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BUSINESS COLUMN

入社した人が前職の資料を持ち込んだ。会社の責任

公開 ・ 更新

受け取ってしまうと会社が問われる。断り方と手順を判断の順に追います。

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同業から転職してきた社員が、前の会社で使っていた資料を持ってきました。「参考になるので」と共有しようとしています。

本人に悪気はありません。しかし、これを受け取ってよいものか迷いました。断ると意欲を削ぐ気もします。どう扱えばよいのかが分かりません。

受け取ると会社が問われる

個人の問題では、済みません。

起きるのは、会社として使ったと見なされる、前の勤務先から請求を受ける、本人だけでなく会社が責任を負う、取引先からの信用を失う、といったことです。

会社として使ったと見なされます。社内で共有されれば、組織としての利用です。

前の勤務先から請求を受ける可能性もあります。損害の賠償や、使用の差し止めです。

取引先からの信用も失います。同業の情報を不適切に扱う会社だと見られます。

責任の範囲については、弁護士に確認できます。

会社が責任を負います。本人が持ってきただけ、では通りません。 「社員が個人的に持ち込んだもので、会社は関知していない」という説明は、通りにくくなります。

その社員は会社の指揮の下で働いており、持ち込まれた資料が業務で使われれば、会社の利益になっています。

そして、上司が内容を見た、社内で共有された、業務に反映されたという事実があれば、なおさらです。個人の問題として処理できる段階を、早い時点で越えます。

建物の郵便受け

その場で受け取らない

善意の申し出でも、いったん止めます。

やるのは、共有する前に止める、開かない、複製しない、社内に配らせない、本人を責めない、判断する人に上げることです。

共有する前に止めます。会議で配られる前が、最後の機会です。

複製もしません。写しを取れば、その分だけ管理の対象が増えます。

社内に配らせません。一度配られれば、回収は困難です。

本人を責めないことも重要です。悪意はありません。

開かないでください。中身を見た事実が残ると、後から使っていないと言い切れません。 内容を確認してから判断しよう、と考えるのは自然です。しかし、見てしまえば、その知識は消せません。

そして、その後に類似のものを自社で作れば、「あの資料を参考にしたのではないか」と問われます。証明が困難になります。

封を開けず、あるいは画面を開かずに預かります。判断する立場の人に渡し、必要であれば弁護士の助言を得てから対応します。見ないことが、最も確実な防御です。

何が持ち込まれたかを確かめる

種類によって、扱いが変わります。

確かめるのは、前職の内部資料か一般に手に入るものか、顧客の名簿が含まれていないか、電子か紙か、どこに保存されているか、すでに社内で共有されていないかです。

前職の内部資料か、一般に手に入るものかを区別します。公開されている資料であれば、問題は生じません。

電子か紙かも確認します。電子であれば、複製が容易です。

どこに保存されているかも確認します。私物の端末、社の端末、外部の保存の場所。

すでに社内で共有されていないかも確認します。回収の範囲が決まります。

顧客の名簿を、最優先で確かめてください。個人の情報が含まれると、問題の重さが変わります。 業務の手順書や様式であれば、前の勤務先との問題にとどまります。

しかし、顧客の名簿には、個人の情報が含まれます。この場合、名簿に載っている個人に対する責任も生じます。前の勤務先だけの問題ではなくなります。

名簿の有無を最初に確認します。含まれていれば、対応の優先度と範囲が変わります。弁護士への相談も、その時点で行います。

私物の端末に入っていた場合は、消して終わりにせず、その端末をどうするかまで決めます。本人が手放すつもりなら、カメラ・ブルーレイ・スマホ・ドラレコなどの家電・デジタル家電の宅配買取なら「NETOFF家電」! のような宅配の買取に出す前に、中身を消した記録を残しておいてください。

並んだ郵便受け

返却と削除の手順を決める

曖昧に、処理しないことです。

決めるのは、紙は本人に返すか廃棄するか、電子は削除して記録を残す、社内に配られた分の回収、端末に残っていないかの確認、対応した記録を残すことです。

紙の資料は、本人に返すか、本人の同意を得て廃棄します。

電子のものは削除します。複製がないかも確認します。

社内に配られた分は回収します。誰に渡ったかを確認します。

端末に残っていないかも確認します。添付されたまま残っていることがあります。

対応した記録を、残してください。後から問われたときに、受け取らなかった事実を示せます。 前の勤務先から問い合わせを受けた場合、こちらが適切に対応したことを示す必要があります。

