1. HOME
  2. ブログ
  3. アプリ・システム開発の基礎知識
  4. 初心者でもわかるローコード開発の基礎知識:予算・開発会社選びと費用相場を解説
BLOG

ブログ

アプリ・システム開発の基礎知識

初心者でもわかるローコード開発の基礎知識:予算・開発会社選びと費用相場を解説

はじめに

近年、システム開発の現場では「ローコード開発」という手法が注目を集めています。ローコード(low-code)とは、プログラミングの専門知識がなくてもGUI操作で業務アプリやWebシステムを構築できる開発手法です。ITに詳しくない経営者や初めてシステム開発を担う事業担当者にとって、従来の手作業コーディングよりも大幅にハードルが下がる一方で、発注の際の予算や費用相場、開発会社の選び方など、注意すべきポイントも存在します。本記事では、ローコード開発の基本概念からメリット・デメリット、プラットフォーム選定、市場相場の理解、そして発注準備までを丁寧に解説します。初めてのシステム発注でも安心して進められるよう、専門用語はできるだけ噛み砕いて説明しますので、ぜひご一読ください。

ローコード開発とは何か?

ローコード開発は、コードを手書きする手間を大幅に減らし、ビジュアルなツール操作でアプリや業務システムを組み立てる手法です。
具体的には、ドラッグ&ドロップで画面設計を行い、ワークフローやデータモデルをGUIで定義します。
バックエンドのAPIやデータベース連携もあらかじめ用意されたテンプレートを選ぶだけで実装可能です。
従来のシステム開発では、要件定義→設計→コーディング→テストという工程をすべて手作業で行い、開発会社へ発注する場合も専門エンジニアの工数が必要でした。
ローコード開発では、これらの工程のうち多くをツール内で自動化できるため、発注先の開発会社選びでも「ローコードプラットフォームに精通しているか」という基準が新たに加わります。
たとえば、Microsoft Power AppsやOutSystems、Mendixといった主要プラットフォームは、国内外で数百社の導入実績があり、相場感も見えやすい点が特徴です。
ローコード開発の導入効果としては、開発スピードの向上、エンジニア不足解消、予算削減が挙げられますが、複雑なカスタマイズ要件や高いパフォーマンス要件は従来のコーディング開発のほうが向いている場合もあります。
したがって、システム化したい業務がローコードの得意領域かどうかを見極めることが、発注前の最初のステップです。
このセクションでは、ローコード開発がどういった仕組みで動き、従来開発と比べてどんな違いがあるのかを整理しました。

ローコードと従来開発のメリット・デメリット比較

ローコード開発最大のメリットは、開発会社へ発注する際の費用(相場)が明確になりやすい点です。
パッケージ料金モデルを採用しているプラットフォームが多く、要件定義で機能数を決めれば、初期費用とランニングコストが簡単に見積もれます。
一方、従来のコーディング開発では、要件定義書に基づく工数見積もりが複雑になりがちで、発注後に追加費用が発生しやすいというリスクがあります。
下記に両者の主な違いをまとめます。

  • 開発速度:ローコードは数週間でPoC(概念実証)が可能、従来開発は数カ月以上かかるケースが多い

  • コスト構造:ローコードはライセンス+月額料金、従来開発は工数×単価モデル

  • カスタマイズ性:ローコードはプラットフォーム制約下、従来開発は無制限だが工数が膨らむ

  • 保守運用:ローコードはバージョンアップやパッチ適用をプラットフォームベンダーが担保、従来開発は自社または開発会社で対応

  • 技術依存:ローコードは特定のプラットフォームベンダーに依存、従来開発はフレームワーク選定次第で幅広い選択肢がある
    ローコード開発は、特に業務プロセスの自動化や内部向けアプリ構築、短期間での試作に適していますが、大規模な顧客向けシステムや高度なアルゴリズム処理が必要な場合は、従来コーディング開発のほうが適切な場合があります。
    このように、ローコードと従来開発のメリット・デメリットを理解したうえで、自社の課題に最適な手法を選択しましょう。

ローコードプラットフォームの選び方ガイド

ローコードプラットフォームを選ぶ際には、以下の観点で比較検討すると効果的です。

  1. ライセンス形態とコストモデル:初期費用、ユーザー数課金、機能モジュール課金など、自社予算に合うモデルか

  2. 提供機能の豊富さ:外部システム連携、レポート生成、モバイル対応など、必要な機能が標準で揃っているか

  3. 開発会社の実績:プラットフォーム導入事例や認定パートナーの数、発注先候補のスキルセット

  4. 操作性と学習コスト:非エンジニアの事業担当者でも扱いやすいUIか、トレーニング支援はあるか

  5. 保守・運用サポート:障害対応、バージョンアップ、ライセンス管理などのサポート体制

  6. データセキュリティ・コンプライアンス:国内データセンターの有無、ISMS認証取得状況など
    たとえば、中小企業向けにはMicrosoft Power AppsがOffice 365との連携でコストを抑えられます。
    一方、エンタープライズ向けにはOutSystemsやMendixが高い拡張性とサポートを提供します。
    発注前には、必ず各社のPoCプログラムを活用し、実際に自社要件に近い試作を行ってみることをおすすめします。
    PoCで得られた工数と費用を比較し、開発会社へ発注する際の見積もりレンジを明確化しましょう。
    これにより、予算(費用)超過のリスクが低減します。

