状態がいちばん危うい。ここでは、入れてよい資料の線引きと、録音や文字起こしの扱い、そして先に決めておくべきことを整理します。

資料を三つに分けるところから

すべての資料を一律に扱おうとすると決まりません。三つに分けてください。外に出しても支障のないもの、社内限りのもの、そして他社や個人の情報を含むものです。

一つ目には、公開している商品の説明、社外向けの案内、法令や公的機関が公開している資料が入ります。二つ目は、社内の手順書、社内向けの議事録、業務の記録。三つ目は、取引先から預かった資料、個人の情報を含む名簿、契約書です。三つ目は原則として外部のサービスに入れない、と決めるところから始めると、議論が前に進みます。

黒板とチョーク

契約の形で扱いが変わる

同じサービスでも、個人向けの契約と法人向けの契約で、入力した内容の扱いが違うことがあります。入力を学習に使うかどうか、保存期間はどれくらいか、どこの国のサーバで処理されるか。

この三点は、利用の前に必ず確認してください。個人が無料の範囲で使う場合と、会社として契約する場合では、条件が異なることが一般的です。会社として使うと決めたなら、法人向けの契約を結んだうえで、条件を書面で確認しておきます。確認した内容は、社内の決めごとを作るときの根拠になります。

何をさせたいのかを先に決める

技術の話に入る前に、何をさせたいのかを絞ってください。過去の決定を探す、手順書の内容を要約する、議事録から次にやることを抜き出す、問い合わせへの回答の下書きを作る。目的によって、必要な資料も、確かめるべき精度も違います。

絞らずに「とりあえず全部読ませる」と、量が多すぎて狙った答えが返らず、期待外れという結論になります。最初は一つの業務、一種類の資料から始めてください。効果が確認できたら、次を足す。この進め方なら、途中でやめても損失が小さくて済みます。実際に業務へ落とし込むところでつまずくことが多いので、(自由テキスト)のような形で進め方そのものを学ぶ機会を作ると、試行が空回りしにくくなります。

使いかけの色チョーク

会議の録音と文字起こしをどう扱うか

社内の資料として量が多いのが、会議の記録です。手書きの議事録は要点しか残っていないため、録音して文字起こししたものを使いたくなります。ここには別の注意が要ります。

録音するときは、参加者に事前に伝えてください。黙って録音した記録を後から使うと、信頼の問題になります。社外の人が参加する会議では、必ず了解を取ります。文字起こしそのものは、専用の仕組みに任せると精度も速さも人手より優れます。(自由テキスト)のような文字起こしの仕組みを使う場合も、音声データをどこへ渡すことになるのかは、資料の三分類と同じ基準で判断してください。

出てきた答えをそのまま使わない

AIが返した内容には、事実と違うものが混じることがあります。社内の資料を読ませた場合でも、資料に無いことを補って答えることがあります。そのまま社外に出すと、間違いが自社の発言として残ります。

社外に出るもの、金額や日付に関わるもの、法令や制度の解釈に関わるものは、必ず人が確認してください。確認する人と、確認したことをどう記録するかを決めておきます。逆に、社内での下書きや、要点の整理といった用途なら、確認の手間は軽くて構いません。用途によって確認の厳しさを変えることが、続けるための現実的な線引きです。

決めごとを一枚にまとめる

決めた内容は、一枚にまとめて配ってください。使ってよいサービス、入れてよい資料と入れてはいけない資料、録音するときの手順、出てきた内容を人が確認する範囲、困ったときの相談先。この五つで足ります。

長い規程にすると読まれません。一枚に収め、新しく入った人にも渡します。半年に一度見直し、実態と合っていない部分を直してください。禁止事項を並べるより、使ってよい範囲を明示するほうが守られます。

効果を数える

導入したら、効果を確かめてください。数えるのは、その業務にかかっていた時間です。議事録の作成に三時間かかっていたものが一時間になったか、過去の決定を探すのに三十分かかっていたものが五分になったか。

効果が出ていなければ、原因を探します。読ませる資料が整理されていない、聞き方が定まっていない、そもそも探す機会が少ない。どれかに当たります。効果が出ない用途に固執せず、別の業務で試すほうが早いこともあります。

資料そのものを整えるほうが先の場合もある

読ませてみると、資料そのものが古い、重複している、どれが最新か分からない、という状態が明らかになることがあります。この場合、どんな仕組みを使っても良い答えは返りません。

そのときは、資料の整理を先にしてください。最新のものがどれか分かる状態にし、使わなくなったものを分ける。この作業は、AIを使うかどうかにかかわらず必要なものです。整理の必要性に気づけたこと自体を、試した成果と考えてよいと思います。

よくある質問

Q. どの資料までなら入れてよいですか

A. 外に出しても支障のないもの、社内限りのもの、他社や個人の情報を含むものの三つに分け、三つ目は原則として入れないところから始めてください。二つ目については、契約の形と入力の扱いを確認したうえで判断します。

Q. 社員が個人の判断で使っています

A. 禁止も許可もしない状態が最も危険です。使ってよい範囲を明示し、会社として契約したサービスを用意してください。禁止だけを通達すると、見えないところで使われ続けます。

Q. 会議の録音は本人に伝える必要がありますか

A. 伝えてください。社外の人が参加する場合は必ず了解を取ります。黙って録音した記録を後から使うと、内容の正しさとは別に信頼の問題になります。録音する目的と、記録をどこに保管するかも併せて伝えると受け入れられやすくなります。

Q. 答えが間違っていた場合、誰の責任になりますか

A. 社外に出したものについては、出した会社の責任になります。だからこそ、社外に出るもの、金額や日付に関わるもの、制度の解釈に関わるものは人が確認する範囲として決めておいてください。

まとめ

社内の資料をAIに読ませる判断が止まるのは、資料を一律に扱おうとするからです。三つに分けると、決められる部分から進みます。

契約の形によって、入力した内容の扱いは変わります。学習に使われるか、保存期間、処理される場所の三点を先に確認してください。

何をさせたいのかを一つに絞り、一種類の資料から始めます。全部を読ませようとすると、期待外れという結論になりがちです。

会議の録音は、参加者に伝えたうえで行ってください。文字起こしを外部に任せる場合も、音声データの扱いは資料と同じ基準で判断します。

そして、出てきた答えを人が確認する範囲を決め、決めごとを一枚にまとめる。禁止を並べるより、使ってよい範囲を示すほうが守られます。