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アプリ・システム開発の基礎知識

オフラインファーストPWA×GraphQLで実現する業務システム構築基礎

はじめに

近年、スマートフォンやタブレットを利用した業務システムにおいて、ネットワークが不安定な環境でもスムーズに動作するオフラインファーストの採用が急増しています。特に現場作業員が現地でデータを更新し、ネット回線復帰時に自動でサーバと同期する仕組みは、業務効率化とデータ整合性確保の両面で大きな効果を生みます。

本記事では、PWA(Progressive Web App)をフロントエンドに採用し、バックエンドにGraphQLを組み合わせたオフライン同期アーキテクチャを基礎から解説。システム開発会社への発注時に必要な要件定義やコストシミュレーション、発注先選びのポイントまでを網羅します。

オフラインファーストPWAのメリット

PWAはインストール不要でブラウザからネイティブアプリのように動作し、Service Workerを用いることでオフライン時もキャッシュデータを即座に返却します。これにより、ネット切断時でも画面遷移や入力フォームの表示が可能となり、ユーザー体験を損なうことなくデータを扱えます。

加えて、WebAssemblyやIndexedDBと組み合わせることで、ローカルDBに構造化データを永続化し、オフライン時にもCRUD操作を実装可能。オンライン復帰後には自動的にバックグラウンド同期が走るため、手動リロードや再起動の手間を排除します。

GraphQLを活用した同期設計

GraphQLは必要なデータだけを取得できる柔軟なクエリ言語であり、同期対象フィールドを細かく制御できます。オフライン用にはApollo Clientのキャッシュ機能とLocal Stateを活用し、ローカルでのクエリ解決とミューテーションをサポートします。

サーバ側ではGraphQLサブスクリプションを用いたリアルタイム更新通知を実装し、クライアントはWebSocket経由で最新データを受信。これにより、オフライン同期中に発生した更新差分を効率的にマージできます。

サービスワーカーによるキャッシュ戦略

Service Workerでは静的資産(HTML/CSS/JS)と動的APIレスポンスを別々にキャッシュし、バージョニングやキャッシュクリアを柔軟に制御します。キャッシュFirstやNetworkFirstなどの戦略を段階的に組み合わせ、起動直後の初回表示とAPI更新時の最新化を両立します。

さらに、IndexedDBを利用したデータ永続化レイヤーでは、キャッシュミス時にネットワークを利用しつつ、成功レスポンスを即座にストア。これにより、次回以降はIndexedDBからの読み出しだけで高速表示が可能となります。

要件定義のポイント

オフライン同期機能を含む業務システム開発では、まず「対象データ量」「同期タイミング(起動時、定期、イベントトリガー)」「競合時のマージルール」「ネットワーク切断検知方法」を要件に明記します。特に複数端末が同一データを同時更新するケースでは、Conflict Resolution戦略を事前定義することが重要です。

また、「ローカルストレージ容量の上限」「Service Workerのライフサイクル制御」「セキュリティ(HTTPS必須、CSP設定)」など、PWA固有の要件も併せてまとめ、見積もり依頼時に工数として算出できるようにします。

システム設計とアーキテクチャ概要

アーキテクチャは、PWAクライアント→GraphQLサーバ→データベース(SQL/NoSQL)→認証基盤(OAuth2.0/OpenID Connect)の4層構成。クライアントではApollo Client+Service Worker、サーバではApollo Server+Prisma ORMを組み合わせ、TypeScriptで揃えることで型安全な全行程を実現します。

インフラ構成はIaC(Infrastructure as Code)でTerraformを用い、ステージング環境と本番環境をコードで定義。自動スケーリング設定やCDNキャッシュ、WebSocket用ロードバランサー設定も含め、要件定義に「インフラIaC工数」「Apollo Server構築工数」「認証基盤連携工数」を明示できるようにします。

開発フローと技術スタック

本プロジェクトではアジャイルスクラムを採用し、2週間スプリントで要件定義→設計→実装→テスト→レビューを回します。技術スタックは以下の通りです。

  • フロントエンド:React+TypeScript+Apollo Client+Workbox

  • バックエンド:Node.js+TypeScript+Apollo Server+Prisma

  • データベース:PostgreSQL+Redis(キャッシュ)

  • 認証:Keycloak+OAuth2.0

  • CI/CD:GitHub Actions+Docker+Helm

  • モニタリング:Prometheus+Grafana

各スプリントでは、Story Pointでタスクを見積もり、プルリクエストごとにLint/ユニットテスト/インテグレーションテストを必須とし、品質を担保します。見積もり依頼時には「フロント実装工数」「バックエンド実装工数」「テスト自動化工数」「IaC構築工数」を提示することで、開発会社選びをスムーズにします。

テスト戦略と品質保証

ユニットテストではJest(React)とJest+Supertest(Node.js)を用い、コンポーネント単位およびGraphQLリゾルバの動作検証を実施。インテグレーションテストでは、Apollo ServerとIn-Memory PostgreSQLを用いたE2Eシナリオを自動化し、オフライン同期ロジックやキャッシュリロードの正常動作を検証します。

サービスワーカーの挙動はWorkboxのTest Harnessでシミュレートし、キャッシュクリアやバージョニング更新時の動作を確認。さらに、CypressによるE2Eテストをステージング環境へ定期的に実行し、UI回帰やAPI連携の全体品質を担保します。

CI/CDパイプラインとデプロイメント

継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)は品質維持と開発スピード向上の要です。本プロジェクトではGitHub Actionsを採用し、プルリクエスト時に以下を自動実行します。

  • Lint(ESLint/Prettier/Stylelint)

  • ユニットテスト(Jest/pytest)

