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役員報酬をどう決めるか。手続きと変えられる時期

公開 ・ 更新

思いつきで変えると経費にならないことがある。決め方、時期、残す記録を一つずつ確かめます。

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役員報酬は、業績を見ながら社長が決めています。良い月は多めに、苦しい月は減らして払っていました。

先日、税理士から「途中で変えた分は経費として扱えない場合がある」と言われました。会社の資金の状況に合わせただけのつもりでした。いつ、どう決めればよいのかが分かりません。

従業員の給与と扱いが違うことを知る

同じ「毎月払うお金」ではありません。

違うところは、決める手続きが定められていること、期の途中で自由に変えられないこと、変え方によって経費として扱えないことがあること、社会保険の負担にも影響すること、株主総会や役員の決定が前提になること、そして確認先です。

期の途中で自由に変えられません。ここが従業員の給与と大きく違います。

社会保険の負担にも影響します。金額が変われば等級も動きます。

株主総会や役員の決定が前提になります。社長一人では決められません。

扱いは税理士に確認します。

資金繰りに合わせて毎月変えないでください。会社の都合で動かすと、経費として扱えない部分が出ます。 会社の資金が苦しいから減らす。これは、経営としては自然な判断です。

しかし、役員報酬には定められた扱いがあります。毎月の額が動いていれば、その変動した部分について、経費として認められない可能性があります。

結果として、支払っているのに経費にならない。会社の税負担は減らず、個人の側では課税される。この二重の不利が生じます。動かす前に、扱いを確かめます。

事務机とパソコン

決める時期を固定する

変えられる時期が決まっています。

段取りは、決算の数字が固まる、翌期の見通しを立てる、株主総会で総額の枠を決める、役員ごとの配分を決める、決めた内容を議事録に残す、決めた月から新しい額にすることです。

決算の数字が固まったら、翌期の見通しを立てます。

株主総会で、総額の枠を決めます。

役員ごとの配分は、その枠の中で決めます。

決めた内容を議事録に残します。ここが抜けやすい部分です。

期首から数えた一定の期間内に決めます。時期を過ぎてからの変更は扱いが変わるため、税理士に確認してください。 決められる時期は限られています。過ぎてからでは、次の期まで動かせません。

しかも、その時期は決算の直後です。前期の数字を締め、翌期の見通しを立て、総会を開き、議事録を作る。この一連を、限られた期間で行います。

決算の予定を立てる段階で、報酬を決める日程も一緒に入れます。「決算確定の翌月に総会」と決めておけば、間に合わなくなることはありません。

金額の根拠を持っておく

「社長だから」では説明になりません。

そろえる材料は、同じ規模・同じ業種の水準、担っている役割と責任の範囲、勤務の実態、会社の利益の見通し、過去の推移です。

同じ規模・同じ業種の水準を調べます。公表された統計があります。

担っている役割と責任の範囲も書きます。

会社の利益の見通しも根拠になります。

過去の推移も残します。急な変動には理由が要ります。

勤務の実態を書き残してください。名前だけの役員に支払っていると、扱いを問われることがあります。 家族を役員にしている会社は多くあります。それ自体は問題ではありません。

問題になるのは、実際の勤務がないまま報酬だけが支払われている場合です。非常勤の役員であっても、何をしているのかを説明できる必要があります。

「月に何日、どの業務に従事しているか」を記録します。取締役会への出席、決裁、対外的な折衝。実態があるなら、それを書き残すだけで足ります。

実態を書き残すには、動いた記録が自動で残る形にしておくのが一番手軽です。高速代を新会社でも作れる 法人ETCカード のような法人名義のETCカードに寄せておけば、いつどこへ出向いたかが明細に残り、報酬の根拠を後から説明しやすくなります。