予算と費用相場を見極める方法

ローコード開発の費用は、プラットフォームライセンス料と開発工数料の二つに大きく分かれます。
ライセンス料は月額数千円~数万円、またはユーザー数×ライセンス単価のモデルが主流です。
開発工数料は、要件定義、プロトタイプ作成、画面デザイン、ワークフロー構築、テスト、運用移行まで含めて、概ね50~150工数が目安です。
国内のローコード導入相場では、総費用が300万~800万円程度のケースが多く見られます。
小規模な業務システムなら300~400万円、中規模~大規模なら500~800万円という具合です。
予算策定のポイントは以下のとおりです。

  • MVPスコープ定義:まずは最低限必要な機能に絞り、初期フェーズの予算を抑える

  • フェーズ分割発注:段階的にリリースし、次フェーズ以降の費用を見通す

  • 見積もりレンジ交渉:開発会社に対して機能別工数と単価を開示してもらい、相場をすり合わせる

  • 予備予算設定:全体予算の10~15%を予備費として確保し、追加要件に備える

  • ライセンス更新サイクル:ライセンス契約期間と開発スケジュールを合わせ、無駄なライセンス停滞を防止
    また、

    を使って費用感を事前にチェックしつつ、相場に合った予算を組むと良いでしょう。
    これらの手法を用いれば、予算1000万円以下のローコード開発でも、相場に沿った発注が可能です。

導入フェーズの進め方とプロジェクト管理

ローコードプラットフォームの導入フェーズでは、まずプロジェクト目標とKPIを明確化します。たとえば、業務効率化や稟議承認スピードの改善を目的に設定し、具体的な数値目標を立てます。
次に、要件定義を行い、ローコードで実現可能な範囲を検証します。従来のシステム開発とは違い、画面イメージやワークフローをビジュアルツールで素早くプロトタイプ化できるため、発注前に開発会社と認識をすり合わせやすいです。
プロジェクト管理にはアジャイル手法を取り入れ、2週間程度のスプリントで開発とレビューを行うのが効果的です。スプリントごとにリリース可能な最小機能(MVP)を目指し、開発会社からの進捗報告や費用消化状況(burn rate)をダッシュボードで可視化します。
特に、ローコードはツール操作に習熟度の差が出やすいため、社内の事業担当者向けにトレーニングセッションを開催し、操作方法や発注フローのルールを共有します。これにより、追加要求による予算超過や費用膨張を防げます。
また、発注時にはライセンス費用と開発工数を分離して見積もりを依頼し、予算モデルを明確にすることが重要です。相見積もりを活用し、プラットフォームライセンス相場と開発会社の単価をすり合わせることで、適切な予算配分が可能になります。
プロジェクトマネージャーは週次レビューで「進捗」「品質」「コスト」「リスク」の4観点を評価し、必要に応じて要件の凍結や追加予算の承認を早期に行います。これはシステム開発の基礎知識として押さえておくべきポイントです。
さらに、定期的なステークホルダーミーティングを設定し、経営層やユーザー部門に進捗と見積もり相場を報告。透明性を担保することで、発注後のトラブルを未然に防げます。
以上のように、ローコード導入フェーズでも従来のシステム発注・プロジェクト管理で大切な「計画」「見積もり」「進捗管理」「コミュニケーション」を踏襲しつつ、GUI操作という特性を生かしたアジャイルな手法を組み合わせることが成功の鍵となります。

