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在宅前提の職種を作る。切り出せる業務と評価の決め方

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出社を前提としない職種を新しく設ける場合、どの業務を切り出し、どう評価し、何を用意するか。採用の幅を広げる手段としての設計を整理します。

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通勤圏に応募者がいません。求人を出しても、届く範囲の人だけが対象になります。在宅でできる仕事なら、地方の人にも障害のある人にも、育児中の人にも来てもらえるのではないか。そんな話が出ました。

出社を前提としない職種を作ることは可能です。ただし、既存の職種をそのまま在宅にするのとは別の設計が要ります。この記事では、切り出し方と評価の決め方を整理します。

在宅前提とテレワークは別

混同すると設計を誤ります。

既存社員のテレワークは、出社もできる人が一部を在宅で行う形です。困ったら出社できる前提があります。

在宅前提の職種には、困ったときに出社してもらう選択肢がありません。遠方の人、通勤が困難な人も対象になります。

違いが出るのは、引き継ぎと教育を全部リモートで行う必要があること、紙の書類や現物を扱えないこと、雑談から拾える情報が入らないこと、設備を送る必要があること、緊急時に駆けつけられないことです。

雑談から拾える情報が入らない点は、見落とされがちです。

設備の送付と回収も、手順を決めておく必要があります。

ここまで含めて設計してください。「テレワークができているから在宅前提もできる」とは限りません。

窓際の作業スペース

切り出せる業務を洗い出す

業務ありきで始めます。

切り出しやすいのは、成果物で完了が判断できるもの、データの入力や確認や集計、問い合わせ対応、調査や情報の整理、記録の整備や手順書の作成です。

成果物で判断できるものには、資料作成、記事作成、設計、開発が含まれます。

切り出しにくいのは、現物を扱うもの、その場での判断が常時必要な業務、紙の原本を扱う手続き、社内の人を捕まえて進める調整業務です。

手順としては、部署ごとに片手間でやっている作業を洗い出し、在宅で完結するかを判定し、複数の部署から集めて一つの職務にまとめ、量が継続的にあるかを確認します。

複数の部署から集めることが肝です。一部署では足りなくても、集めれば一人分になることがあります。

「在宅でできる人がいるから何か任せよう」では回りません。業務を確定してから採用に進んでください。

評価をどう決めるか

基準を先に決めます。

やるのは、成果で評価する項目を決めること、期限と品質の基準を明示すること、過程を報告する形を決めること、定期的に話す場を持つことです。

評価の項目には、処理件数、納品物、品質が使えます。過程の報告は、日報、週報、進捗の共有といった形になります。

評価の基準を先に決めてください。基準がないまま在宅にすると、上長が不安になり、監視に向かいます。

やってはいけないのは、常時カメラや画面を監視すること、出社している人と別の基準で不利に扱うこと、成果が見えないことを理由に評価を下げることです。

常時の監視は負担が大きく、信頼も失われます。

昇格と処遇も整理してください。在宅前提だからという理由で昇格の対象外にしないでください。制度上の扱いを明文化しておく必要があります。

用意するもの

設備と制度の両方が要ります。

設備は、端末、通信環境、作業に必要な周辺機器、社内システムへの接続手段です。端末は送付と回収の手順を決めてください。

モニターや椅子を補助するかも決めておきます。

制度としては、勤務時間の扱い、費用負担、労災の扱い、情報の取り扱いのルールを決めます。

勤務時間は、始業終業の記録方法を決めてください。費用負担では、通信費や光熱費の手当を検討します。

自宅での業務中の事故について、労災の扱いも確認しておいてください。

運用面では、質問できる相手と手段、定例の場、記録を残す仕組みを用意します。在宅勤務の労務管理には、労働時間の把握や費用負担など制度上の論点があります。判断に迷う場合は社会保険労務士に相談してください。

椅子とデスクを整えた作業環境

採用の入口を広げる

届く相手が変わります。

対象になり得るのは、遠方に住んでいる人、通勤が困難な人、育児や介護と両立している人、在宅での訓練を受けてきた人です。

在宅で職業訓練を受けられる仕組みがあり、そこから人材を紹介する事業者もあります。受け入れ側の初期負担が軽くなる利点があります。在宅×ITスキルで障害や体調にあわせた働き方を【就労移行支援manaby】 は在宅でITの訓練を受けた人を対象にしているので、切り出した業務が事務や制作の寄りなら話が合いやすいはずです。

採用時に伝えるのは、出社の要否、勤務時間の扱い、使う道具と支給の範囲、評価の方法、チームとの関わり方です。

出社の要否を曖昧にしないでください。「基本在宅」と「完全在宅」は別です。

まったく不要なのか、年に数回はあるのか。遠方の人にとっては決定的な違いになります。

評価の方法も、募集の段階で示してください。見られていない状態でどう評価されるかは、応募者が最も気にする点です。

孤立させない

出社側の運用も変えます。

やるのは、定例の場を必ず置くこと、雑談の場を意図的に作ること、決まったことを文字で残すこと、質問の窓口を明示すること、出社しているメンバーにも記録に残す習慣をつけてもらうことです。

定例は週に一度でも構いません。決まった時間があることが重要です。

出社側の習慣を変えることが要点です。在宅の人だけが工夫しても解決しません。

会議室での立ち話で決まったことが伝わらない状態は、在宅の人には手が出せません。口頭で決めない運用にしてください。

質問の窓口も明示してください。誰に聞けばよいかが分からないと、抱え込みます。

評価者との関係も考えてください。上長が一度も会ったことがない状態は避けてください。可能なら年に数回、集まる機会を作ります。体調に波がある人を迎えるなら、在宅×ITスキルで自分らしく働く【就労移行支援manaby】 のように就業した後も支援機関が関わり続ける形を選ぶと、上長が一人で抱えずに済みます。

起きやすい問題

五つの型があります。

起きるのは、任せる業務が枯渇すること、教育がうまくいかないこと、評価が曖昧になること、出社側との情報格差、孤立です。

情報格差が最も多く起きます。会議室での立ち話で決まったことが伝わりません。

在宅前提の職種を作るなら、社内の情報共有のやり方も変える必要があります。

任せる業務の枯渇も起きます。切り出した業務が終わると、次がない。先に量を確認してください。

教育も、リモートだけで教える設計になっていないと失敗します。手順書と録画を用意してください。

評価の曖昧さは、基準を決めていないために上長の印象で決まる形で表れます。孤立も、相談相手がおらず抱え込む形で起きます。

よくある質問

Q. どんな業務が向きますか。

A. 成果物で完了が判断できるもの、データの処理、問い合わせ対応です。現物を扱う業務や、その場の調整が中心の業務は向きません。

Q. 評価はどうしますか。

A. 成果で評価する項目を先に決めてください。基準がないまま始めると、上長が不安になり監視に向かいます。

Q. 費用はどこまで負担しますか。

A. 通信費や光熱費の扱いは制度上の論点があります。社会保険労務士に相談して方針を決めてください。

Q. 完全在宅にすべきですか。

A. どちらでも構いませんが、募集時に明示してください。「基本在宅」と「完全在宅」は、遠方の応募者にとって決定的な違いです。

まとめ

テレワークとは別の設計が要ること。出社できる前提がありません。

複数の部署から集めて一つの職務にまとめること。集めれば一人分になります。

評価の基準を先に決めること。ないと監視に向かいます。

「基本在宅」と「完全在宅」を、募集時に明示すること。

そして、決まったことを文字で残す習慣を出社側にもつけてもらうこと。