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アプリ・システム開発の基礎知識

バージョン設計の基本|いつ、どのように「v1」「v2」を切り替えるべきか?

Webシステムやスマホアプリを開発・運用する中で、「バージョンをどう管理するか」は意外と見落とされがちな論点です。

たとえば、「新機能を追加したが、既存ユーザーに影響はあるのか?」「APIの設計変更をどう周知するべきか?」といった悩みは、すべてバージョン設計と密接に関係しています。

本記事では、非エンジニアの担当者にもわかりやすく、「バージョン設計とは何か?」「なぜ重要か?」「どう設計すべきか?」を解説します。

なぜバージョン設計が重要なのか?

システムやアプリは、リリース後も継続的に機能追加・改善が行われます。しかし、その過程で既存ユーザーの利用環境に影響を与えないための工夫が求められます。

そのためには、何がどのように変わったのかを「バージョン」で明示的に区切ることが不可欠です。

特に、API連携を伴うシステムや業務システム開発では、外部システムとの整合性テスト工程に関わるため、バージョン管理はプロジェクトの信頼性に直結します。

バージョン表記の種類と考え方

代表的なバージョン表記には以下のような種類があります。

セマンティックバージョニング(例:1.2.3)

  • 1:メジャーバージョン(互換性がない大きな変更)
  • 2:マイナーバージョン(機能追加などの変更)
  • 3:パッチバージョン(バグ修正など)

v1、v2といったAPIバージョン管理

業務システムやWebサービスでは、API側だけでなく、画面UIやDB構造の変更にもこの考え方を適用するのが望ましいです。

バージョンを分ける判断軸とは?

メジャーアップデートを行うべきタイミング

  • 画面のレイアウトやナビゲーションが大きく変わる
  • 入力項目の構成や必須項目が変更される
  • APIのレスポンス仕様や認証方法が変更される

このような場合は、既存ユーザーや連携システムに混乱を与えないよう、明確にv2として区切るべきです。

マイナーアップデートで済む変更

  • 新しい表示項目の追加
  • 一部文言の調整やバグ修正
  • 検索条件の追加など、既存動作への影響が少ない変更

こうした場合は、既存環境への影響が少ないため、バージョンを大きく分けずに更新しても問題ありません。

バージョン設計における実務的な注意点

1. 開発初期からバージョン戦略を設計に組み込む

後から慌ててバージョン管理を導入しようとすると、UIやURL設計の変更が必要になり、コストが増加します。

初期要件定義の段階から、**どこにバージョンを持たせるか(API、画面、DB構造など)**を明確にすることが重要です。

2. バージョン間の共存期間を見込む

v1ユーザーとv2ユーザーが一定期間並行して利用する可能性が高いため、

  • 並行運用のインフラ設計
  • バージョンごとのデバッグ環境の用意 が必要になります。

3. リリースノートと周知の工夫

社内システムであっても、「何がどう変わったか」を丁寧に伝えることで現場の混乱を防げます。

  • 管理画面のバージョン表記
  • ポップアップでの更新案内
  • ドキュメントやマニュアルの分岐対応

を取り入れましょう。

バージョン設計に強い開発会社とは?

開発会社選定時のチェックポイントとして、以下のような観点が挙げられます。

  • APIや画面仕様の変更時に「バージョン管理」を意識しているか?
  • ユーザーや連携先に対する影響度を事前に評価しているか?
  • 並行運用・段階リリースの実績があるか?
  • UIやデータ構造の進化に対し、計画的な設計変更を提案できるか?

これらを踏まえることで、「開発して終わり」ではなく、「育てられるシステム」の実現が可能になります。

まとめ:バージョン設計は未来への保険

バージョン設計は、単なる数字の問題ではなく、将来的なコスト削減と品質維持のための戦略的判断です。

システム開発依頼を行う立場であっても、「どんなときにv2になるのか?」「変更は誰にどのように伝えるのか?」といった視点を持つことで、開発パートナーとのコミュニケーションが格段に円滑になります。

その結果、想定外の仕様変更コストや運用トラブルを防ぎ、プロジェクト全体の成功確度を高めることができるのです。

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