システム開発は“命名”で9割決まる?プロジェクトを左右するネーミング設計の重要性

アプリやWebシステムの開発において、最初に話題に上がるのは機能要件やデザイン、スケジュール、予算といった要素です。
しかし、実際の開発現場でプロジェクトのスムーズな進行や、将来的な保守・拡張に大きく関わるもののひとつが「命名(ネーミング)」です。
変数名、関数名、テーブル名、API名、画面名など、開発において無数に発生する“名前”。
これらをどう付けるかという一見地味な作業が、プロジェクト全体の品質やスピードに大きく影響します。
この記事では、これからシステム開発を依頼しようと考えている方に向けて、「命名の重要性」と、開発パートナーを選ぶ際にその姿勢を見極めるポイントを解説します。
命名の“曖昧さ”がプロジェクトに及ぼす影響
例えば、あなたが運営する予約サービスにおいて、「ユーザー」という言葉があるとします。
このユーザーが指すのは「予約をする一般利用者」でしょうか?
それとも「店舗のオーナー」や「管理者」を含む広義の意味でしょうか?
もし開発チームの中でこの「ユーザー」の定義が統一されていなければ、
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テーブル名が
users
になっていても、実は管理者だけを指していた -
APIで返ってくる
user_id
が誰を意味しているか不明 -
設計書の「ユーザー一覧」画面が、一般会員かスタッフか判断できない
というような混乱が起こります。
このように、ひとつの名前が文脈によって意味が変わることは、認識のズレ、仕様のミス、バグの温床につながるのです。
なぜ命名が軽視されがちなのか?
命名は、「今すぐ見える成果」が出にくいため、後回しにされがちな作業です。
しかも、技術者ごとに「好み」や「癖」が出やすく、個人プレーになりやすい領域でもあります。
しかし、開発が進むにつれてファイル数、テーブル数、API数が増えると、「一貫性のない命名」が深刻な問題になります。
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新しい画面の仕様を誰も正しく理解できない
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ドキュメントに書かれた内容とソースコードが一致しない
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別の開発者が引き継げない
というような事態を避けるには、最初の設計段階から命名ルールと方針を整備する必要があります。
命名がうまい開発会社は何が違うのか?
開発会社を選ぶ際、「命名がうまいかどうか?」を見る機会はあまり多くありません。
しかし、実は以下のような場面でその“設計力”が見えてきます。
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提案資料の中で「名称定義」「用語集」などが整理されている
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管理画面やデータベース構造のサンプルに、意味の通る命名がなされている
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画面名やAPIエンドポイントのルールが整っており、読みやすい
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チームでルールが共有されている(レビュー基準に命名が含まれる)
これらが整っている開発会社は、見えにくい設計部分にも手を抜かず、後からの保守や追加開発も想定している姿勢がうかがえます。
命名の基本ルール:発注側も知っておくと便利な考え方
発注者が命名ルールの細部まで把握する必要はありませんが、以下のような基本的な原則を理解しておくと、開発会社との会話がスムーズになります。
1. 意味が明確で一貫していること
「data1」「data2」といった名前ではなく、「user_email」「reservation_date」など、意味が伝わる名前が推奨されます。
一貫性のある命名は、プロジェクト関係者全員の理解を深めます。
2. 省略しすぎない
例えば「res」だけでは「reservation」か「response」か「resource」か判断がつきません。
チーム内で略語のルールが決まっていない場合は、できるだけ省略を避けます。
3. 命名の粒度をそろえる
例:「user_create」「user_delete」「user_update」など、API名や関数名のスタイルは統一した方が読みやすくなります。
命名にブレがあると、処理の意図がつかみにくくなります。
4. 日本語を英語化する際の表現もルール化する
「申込」を「application」「entry」「request」など、チームによって使い方が異なることがあります。
開発前に「用語対訳表」を作っておくとトラブルを防げます。
発注前にできる命名・用語の準備
開発を依頼する前に、発注者側で整理しておくと役立つのが「業務で使っている用語一覧」です。
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一般顧客と社内スタッフの呼び方(ユーザー?会員?従業員?)
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ステータス名(下書き、承認待ち、公開済など)
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項目名(誕生日?生年月日?登録日?)
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画面名(マイページ?プロフィール編集画面?)
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帳票や出力データの項目と並び順
これらをざっくりとでも表にしておくと、開発側が正しく命名・設計しやすくなります。
命名が整っているシステムは、保守も拡張もスムーズ
命名は「読みやすさ」に直結します。
開発中だけでなく、数ヶ月後・数年後に機能追加や保守対応をする際、「名前で内容が理解できる」状態は非常に大きなメリットです。
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新しいメンバーが参加してもすぐにキャッチアップできる
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テストコードやログの読み取りが簡単になる
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顧客対応やデータ抽出のスピードが上がる
すなわち、「命名が良い」=「プロジェクトが持続的に運用できる」ということでもあります。
まとめ:命名は“チームの共通言語”。軽視せず設計から意識しよう
アプリやシステムの開発において、命名は見えにくいながらも極めて重要な要素です。
特に複数の人が関わるプロジェクトでは、命名はチーム全体の“共通言語”として機能します。
これから開発会社を選ぶ方は、ぜひ以下の点をチェックしてみてください。
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提案資料に用語定義があるか
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画面名や項目名に一貫性があるか
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命名のルールや考え方を明示しているか
これらを確認することで、その開発会社が“見えない部分”までしっかり設計してくれるかどうかを判断できます。
名前が正しく設計されているシステムは、使いやすく、育てやすい。
そんな視点から、次の開発パートナー選びに活かしてみてはいかがでしょうか。