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アプリ・システム開発の基礎知識

ローコードプラットフォームとは?基礎知識と導入メリット

ローコードプラットフォームは、プログラミングの専門知識がなくてもドラッグ&ドロップや簡易なビジュアル設定だけで業務アプリケーションを開発できる仕組みです。システム開発の従来型では、開発会社へ要件を発注し、プログラム設計からテスト、デプロイまで多くの工数と費用がかかるケースが一般的でした。しかしローコードを活用すれば、業務担当者自身が画面遷移やデータベース連携を設定し、試作から運用までを短期間で回せます。これにより、次のようなメリットがあります。

  • 要件定義からプロトタイピングまでの期間短縮

  • 開発会社へ支払う外注費用の削減

  • 変更要件発生時の改修サイクル短縮

  • 社内リソースの有効活用による予算最適化

多くのローコードプラットフォームではクラウド上に環境が用意されており、インフラ費用や運用保守費用を含むライセンスモデルが多いのも特徴です。相場感としては、月額数万円〜数十万円のサブスクリプション+ユーザー数課金が一般的ですが、大手ベンダー製品では初期導入費用として100万円〜300万円程度が発生する場合もあります。これに対し、中小ベンダーのクラウド型サービスは「発注」レベルで数十万円から導入できるため、予算や費用を抑えたい事業担当者にはメリットが大きいでしょう。導入を検討する際は、業務フローの自動化対象や将来の拡張計画を見据え、適切なライセンスプランを選ぶことが重要です。また、プラットフォーム選定の際には以下の視点で「選び方」を整理すると効果的です。

  1. 対応可能な業務範囲の網羅性(業務プロセス自動化/BIレポート作成/外部API連携)

  2. 開発速度とメンテナンス性のバランス

  3. 内製化を前提としたトレーニングとサポート体制

  4. 将来のカスタム開発ニーズへの対応可否

これらを踏まえ、社内SEやプロジェクトマネージャー、経営層と合意形成し、「システム全体の費用対効果」を試算してみましょう。

ノーコードとの違い:適材適所の活用シーン

ローコードと混同されやすいのがノーコードツールです。ノーコードはさらに開発ハードルを下げ、プログラミング不要でアプリを作成できますが、以下のような違いがあります。

  • ノーコード:テンプレートやウィザード形式で設定。業務フォームや簡易データベース中心。拡張性は限定的。

  • ローコード:ビジュアル設定とコードの併用。カスタムロジックや外部API連携が可能。拡張性高。

ノーコードは業務部門が自律的に企画段階で試作するのに向いていますが、大規模なシステムやミッションクリティカルな業務には拡張性やセキュリティ要件の観点で限界があります。一方ローコードは、発注先の開発会社に簡易なカスタムコードを依頼することで、標準機能では難しい複雑な業務要件にも対応可能です。例えば、以下のようなユースケースがあります。

  • 営業支援システム(SFA)と基幹システム連携

  • 複雑な権限管理を伴う業務ポータル

  • カスタマイズが頻繁に発生するバックオフィスワークフロー

これらのケースでは、ローコード+小規模カスタム開発を組み合わせることで、全体の発注費用を抑えつつ、必要な機能を実現できます。実際に、ある小売業ではローコード基盤と連携して受注管理システムを構築し、初期費用300万円、運用費月額20万円で運用開始しました。これにより、内製化率80%で保守コストを削減し、5年間で約1,000万円のコスト優位を達成しています。

開発会社選びの基準と相場感

ローコード導入にあたっての開発会社選定でも、従来のオーダーメイド開発とは異なる視点が必要です。主に以下の基準を重視しましょう。

  1. プラットフォームの公認パートナー資格:公式トレーニング受講済みの技術者がいるか

  2. 業務コンサルティング実績:業務プロセス最適化支援のノウハウを持つか

  3. カスタム開発能力:必要に応じた拡張機能を自社開発できる体制があるか

  4. 運用サポート体制:サブスクリプション運用フェーズでの問い合わせ対応やバージョンアップ支援

相場感としては、プラットフォーム導入支援の初期費用が200万~500万円、要件定義とPoCを含めると500万~800万円程度。加えて、追加カスタムやAPI連携部分は1時間あたり1万5,000円~3万円の工数単価で見積もられるケースが多いです。これらを組み合わせた総合見積もりを提示してもらい、複数社を比較することで「費用対効果」の高いパートナーを選定できます。

予算策定のポイント:費用構造と相場確認方法

予算を策定する際は、ただ総額を提示するのではなく、以下の費用構造を明確化すると社内承認が得やすくなります。

  • 初期導入費用:プラットフォームライセンス+導入支援(要件定義、PoC、設計、開発)

  • カスタム開発費用:API連携、独自バリデーション、帳票出力機能などの追加工数

  • 運用保守費用:サポート契約、バージョンアップ対応、定期バックアップ

  • 教育・研修費用:社内SEや事業担当者向けトレーニング

各項目の「相場」を社外データやベンダー見積もりを参照しながら社内で共有することで、予算感にギャップが生じにくくなります。例えば、初期導入を300万円、カスタムを200万円、運用保守を年間50万円、研修を100万円とし、合計650万円で見積もる計画を立てると、経営層への説明もしやすくなります。さらに、業務進捗に応じた分割支払いスケジュールを設定し、キャッシュフロー計画も併せて策定すると安心です。

