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アプリ・システム開発の基礎知識

SessionStorageとLocalStorageの違いとは?Webアプリ開発におけるクライアント側データ保持の基礎知識

Webアプリケーションを開発する際、ブラウザ内でデータを一時的に保持したいという場面はよくあります。ユーザーの一時的な入力内容やログイン情報、フィルター条件など、サーバーに保存するほどではないが、ページ遷移で失いたくないデータが存在するからです。

そこで活用されるのが「Web Storage API」の代表である「SessionStorage」と「LocalStorage」です。

本記事では、非エンジニアの方にも分かりやすく、両者の違いや適切な使い分け、導入時に気をつけたい点を解説します。発注担当者の立場から、開発会社の提案内容を読み解く際にも役立つ視点を提供します。

よくある課題:「入力が消えた」「再ログインになった」

開発依頼時によくあるのが、次のようなトラブルです。

  • ページを更新したら、フォーム入力内容がすべて消えた
  • タブを切り替えたらログイン状態が保持されていなかった
  • 検索条件が初期化されていて再入力が必要になった

これらは、多くの場合フロントエンドでの一時データ保持の設計がなされていない、または誤った選択がされていることによって発生します。

SessionStorageとLocalStorageの基本的な違い

Web Storageは、JavaScriptからブラウザにデータを保存できる仕組みです。よく使われるのが以下の2種類です。

項目 SessionStorage LocalStorage
保存期間 タブを閉じるまで 明示的に削除しない限り保持
保存容量 約5MB 約5MB
アクセス範囲 同一ウィンドウ/タブ内 同一オリジン(ドメイン)で共有
用途の例 入力補助、フォーム保持 ログイン状態、設定情報、トークン管理

これらを正しく使い分けることが、快適なUXと安全性の両立につながります。

どちらを使うべきか?よくあるユースケースと判断基準

SessionStorageが適している場面

  • フォームの一時入力補助(ページ遷移時に保持)
  • 戻る・進む操作での値の保持
  • 画面を離れたら消えても問題ないデータ

SessionStorageは、「タブを閉じたら消える」という性質をうまく活かす場面で有効です。たとえばECサイトの購入フロー中に、ユーザーが前ページに戻ってもフォームが初期化されない、といった体験が可能になります。

LocalStorageが適している場面

  • ログイン状態の一時管理(トークン保存)
  • ユーザーの表示設定(テーマ・言語・レイアウトなど)
  • お気に入り情報や検索条件の保存

LocalStorageは「ブラウザを閉じても保持される」ため、長期的な設定や再訪時の利便性向上に適しています。

注意すべき技術的・運用的ポイント

SessionStorageもLocalStorageも便利な一方で、設計次第では思わぬ落とし穴があります。

1. セキュリティ:XSS対策と機密情報の取り扱い

  • 両者とも暗号化されず、JavaScriptから容易に取得可能
  • 機密性の高い情報(パスワード、クレジットカード情報など)は保存しない
  • XSS攻撃を受けた場合、保存データが窃取されるリスクがある

2. 容量制限とエラー処理

  • 一般的なブラウザでは5MB前後の容量制限がある
  • 上限を超えた場合、保存に失敗する(例外処理が必要)
  • 添付ファイルや画像など、バイナリデータの保存には不向き

3. 同期性と処理の影響

  • Web Storageは同期処理であり、大量の読み書きがあるとパフォーマンスに影響
  • 一度に多数のデータを操作する用途にはIndexedDBのような別手段を検討

4. スマートフォンやマルチデバイス環境での挙動

  • 同一アプリでもブラウザごとにデータは共有されない
  • アプリ版とWeb版でデータの扱いが異なる場合は注意

開発依頼時に確認すべき視点

発注者が非エンジニアでも、以下のような観点を確認することで「ちゃんとした設計がされているか」を見抜くことができます。

どのようなデータを保持するか、その保存期間は明確か?

  • 入力補助か、設定保存か、ログイン維持か?
  • セッション終了と同時に消すべきか、再訪時にも残すか?

機密情報が保存されていないか?

  • トークンやIDは暗号化や期限管理されているか?
  • 保存場所は明示されているか(Cookie/Storageなど)?

エラーや消失時の動きはどうなっているか?

  • 保存できなかった場合のリカバリ設計があるか?
  • ブラウザ設定でStorageが無効なケースへの配慮は?

スマホ操作や複数タブ利用時の整合性は?

  • タブごとの状態管理が分かれている前提か?
  • 複数画面を開いたときにデータ競合しないか?

まとめ:小さな設計が、ユーザー体験の快適さと安全性を左右する

SessionStorageとLocalStorageは、Webアプリケーションにおける軽量かつ柔軟なデータ保存手段として非常に有効です。

ただし、単に「保存すればよい」ではなく、保存する内容・期間・安全性・操作性を丁寧に設計することで、はじめて本来の価値を発揮します。

開発を依頼する際にも、「入力は途中で消えないか?」「ユーザー設定は維持されるか?」「保存情報は安全か?」といった観点をもとに、実装の質をチェックすることが大切です。

こうした細部の積み重ねこそが、結果的にユーザー満足度の高いシステムづくりへとつながっていきます。

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