開発依頼の成功は“運用設計”で決まる?初期段階で見落とされがちな落とし穴

アプリやWebシステムの開発を依頼する際、多くの方が意識するのは「どんな機能が必要か」「いつまでにリリースできるか」「どれくらいの費用がかかるか」という点です。
しかし、意外と見落とされがちなのが「運用設計」という視点です。
リリースはゴールではなくスタートです。
開発を発注する前から「誰が、どうやって、いつまで運用していくのか」を想定しておくことが、プロジェクト成功の大きな鍵となります。
本記事では、開発前に考えておくべき運用設計の基本と、実際に見落としやすいポイント、開発会社に相談すべきタイミングなどを詳しく解説します。
これから開発を検討している方や、相見積もりで比較検討している方にとって、長期的な視点から開発の質を判断するヒントになるはずです。
運用設計とは?なぜ重要なのか
運用設計とは、アプリやシステムがリリースされた後に、それを「どう管理し、どう使い続けていくか」を設計することです。
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保守・障害対応を誰が行うのか
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管理画面は誰が使うのか、どんな操作ができるようにするか
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データのバックアップやセキュリティ対策はどうするか
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ユーザーサポートの体制をどう組むか
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月々のインフラ費用やライセンス費はどれくらいかかるか
こうした項目を事前に決めておかないと、リリース後に「誰も対応できない」「想定外の費用がかかる」といったトラブルに発展します。
実際によくある運用トラブルの例
管理画面が複雑すぎて社内で使えない
開発時には「自由に管理できるダッシュボードが欲しい」と要望したものの、実際の運用担当者がITに不慣れで、結局使いこなせず手動対応が増えてしまうケースです。
→ 対策:運用者のITスキルを考慮したUI設計、またはマニュアル・サポート体制の準備が必要です。
障害が起きても誰も復旧できない
開発会社に依頼して納品されたが、その後の保守契約を結ばずにいたため、サーバーエラーが発生しても社内では何もできない状態に。
→ 対策:保守プランの有無や緊急時対応の体制を、開発会社に事前確認しておくべきです。
月額のインフラ費用が想定外だった
AWSやFirebaseなどクラウドサービスを利用していた場合、ユーザー数が増えると月額費用も比例して増えることがあります。
→ 対策:インフラ構成とその費用目安は、必ず初期提案の段階で聞いておきましょう。
開発前に確認すべき運用設計のポイント
以下は、開発会社に相談する前に発注側で準備・検討しておくと良い内容です。
1. 管理画面の操作者と必要な機能
誰がどの機能を使うのかを想定しましょう。
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一般スタッフが予約管理を行う
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管理職がデータ出力・分析を見る
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外部スタッフに一部だけアクセスさせたい
操作レベルごとの権限設定が必要な場合、それも含めて設計しておくと安心です。
2. 運用者のITリテラシー
現場担当者のスキルによって、UI設計や操作の難易度は調整すべきです。
また、操作説明書やオンボーディングサポートが必要かも検討しておきましょう。
3. ユーザーサポートの範囲と手段
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よくある質問(FAQ)をアプリ内に設置するか
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メール問い合わせは誰が見るのか
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サポートチャットを導入するか
ユーザーの問い合わせ対応は運用負荷に直結するため、フローを明確にしておくと安心です。
4. データの保管と削除ポリシー
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退会ユーザーのデータはどうするか
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個人情報の保管期間や削除方法は?
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定期的なバックアップ体制はあるか
特に個人情報を扱うシステムでは、セキュリティ・法令対応も含めて運用設計が重要になります。
5. 月次・年次のコスト感
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サーバー利用料
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CDNやストレージ費用
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アナリティクスや配信サービスのAPI利用料
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保守契約やアップデート対応の費用
最初の見積もりには含まれていない「運用費」が意外と大きいこともあるため、早めに概算を聞いておくと計画が立てやすくなります。
開発会社に伝えるべき「運用前提」の情報
開発を依頼する前に、次のような情報を開発会社に伝えると、より適切な設計と見積もりが得られます。
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社内での運用人数とスキル感
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想定ユーザー数(初期・1年後)
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ユーザー対応の範囲(チャット、電話、メールなど)
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拡張予定(将来的に別システムと連携したい など)
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障害時に即時復旧が必要かどうか(ビジネス影響)
これらを踏まえて提案された内容かどうかを見ることで、ただ機能を作るだけでなく“伴走型”の開発会社かどうかを判断する材料にもなります。
運用を見据えた開発パートナーの見極め方
「開発だけ」ではなく「その後も一緒に運用を支えてくれるかどうか」は、会社選びの大きな判断基準です。
以下のような対応ができる会社であれば、長期的なパートナーとして信頼しやすいでしょう。
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保守・アップデートプランが明確に用意されている
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リリース後の運用サポート体制(連絡手段・レスポンス)が整っている
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月次で状況を振り返るミーティングや分析提案をしてくれる
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マニュアルや操作説明資料の作成も依頼できる
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インフラコストの最適化提案ができる(無駄な費用を抑える提案力)
金額の安さや納期だけでなく、こうした「リリース後を見据えた視点」を持っているかどうかも、比較検討時に確認すべきポイントです。
まとめ:運用設計を制する者が開発を制す
開発というと、「開発言語」や「実装する機能」など技術的な部分に目が行きがちです。
しかし、実際にサービスを成功させるためには、その後どう使い続けるかを設計する視点=運用設計が極めて重要です。
開発の見積もりや提案をもらう際には、「機能要件だけでなく、運用まで想定された設計になっているか?」という観点でも比較してみてください。
プロジェクトの成功は、リリース時点ではなく、運用が“回り続けている”状態で初めて実現します。
安心して長く使えるプロダクトを目指すためにも、運用設計という視点をぜひ初期から意識してみてください。