実装時のベストプラクティス:データモデルとUI設計

ローコード導入でも、データモデル設計はシステム全体の品質を左右します。まず「エンティティ」と「属性」を整理し、どの業務データを標準機能で扱い、どれをカスタム開発するかを切り分けます。例えば顧客マスタはローコード標準、在庫トランザクションはAPI連携で外部DBと同期する、などです。こうした役割分担を要件定義段階で明確にすると、開発会社への発注見積もりも精度が上がります。UI設計では、ビジネス担当者が直感的に操作できる画面レイアウトと、業務シナリオに即したナビゲーションを重視しましょう。ローコードプラットフォームの多くはドラッグ&ドロップでフォームを作成できますが、以下のポイントを意識することで使い勝手が大きく改善します。

  • 入力の必須/任意を色やアイコンで明示する

  • 一覧画面ではフィルタ・ソート機能を標準装備

  • ワークフロー遷移はステータスラベル付きボタンを活用

  • モバイル対応時はレスポンシブ設定と最小限の入力項目に絞る

これにより、業務担当者から「使いやすい」「操作ミスが減った」と評価され、システム導入後の社内定着率が向上します。また、UI設計を先行してプロトタイプを作成することで、あとからの画面修正による追加費用を抑制できます。

ガバナンスと品質保証の仕組み

ローコードでもコード品質管理は重要です。プラットフォーム上のロジック変更履歴は必ずバージョン管理し、設定変更時にはレビュー&承認フローを定義しましょう。具体的には、

  1. 要件変更申請フォームを設置し、影響範囲を明記

  2. 変更内容はGitリポジトリやプラットフォームのバージョン管理機能でトラッキング

  3. レビュー担当者をあらかじめアサインし、承認後にリリース

  4. 変更ログはWBSと紐付け、予算消化状況を可視化

この仕組みにより、発注先の開発会社とも品質基準を共有し、プラットフォーム標準機能の「カスタム度合い」をコントロールできます。結果として、想定外のカスタム開発費用が発生しづらくなり、相場感に見合ったコストで運用できるようになります。

運用・保守フェーズのポイント

リリース後は、運用フェーズでの課題対応速度が「費用対効果」を左右します。まずはサポートチケット管理とインシデント管理の体制を整え、以下を実践しましょう。

  • チケットテンプレートに「エラー発生画面」「再現手順」「発生頻度」を必須項目化

  • SLAとして「初動応答時間」「問題解決までの目標時間」を明示

  • 障害データを分析し、Root Causeを特定する定期レビューを開催

  • 日次・月次レポートで運用工数と障害件数をモニタリング

特にローコードプラットフォームはバージョンアップが頻繁に行われるため、運用保守契約にはバージョン適用テストやバックアップ機能の動作検証を含めることがポイントです。これによって「相場相応」の保守費用内で安定運用が実現できます。

課題回避のためのチェックリスト

導入前に以下のチェックリストを実施し、トラブルを未然に防ぎましょう。

  1. 要件合意:業務フロー/画面イメージ/データモデルがステークホルダー全員で承認済みか

  2. プラットフォーム制限確認:標準機能で対応できない要件はカスタム開発の工数に含めたか

  3. ライセンスモデル把握:ユーザー数増加に伴う課金単価が予算に収まるか

  4. セキュリティ要件定義:認証・認可方式とデータ暗号化の範囲を明示

  5. 運用サポート条項:障害時のオンコール対応範囲と追加費用条件を契約書に記載

このチェックリストをRFPや要件定義書に添付すると、開発会社との齟齬が減り、発注後の追加見積もりを抑制できます。

内製チーム育成とトレーニング

ローコードを最大限活用するには、内製チームの育成が不可欠です。以下のステップで研修プログラムを構築しましょう。

  • 基礎研修:プラットフォームの基本操作と標準機能の使い方

  • 実践ワークショップ:実際の業務課題をテーマにしたアプリ作成演習

  • 応用研修:API連携やカスタムスクリプトの開発方法

  • メンター制度:経験者によるレビューと疑問解消サポート

これにより、事業部門の担当者もシステム改善に積極的に参画できるようになり、外部開発会社への「発注」頻度を減らせます。結果として、内製化率向上による予算節約が可能です。

成功事例からの学び

ある物流企業では、ローコードプラットフォームを活用し、出荷トラッキングシステムを3ヶ月で構築しました。

  • 発注先選定:ローコード実績100件超のB社を選定

  • 予算:初期導入300万円+カスタム150万円

  • 相場比較:従来方式で800万円かかるところを半額以下で構築

  • 成果:出荷確認処理を80%自動化し、作業工数を50%削減

この成功要因は「要件定義の段階で事業担当とSIerが1日でプロトタイプを作り、体感を共有した」点にあります。プロトタイプを活用した合意形成がコストとスケジュールの大幅短縮につながる典型例です。読者の皆さまも、まずは

で費用感を把握し、小さく始めることをおすすめします。

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