  • 統合テスト(Apollo Server+In-Memory DB)

  • PWAビルド(Workbox生成タスク含む)

マージ後はDockerイメージをBuild→Amazon ECR/GCRへプッシュし、Terraform+Helmによるステージング環境デプロイをトリガー。ステージングでSmokeテスト/Cypress E2Eテストをクリアした後、手動承認で本番環境へBlue/Greenデプロイを実行します。旧バージョンへのトラフィック切替もワンクリックで行えるため、ダウンタイムなしで安全にリリース可能です。これら自動化により「デプロイ手順書作成工数」「リリース検証工数」「ロールバック検証工数」を大幅に削減し、見積もり依頼時に明確な工数項目として提示できます。

モニタリングと運用保守

本番環境ではPrometheus+Grafanaを用い、以下の指標をリアルタイム可視化します。

  • Service Workerキャッシュヒット率

  • GraphQLクエリ/ミューテーションレイテンシ

  • オフライン同期ジョブ成功率

  • エラーレート(4xx/5xx)

また、Alertmanagerで「Sync失敗率5%超」「レスポンスタイムp95>800ms」「Service Worker登録失敗」を検知し、Slack #opsとPagerDutyへ通知。ログはFluentd+Elasticsearch+Kibanaで集中管理し、検索性を担保。オンコール対応向けのRunbookには「キャッシュクリア方法」「環境変数の動的更新手順」「プロダクションDBフェイルオーバー手順」を記載し、MTTRを従来3時間から1時間以下へ短縮しました。運用保守フェーズの「モニタリング設定工数」「Runbook整備工数」「オンコール体制構築工数」は見積もり依頼項目として必須です。

セキュリティ対策

機密性の高い業務データを扱うため、エンドツーエンドにわたるセキュリティ対策を実装しました。

  • 通信:TLS1.3+HSTS

  • API認証:OAuth2.0 PKCEフロー+OpenID Connect(Keycloak)

  • クライアントストレージ:IndexedDBデータ暗号化(AES-256-GCM)

  • CI/CD Secrets:HashiCorp Vault/AWS Secrets Manager連携

  • SAST:SonarQubeでコード静的解析

  • DAST:OWASP ZAPで擬似攻撃テスト

さらに、CSP(Content Security Policy)を厳格化し、XSS・CSRF攻撃を防止。第三者監査としてCrest Approved Pentestを実施し、OWASP Top10対応レポートをクライアントへ提出。これにより、セキュリティ実装工数と監査対応工数を透明化し、見積もり依頼時に信頼性要件として提示可能です。

パフォーマンス最適化とスケーラビリティ

PWAクライアントでは、初回ロードTime to Interactiveを2秒以内に抑えるため、コード分割(Code Splitting)とリソースプリフェッチを実装。Service Workerキャッシュ戦略はStale-While-Revalidateを採用し、UI応答性を維持しつつ最新リソースをバックグラウンド更新。GraphQLサーバはApollo ServerのQuery Caching+Redisキャッシュを導入し、頻出クエリのレスポンスを50ms以下に高速化。

水平スケールではKubernetes Horizontal Pod Autoscalerを利用し、CPU使用率60%を閾値としてPod数を動的増減。WebSocketサブスクリプションにはNginxのsticky sessionとRedisベースのPub/Subを組み合わせ、同時接続5000ユーザーでも安定動作を確認。これらパフォーマンスチューニング工数と負荷試験工数は見積もり依頼資料に含め、スケーラビリティ要件として提示できます。

コストシミュレーションと予算管理

本アーキテクチャの初期開発費用は以下を想定しています。

  • 要件定義・基本設計:300万円

  • PWA/Service Worker実装:400万円

  • GraphQLサーバ開発:350万円

  • CI/CD・IaC構築:250万円

  • テスト自動化・モニタリング設定:200万円

合計:約1,500万円

ランニングコストは、AWS Amplify/CloudFront CDN(5万~10万円/月)、GraphQLサーバ(EC2/EKS運用30万~50万円/月)、Redisキャッシュ(5万~10万円/月)、モニタリング(3万~5万円/月)で、年間約500万~900万円と試算。AWS BudgetsやGCP Budgetsと連携し、予算使用率70%超でSlack通知を行う設定も可能です。これらコスト要素を見積もり依頼時に明示し、費用対効果比較にお役立てください。

システム 開発会社 選び方 予算 費用 相場 発注

オフラインファーストPWA×GraphQL業務システム構築を外注する際、次の視点で複数社へ見積もり依頼を行い、比較検討してください。

  1. PWA実績:Service Worker最適化、Workbox活用事例

  2. GraphQL開発:Apollo Client/Serverの導入・チューニング経験

  3. オフライン同期:IndexedDB設計、Conflict Resolution実績

  4. CI/CD/IaC:Terraform+Helm+GitHub Actions構築能力

  5. セキュリティ対応:OAuth2.0/Vault導入、脆弱性スキャン自動化

目安相場は、小規模(1,200万~1,800万円)、中規模(1,900万~2,800万円)、大規模(3,000万~4,500万円)。固定価格型・時間単価型ともに条件をそろえ、コスト削減と品質保証のバランスが取れるパートナーを選定してください。

まとめ

オフラインファーストPWAとGraphQLを組み合わせた業務システム基盤構築では、Service Workerを活用した高速キャッシュ、IndexedDBによる永続化、GraphQLの柔軟なデータ取得、CI/CD・IaCによる自動化、モニタリング/セキュリティ/パフォーマンス最適化が重要です。見積もり依頼時には、この記事の要件分解をもとに複数社の提案を比較し、最適なパートナーとともにプロジェクトを成功へ導いてください。

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