資料が置かれた机

会社に残す分との配分を考える

多く取れば手取りが増えるとは限りません。

見るところは、会社の税と個人の税・社会保険の合計、借入の返済に必要な資金、設備の入れ替えに要る資金、融資を受けるときの見え方、そして確認先です。

会社の税と、個人の税・社会保険の合計を見ます。

融資を受けるときの見え方も考えます。利益が薄く見えます。

配分の試算は、税理士に依頼できます。

返済と設備に要る資金を先に確保してください。手取りを優先して会社の資金が薄くなると、次の投資が止まります。 借入の返済は、利益から行います。経費ではありません。

報酬を多く取れば、会社に残る利益が減ります。返済に充てる資金も減ります。返済が滞れば、次の借入も難しくなります。

年間の返済額と、設備の更新に要る額を先に計算します。その分を確保したうえで、残りをどう配分するかを考えます。順番を逆にすると、数年後に資金が回らなくなります。

記録を残す

決めた事実が残っていないと、説明できません。

残すのは、株主総会の議事録、役員の決定の記録、決めた日、支給を始める月、変更した場合はその理由です。

株主総会の議事録には、総額の枠を書きます。

役員の決定の記録には、各人の配分を書きます。

変更した場合は、その理由も書きます。

決めた日と支給を始める月を書いてください。ここが曖昧だと、後から時期を証明できません。 決められる期間内に決めたことを、後から示す必要が生じます。

議事録に日付がなければ、それを示せません。支給を始める月が書いていなければ、いつから変わったのかも分かりません。

「令和何年何月何日開催」「同年何月支給分より」。この二つを、必ず書きます。書式は一枚で足ります。毎年同じ様式を使えば、作成の手間もほとんどかかりません。

同じことが日々の経費にも言えます。役員が自分の財布で給油して後から精算する形をやめ、クレジット審査なし!法人ガソリンカード のような法人向けの給油カードに切り替えると、報酬とは別の支出だと帳簿の上でも読み取れます。

業績が急に悪化したときの扱いを相談する

変えられない、と決めつける必要もありません。

相談するのは、どういう事情なら期中の変更が認められるか、減らす場合の手続き、未払いにする場合の扱い、社会保険の届出との関係、そして確認先です。

減らす場合の手続きも確かめます。決定の記録が要ります。

未払いにする場合の扱いも確かめます。支払わなくても課税されることがあります。

社会保険の届出との関係も確かめます。等級が変わります。

先に相談してから動かしてください。支払いを止めてから相談すると、選べる手が減ります。 資金が足りず、今月から役員報酬の支払いを止めた。この後で相談しても、できることは限られます。

一方、動かす前に相談すれば、認められる形での変更、未払いとして処理する方法、社会保険の届出の手順を、順を追って進められます。

資金の見通しが厳しくなった時点で、税理士に連絡します。「来月から払えないかもしれない」の段階です。動かした後ではなく、迷った時点で相談します。社会保険の扱いは、社会保険労務士にも確認してください。

退任するときのことも決めておく

退職の際に払うお金は、扱いが別になります。

先に確かめるのは、規程を定めているか、株主総会の決議が要るか、金額の算定の考え方、支払う時期、そして確認先です。

規程を定めているかを確かめます。多くの会社が持っていません。

株主総会の決議が要るかも確かめます。

金額の算定の考え方も決めます。在任年数と最終報酬が基礎になります。

支払う時期も決めます。分割にする場合もあります。

規程がないまま支払わないでください。手続きを踏まないと、扱いを問われることがあります。 退職の際に払うお金は、金額が大きくなります。

規程も決議もないまま支払えば、その額の妥当性を説明できません。経費として認められない部分が生じる可能性があります。

在任中に、規程を整えておきます。算定の方法を定め、株主総会で承認を得ておきます。退任が決まってから作ると、後付けと見られます。税理士と弁護士に確認してください。

よくある質問

Q. 毎月変えてはいけませんか。

A. 変動した部分が経費として認められない可能性があります。支払っているのに経費にならない状態が生じます。

Q. いつ決めるのですか。

A. 決算のあと、期首から数えた一定の期間内です。決算の予定を立てる段階で、総会の日程も一緒に入れてください。

Q. 金額の根拠はどう示しますか。

A. 同規模・同業の水準、役割、利益の見通し、過去の推移です。非常勤の役員は、月に何日どの業務かを記録します。

Q. 業績が急に悪くなったら。

A. 支払いを止める前に相談してください。動かした後では、選べる手が減ります。

まとめ

役員報酬は従業員の給与とは扱いが違うと知ること。

決算の予定に、報酬を決める総会の日程を組み込むこと。

勤務の実態を、月に何日どの業務かの形で書き残すこと。

返済と設備に要る資金を先に確保してから配分を決めること。

そして、時期・金額・期中の変更の扱いは税理士に確認してください。