運用・保守フェーズのポイント

導入後はシステムの安定稼働と運用保守が欠かせません。まず、ローコードプラットフォームのバージョンアップやパッチ適用スケジュールを確認し、保守契約に含まれる範囲を把握します。
保守フェーズでは、システム利用状況のモニタリングが重要です。ログやAPIコールの状況をダッシュボードで可視化し、エラー発生やレスポンスタイム悪化があればアラートを受け取れるように設定します。
また、ユーザーからの問い合わせや要望はチケット管理システムで一元化し、優先度や工数見積もりを明示したうえで開発会社との調整を行います。これにより、追加費用や予算超過リスクを抑制できます。
運用中のカスタマイズや新機能追加は「フェーズ2」として冷静に計画し、相場感をベースに予算策定を行いましょう。重要なのは、「どの程度の工数が必要か」「ライセンス費用はどう変わるか」を事前に確認することです。
さらに、業務部門との定期レビューを続け、システムの使用状況や費用対効果を数値で報告します。例えば、「承認業務の平均処理時間が30%短縮された」「ランニングコストが従来比20%削減された」といった具体的な成果です。
ローコードプラットフォームは非エンジニアでも設定変更が可能な反面、無秩序に追加機能を盛ると費用が膨張しやすい面もあります。運用フェーズでも「要件変更管理プロセス」を徹底し、スコープ外対応とみなされる作業には見積もりと承認を必須とするとよいでしょう。
最後に、運用保守費用は通常、月額固定費用または従量課金で発生します。相場としては、初期導入費用の10~20%程度を年間保守費用として見積もるのが一般的です。これを踏まえ、予算モデルを安定化させましょう。

ローコード開発の成功事例:中小企業P社の業務自動化

中小製造業のP社は、受注から生産指示までを手作業で行っており、ミスや抜け漏れによるコストが問題でした。
P社はローコードプラットフォームを使って、受注データ入力→承認ワークフロー→生産指示書自動生成という一連の業務を自動化しました。
発注前の相見積もりでは、ライセンス費用が月額5万円、開発工数は約60工数(相場:90万~120万円)という結果が得られました。
P社はMVPとして受注入力と承認フローに絞り、初期費用100万円以内で導入を決定。
2カ月の開発期間でPoCを完了し、本番切り替え後に承認処理時間が70%短縮、生産指示の抜け漏れがゼロになったといいます。
追加要件として請求書発行機能をフェーズ2で発注しましたが、相場に沿った見積もりと段階的発注により、総予算150万円以内で収まっています。
P社の成功要因は、業務フローを可視化したうえでローコードの得意領域に合う要件に絞り込んだことです。
また、開発会社選びでは「パッケージ導入とカスタマイズのバランス」を得意とするベンダーを選定し、費用対効果を最大化できました。

よくある課題とその対策

ローコード開発で直面しやすい課題とその解決策をまとめます。

  • パフォーマンス限界:プラットフォームの処理能力を超える場合は、外部API呼び出しで処理を分散する

  • カスタマイズ制約:どうしてもコードが必要な場合は、ローコード拡張機能(カスタムコードブロック)を利用

  • ライセンス依存リスク:複数プラットフォームから見積もりを取得し、ベンダー比較して最適な選び方を行う

  • 運用ナレッジ不足:社内でハンズオン研修を実施し、ノウハウをナレッジベースに蓄積

  • 要件追加で費用膨張:要件変更管理プロセスを導入し、追加費用は都度見積もり・承認を徹底

  • 開発会社との認識ずれ:RFPにプロトタイプ要件を含め、発注前に小規模PoCで検証
    これらの対策を講じることで、ローコード開発の基礎知識として、安定した発注・予算管理が可能になります。

継続的改善とナレッジ共有

システムはリリースして終わりではありません。ローコード開発でも、ユーザーの声や運用データをもとに継続的に改善していくことが重要です。
改善サイクルでは、まず利用状況のログやダッシュボードのアクセス解析を行い、ボトルネックを特定します。
次に、改善要件を優先順位付けし、MVP同様にスプリントを回して改修します。
事業担当者や開発会社とともに成果を振り返り、KPI達成状況(業務効率化率、コスト削減率など)を数値化して報告します。
また、プロジェクトで得たノウハウはナレッジベースに記録し、次回発注時に「RFPテンプレート」や「相見積もりチェックリスト」として再利用しましょう。
この継続的改善の文化が定着すれば、ローコード開発の発注から運用までを自社内でスムーズに回せる体制が整います。

まとめ

本記事では、ITに詳しくない経営者や事業担当者向けに、ローコード開発の基礎知識を解説しました。
ローコードとは何か、従来開発との比較、プラットフォーム選び、予算策定と相場理解、導入フェーズの進め方、運用保守のポイント、成功事例、そして課題と対策までを網羅しました。
特に、発注時には「相見積もり」「フェーズ分割発注」「予備予算設定」を意識することで、費用超過を防ぎつつシステム化を実現できる点を強調しました。
初めてのシステム開発でも、ローコードを活用すれば予算500~800万円程度で業務アプリやWebシステムを構築できるケースが増えています。
読者の皆さまも、ぜひ本記事の知見を発注準備に活用し、最適な開発会社選びと予算管理で成功をつかんでください。

お問合せ

不明点やお見積りの依頼などお気軽にください。




問い合わせを行う

関連記事