そして、口頭で「受け取っていません」と答えるだけでは、証明になりません。

いつ、何が持ち込まれ、どう対応したか。日付とともに記録します。返却や削除の事実も残します。この記録が、会社の姿勢を示す唯一の材料になります。

本人への伝え方を決める

責めずに、線を示します。

伝えるのは、会社として受け取れない理由、本人を疑っていないこと、前職での約束が続いていること、知識と経験は活かしてよいこと、困ったときの相談先です。

会社として受け取れない理由を説明します。制度の問題であることを伝えます。

本人を疑っていないことも伝えます。悪意を前提にしません。

前職での約束が続いていることも説明します。退職しても、秘密を守る義務は残ります。

困ったときの相談先も示します。判断に迷う場面が今後もあります。

知識と経験は活かしてよいと、伝えてください。すべてを封じると、採用した意味がなくなります。 「前職のことは一切使わないでください」と伝えれば、本人は何もできなくなります。経験を買って採用したはずが、その経験を使うなと言われます。

そして、萎縮した状態では、力を発揮できません。

「頭の中にある知識や経験は、あなたのものです。使ってください。ただし、資料や名簿といった形あるものは、前の会社のものです」。この線引きを明確に伝えます。区別が分かれば、本人も動けます。

返すものが紙ではなく、パソコンごとという場合もあります。前の勤務先へ送り返すなら、パソコン無料処分サービス『送壊ゼロ』 のように精密機器の輸送を前提にした梱包を使い、壊れた状態で届いて話がこじれるのを避けてください。

入社のときに先に伝える

起きてから、対応しないためです。

やるのは、入社時の説明に入れる、書面で確認する、前職の秘密を持ち込ませない旨、困ったときの相談先を示す、受け入れる側にも伝えることです。

入社時の説明に入れます。他の説明と一緒に伝えます。

書面でも確認します。持ち込まない旨を、本人に確認してもらいます。

前職の秘密を持ち込ませない旨を明記します。会社としての方針です。

相談先も示します。判断に迷った場合に聞ける先です。

受け入れる側にも、伝えてください。上司が「参考に見せて」と言ってしまう例が多くあります。 本人に持ち込まないよう伝えていても、受け入れる部署の上司が求めれば、断りにくくなります。

「前の会社ではどうやっていた」「その資料を見せてほしい」。悪意のない一言が、問題の起点になります。

管理職にも同じ内容を伝えます。求めないこと、渡されても受け取らないこと。本人への説明と同時に、受け入れる側への説明も行います。

自社が出す側にもなると考える

辞めていく人にも、同じ話です。

やるのは、退職時に返却と削除を確かめる、持ち出しの記録を見る、秘密保持の取り決めを確認する、転職先へ求めない旨も伝える、同じ手順を全員に当てることです。

退職時に返却と削除を確認します。書類、端末、記録の媒体。

持ち出しの記録も確認します。退職の直前に大量の取得があれば、確認します。

秘密保持の取り決めも確認します。退職後も続く義務です。

転職先へ求めない旨も伝えます。こちらの資料を持ち出さないよう依頼します。

同じ手順を、全員に当ててください。入る側と出る側で扱いが違うと、説明できません。 入ってくる人には厳しく、出ていく人には何も言わない。この運用では、方針として一貫していません。

そして、前の勤務先から問い合わせを受けた際に、自社の姿勢を説明できません。

入社時と退職時に、同じ内容を確認します。書面の様式も対応させます。一貫した手順があれば、外部への説明も容易になります。

よくある質問

Q. 見るだけならよいですか。

A. 開かないでください。中身を見た事実が残ると、後から類似のものを作った際に「参考にした」と問われます。

Q. 本人を処分すべきですか。

A. 責めずに線を示してください。悪気なく持ち込む例がほとんどで、萎縮させれば採用した意味がなくなります。

Q. 何を最優先で確かめますか。

A. 顧客の名簿が含まれていないかです。個人の情報が絡むと、前の勤務先だけの問題ではなくなります。

Q. 予防はできますか。

A. 入社時の説明と書面で先に伝え、受け入れる側にも同じ内容を共有してください。上司が求めてしまう例が多くあります。

まとめ

会社が責任を負います。個人の問題としては処理できません。

その場で開かず、複製もしません。見ないことが最も確実です。

顧客の名簿の有無を最優先で確かめてください。

対応した記録を残します。受け取らなかった事実を示せます。

入社のときに先に伝え、受け入れる側にも共有してください。