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受託開発における契約形態の違いとその選び方

システム開発を検討する際、多くの企業が直面するのが「どの開発会社に依頼すべきか」という課題です。特に、複数の開発会社から見積もりを取得し、最適なパートナーを選定するプロセスは重要ですが、同時に複雑でもあります。この記事では、受託開発における契約形態の違いとその選び方について解説し、最適な開発パートナーを見つけるためのポイントを紹介します。

受託開発とは?

受託開発とは、企業が自社のシステムやソフトウェアの開発を外部の専門企業に委託する形態を指します。これにより、専門的な知識や技術を持つ開発会社のリソースを活用し、高品質なシステムを効率的に構築することが可能となります。

契約形態の種類と特徴

受託開発における主な契約形態には、以下の3つがあります。

1. 請負契約

・成果物の完成責任:開発会社は、契約で定められた成果物を完成させる責任を負います
・契約不適合責任:納品された成果物に契約内容と異なる点があれば、修正や損害賠償の責任があります
・指揮命令権:開発会社が作業の進め方を決定し、発注者は直接的な指示を行いません
・支払い方法:成果物の納品後に一括で報酬が支払われます

適しているのは、要件が明確で、仕様変更の可能性が低い短期案件です。

2. 準委任契約(SES)

・成果物の完成責任:特定の業務遂行を行うが、成果物の完成責任は負いません
・契約不適合責任:基本的には適用されません
・指揮命令権:開発会社が管理を行い、発注者は直接の指示ができません
・支払い方法:労働時間や期間に基づいて、月単位で支払われます

適しているのは、要件が流動的で、長期的な開発が見込まれる案件です。

3. 労働者派遣契約

・成果物の完成責任:発注者が責任を持ち、指揮命令を行います
・契約不適合責任:基本的には適用されません
・指揮命令権:発注者が持ち、直接的な業務指示が可能です
・支払い方法:派遣期間に応じて定期的に支払われます

適しているのは、発注者が社内で密に指示を出しながら開発を進めたいプロジェクトです。

契約形態の選び方

契約形態を選定する際は、以下のポイントを重視するとよいでしょう。

  1. プロジェクトの目的

  2. 要件の明確さ

  3. 管理体制(どこまで自社が関与したいか)

  4. 開発期間と予算のバランス

請負契約は「完成責任」があるため、リスクを避けたい場合に向いています。一方、準委任契約は柔軟にプロジェクトを進行したいときに効果的です。人材確保を重視するなら労働者派遣契約が向いています。

どの契約形態がコストを抑えやすいか?

・請負契約:最初に見積もりが明示されるため、予算コントロールしやすい反面、変更があると追加費用が発生
・準委任契約:期間や工数に応じた支払いで、進捗に合わせて柔軟な開発ができる
・労働者派遣契約:自社での管理が可能な分、ノウハウを蓄積しやすい反面、社内リソースが必要

コストパフォーマンスの観点では、プロジェクトの特性と組織体制に合った契約形態の選択が最も重要です。

契約形態を決める前にすべきこと

・開発会社との初回ミーティングで希望契約形態を明示
・自社側でのプロジェクト管理体制を明確にする
・見積書を取得し、契約条件・責任範囲・納品物の定義を比較する
・必要に応じて、第三者(ITコンサルなど)に契約内容を精査してもらう

まとめ

契約形態の選定は、システム開発における重要なステップです。プロジェクトの成功には、契約形態を正しく理解し、自社の状況や目的に応じて選ぶことが不可欠です。

単なる費用面だけではなく、運用・保守・開発スピード・社内体制など、複合的に判断することで、より良い開発パートナーとの関係構築に繋がります。

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