データベース設計から始める“無駄のない”開発とは?初期設計で差がつく運用力

アプリやWebシステムを開発する際、目に見えるUIや機能要件に目を向けがちですが、実はプロジェクトの成功可否を大きく左右するのが「データベース設計」です。
データベースとは、システムが扱う情報を整理・保存する場所のこと。
その構造をどう設計するかによって、以下のような点が変わってきます。
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開発スピードと改修のしやすさ
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保守性とトラブルの起きにくさ
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拡張性と将来のコスト
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分析・マーケティングへの活用度
この記事では、システム開発の初期段階で「なぜデータベース設計から考えるべきか」を開発実務の視点で解説します。
これから開発会社を探している方や、相見積もりで提案を比較中の方にとっても、技術的な理解と判断材料になる内容です。
データベース設計とは?開発のどこに関わるのか
データベース設計とは、サービスの中でどんな情報をどう整理・保存していくかを決める作業です。
具体的には、
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どんな「テーブル(情報のかたまり)」が必要か
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それぞれのテーブルにどんな「カラム(項目)」を持たせるか
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各テーブルはどうつながっているのか(リレーション)
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どの情報を更新可能にするか、履歴を残すか
といった点を設計します。
この設計は、フロントエンドのUI設計やバックエンドのロジック構築よりも先に行われることが多く、プロジェクト全体の「土台」となる部分です。
よくある“後悔する設計”の実例
開発が進んでから「しまった」と気づくことも多いのが、データベースまわりの設計ミスです。以下は実際に起きやすいパターンです。
顧客情報と予約情報が分断されている
予約情報に「名前」「電話番号」が直接入力される構造になっていて、同じユーザーが別日に予約した場合でも紐付けができず、履歴が管理できない状態に。
→ 顧客テーブルと予約テーブルをリレーション設計することで、分析・再アプローチが可能になります。
「ステータス」が増えすぎて制御不能に
初期は「未対応/対応済み」だけだった管理フラグが、運用中に「保留」「確認中」「キャンセル」「再対応中」など増え続け、処理条件が複雑化。
→ 状態管理用のマスターテーブルを設け、意味と制御を分離しておく設計が有効です。
変更履歴が残らない設計になっていた
ユーザー情報の「名前」「住所」「メールアドレス」が常に上書き保存されるため、過去のデータや更新タイミングが一切分からない状態に。
→ ログテーブルやバージョン管理の仕組みを最初から入れておくことで、運用面でも安心です。
データベース設計が与える開発への影響
テーブル構造の良し悪しは、次のような領域に直接関係してきます。
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開発スピード:整った構造は開発工程の迷いを減らす
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画面設計:表示項目・入力項目とデータ構造が一致する
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API設計:どんなデータをどう取得・更新するかが明確になる
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テスト効率:入力→保存→表示の流れを再現しやすくなる
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保守性:後からの改修がしやすく、バグが出にくい
つまり、データベースの設計がしっかりしているほど、全体の開発がスムーズに進み、納期の遅延や見積もりの増加も防ぎやすくなるのです。
どんな情報をどこまで整理しておくべきか?
開発会社に相談する前に、発注者側でもある程度の情報整理ができていると、より精度の高い提案や見積もりにつながります。
以下のような情報を洗い出しておくと良いでしょう。
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どんな「ユーザー」が存在するのか(一般ユーザー/管理者 など)
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どんな「行動」を記録する必要があるか(予約/投稿/申込 など)
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「データの履歴」は必要か(ログ、バージョン管理)
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一覧表示、検索対象になる情報は何か
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削除・非表示・アーカイブの運用方針
この段階で明確でなくても構いませんが、「こういう情報を扱いそう」という整理をしておくだけでも、設計精度が変わります。
ER図とは?初心者でも使える設計可視化ツール
データベースの構造を設計するときに使われる代表的な図が「ER図(Entity Relationship Diagram)」です。
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Entity(テーブル):例)User、Reservation、Message
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Attribute(カラム):例)email、name、created_at
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Relationship(関連):1対多、多対1、多対多の関係を線で表現
ER図は、開発会社との設計のすり合わせにも使える視覚的なツールです。
無料で使えるER図作成ツールとしては、以下のようなものがあります。
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dbdiagram.io(Web上で直感的に作成可能)
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draw.io(汎用ダイアグラムツールとしても優秀)
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Lucidchart(共有やコメントがしやすい)
もし可能であれば、開発依頼前に「こんなデータ構造を想定しています」と一度可視化してみるのもおすすめです。
よくある質問:発注者側で設計する必要はある?
「データベース設計って、発注者がやるべきなの?」と疑問に思う方も多いと思います。
結論から言うと、「詳細な設計までは不要。ただし方向性を共有することが大切」です。
つまり、
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どんな情報を記録したいのか
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どういう単位で情報を管理したいのか
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どんな項目を後から分析・検索したいのか
といった要件を整理しておくことで、開発会社側の設計がより正確になります。
これは、後の見積もりブレや機能の抜け漏れを防ぐ意味でも重要です。
まとめ:よい開発は“よいデータ設計”から始まる
どんなに美しいデザイン、どんなに高度な機能を実装しても、その土台となるデータベースの設計が甘ければ、プロダクトは運用に耐えられません。
また、設計がしっかりしていないまま開発に進むと、後戻りや仕様変更が頻発し、納期の遅れや追加費用にもつながります。
だからこそ、開発会社を探す段階で「データベースの設計にも強い会社か?」「どこまで構造を考えてくれるか?」という観点も、選定基準に加えることをおすすめします。
開発の“裏側”にあるこの重要な工程を理解することで、より精度の高いシステム開発が実現できるでしょう。