機能より導線が重要?UI設計で失敗しないために初期段階で見直すべき視点

アプリやWebシステムの開発を検討するとき、多くの人がまず考えるのは「どんな機能を盛り込むか」ではないでしょうか。
確かに、必要な機能が実装されていなければプロダクトとして成立しません。しかし、実際の開発現場では「機能要件は問題ないが、ユーザーが使いにくくて離脱してしまう」というケースが後を絶ちません。
その主な原因は、初期段階でのUI設計、特に「導線設計(ユーザーがたどる道筋)」の軽視にあります。
この記事では、開発を外注する際にも意識しておきたい、UI導線の考え方と設計上の落とし穴、そして発注者として押さえておくべきポイントを解説していきます。
これから開発パートナーを探している方、見積もりや提案を比較検討している方にとっても、UI視点の理解が判断材料になります。
UI設計=見た目だけではない
UI(ユーザーインターフェース)と聞くと、ボタンの色やフォント、アイコンのデザインなど「見た目の部分」だけをイメージする方も多いかもしれません。
しかし、実際のUI設計で本当に重要なのは「ユーザーがストレスなく目的にたどり着けるようにすること」です。
-
アカウント登録が直感的にできるか
-
次にどこを押せばいいかがすぐ分かるか
-
操作に迷ったとき、戻れる選択肢があるか
これらはすべて「画面の遷移」や「導線の設計」に関わる部分です。
例えば、商品を購入するアプリで、カートに入れるボタンが画面の下にあり、さらにスクロールしないと見えない場所に配置されていた場合、多くのユーザーは購入に至りません。
どれだけ機能的に優れていても、操作しにくい時点で離脱されてしまうのです。
なぜ導線設計が初期に重要なのか
機能とUI導線は別物ではありません。むしろ、機能を「どう使ってもらうか」を想定することで初めて、機能が生きてくるのです。
例えば以下のようなシナリオを考えてみてください。
-
ユーザーはトップページを開く
-
興味のあるプランを見つけて詳細を見る
-
プラン内容に納得して予約に進む
-
アカウント登録またはログインを行う
-
支払い方法を選んで確定する
この5ステップのうち、どれか1つでもつまずけばコンバージョンは発生しません。
つまり、導線設計は「売上や成果に直結するビジネス要件」なのです。
開発会社に見積もりを依頼する際にも、単に「〇〇という機能がほしい」ではなく、「ユーザーがどう動くかを前提に設計できるか」が大きな差になります。
ありがちな失敗例とその回避方法
ここでは、実際のプロジェクトでよく見られるUI設計上の失敗パターンをいくつか紹介します。
ボタンやリンクがどこにあるのか分かりにくい
パッと見て、何ができる画面なのか分からないケースです。特に「次の行動」が分からないと、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。
回避策:画面設計段階でユーザーの行動パターンを整理し、画面のファーストビューにアクション導線を明示しましょう。
画面遷移が複雑になりすぎている
「戻る」や「完了」などの動線が複雑で、ユーザーがどこにいるか分からなくなるケースです。
回避策:画面構成図(画面遷移図)を初期段階で作成し、フローの無駄や重複がないかを可視化して検討しましょう。
フォームが長すぎて途中でやめてしまう
登録フォームや予約フォームで、入力項目が多すぎると離脱の原因になります。
回避策:必須項目と任意項目を分けてステップ化したり、SNSログインなど入力の簡略化手段を用意することが重要です。
UI導線設計のチェックリスト
開発前の設計段階で、以下のような観点をチェックしておくと失敗のリスクが減ります。
-
最も重要なアクションが目立つ位置にあるか
-
ファーストビューに必要な情報が収まっているか
-
画面ごとに目的が明確か(何のための画面か)
-
ユーザーが迷ったときに戻れる設計になっているか
-
モバイル端末での操作性が確保されているか
-
タップや入力のストレスが最小限か
特にスマホファーストで考える場合、片手での操作、親指の動線なども意識する必要があります。
UI設計で使われるツールや手法
開発会社に相談する前に、基本的なUI設計の流れや用語を把握しておくと、コミュニケーションがスムーズです。
-
ワイヤーフレーム:UIの構造を線とブロックで表現した図
-
画面遷移図:アプリ内の各画面とそのつながりを示す図
-
プロトタイプ:実際に動くように見える試作品(FigmaやAdobe XDで作成)
-
ユーザーストーリー:ユーザーがどういう行動をするかをシナリオ形式で記述
開発パートナーがこれらをどこまで対応してくれるかも、選定時の大切なポイントになります。
UI設計は要件定義と一体で考える
「UI設計は後から調整すればいい」と思っていませんか?
実は、UIの良し悪しは機能の仕様そのものに深く関わっています。たとえば、
-
「この画面ではログイン済みが前提」なのか
-
「複数人で同時に使うことがある」のか
-
「モーダル表示が良いのか、別画面に遷移するのか」
こうした細かな判断は、要件定義とUI設計を並行して進めないと見えてこない部分です。
そのため、開発会社と初期段階で仕様を詰める際には、UIも含めて議論できる体制が望ましいと言えます。
発注者が意識すべきこと
発注側としてUI設計の知識があれば、開発会社に依頼するときにも「言葉」が揃います。
-
「トップページには登録ボタンを目立たせたい」
-
「ユーザーが次に何をすべきか分かるUIにしてほしい」
-
「ステップごとに完了通知があるといい」
-
「スマホで片手操作でもスムーズに使いたい」
こうした要望を具体的に伝えることで、見積もりや提案の精度も高まります。逆に、漠然とした依頼だと、あとからUI改修が必要になり、スケジュールも費用も増えてしまうことがあります。
まとめ:機能と同じくらい導線を重視しよう
アプリやWebシステム開発において、機能は確かに重要です。しかし、その機能を「どう使ってもらうか」を考える導線設計は、それ以上にプロダクトの成功を左右する要素です。
「UI設計」とは、見た目を作ることではなく、「ユーザーを迷わせず、気持ちよく目的に導く設計」をすること。
これから開発会社を探す方や、見積もりを取って比較検討している方にとっても、「導線設計ができているか」は重要な評価軸の一つになります。
まずは、自分が想定するユーザーがどう動くかを一度紙に書き出してみてください。
その“導線”が設計に織り込まれているかどうか、それを一緒に考えてくれる会社かどうか。
それが、良いパートナー選びのヒントになります。