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技術解説・フレームワーク紹介

サーバーレス&周辺技術を徹底解説|基礎知識から導入のポイントまで

サーバーレスのメリットと注意点

近年、サーバーレスはインフラ管理の手間を省き、イニシャルコストを抑えながらシステムを迅速に立ち上げられる手法として注目を集めています。従来のVMやコンテナと比較して、キャパシティプランニングの精度を気にせずに済むため、予算や費用の相場について大きなリスクを負わずに済みます。さらに、スケーリングが自動化されることでアクセス増加時のパフォーマンス劣化も回避可能です。一方で「コールドスタート」と呼ばれる初期レスポンスの遅延や、外部APIコール回数に応じた従量課金のコスト増も発生し得ます。
また、サーバーレスは発注先の開発会社が提供するノウハウやガイドラインに依存しやすく、ベンダーロックインの懸念も払拭できません。要件定義の段階でランタイム制限やロギング要件を整理しないと、後々の追加開発で二重発注や予算オーバーが発生するリスクがあります。
そのため、サーバーレス導入では以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 事前に想定アクセス数をシミュレーションし、費用相場を把握する

  • コールドスタート対策としてプロビジョンドコンカレンシーを検討する

  • ベンダーロックイン回避のために抽象化レイヤーを設計する

  • 監視・ロギング設計を初期要件として明確化する

Serverless Frameworkの特徴と導入事例

Serverless Frameworkはマルチクラウド対応の定番ツールとして、AWS LambdaだけでなくGoogle Cloud FunctionsやAzure Functionsにも対応しています。YAML形式でシステム構成や関数のトリガー設定を一元管理できるため、コードベースに近い形でインフラを扱えます。CI/CDとの連携やプラグインエコシステムも充実しており、開発会社の選び方では「導入実績」「プラグイン対応数」「コミュニティサポート」を重視するとよいでしょう。
具体的な導入事例として、マーケティングプラットフォームを開発したスタートアップでは、Serverless Frameworkを用いることでAPI GatewayとLambdaの定義をコード化し、リリースのたびに手動で変更していたAPI仕様の発注コストを約70%削減しました。また、環境構築のドキュメントもYAMLで一貫管理したことで、新人エンジニアの立ち上げ工数を半分以下に短縮しています。

AWS SAMでの開発コスト最適化

AWS SAM(Serverless Application Model)はAWS純正のサーバーレス開発フレームワークで、CloudFormationベースのデプロイメント機能を提供します。AWS環境への深い統合により、IAMポリシーやVPC設定などを細かく制御できる点が強みです。SAM CLIを用いたローカルテストやデバッグも可能で、テスト効率を向上させながら品質を担保できます。
費用面では、SAMを利用するとCloudFormationスタックとして管理されるため、追加のツール費用は不要です。相場としては、Serverless Framework導入時のツールライセンス料が発生しないため、予算を「テスト自動化」「モニタリング強化」に集中させられます。
ただし、CloudFormationのステートフルな挙動に慣れていないとスタック更新時に意図しないリソース差分が適用され、リソース削除や再作成による一時的なダウンタイムが発生するケースもあります。要件定義段階で「インフラ変更手順」を明文化し、開発会社と共有することでリスクを最小化しましょう。

Azure Functions Core Tools活用ポイント

Azure Functions Core Toolsは、Azure環境におけるサーバーレス関数のローカル開発とデプロイを支援するCLIツールです。ローカルで実行できるエミュレーション機能により、オフライン環境での動作確認が容易になります。また、Visual StudioやVS Codeとの連携もスムーズで、.NET,C#,JavaScript,Pythonなど複数言語をサポート。
Azure Functionsではプラン選択時に「消費プラン」「Premiumプラン」「Dedicatedプラン」があり、アクセスパターンに応じた最適な予算コントロールが可能です。消費プランでは月間無料コール数が存在し、小規模システムなら費用ゼロで運用できる場合もあります。一方で、ステートレス関数だけで完結しないシステムではコスト増が見えにくくなるため、「コストアラート設定」を早期に実装し、定期的な費用レビューを行うことが重要です。

フレームワーク選びの判断基準

複数のサーバーレス開発フレームワークから最適なものを選ぶには、以下の切り口で比較検討しましょう。

  1. 対象クラウドの親和性:AWS特化/マルチクラウド対応

  2. 開発生産性:テンプレートやプラグイン、CLI体験の豊富さ

  3. 保守性・可観測性:モニタリング/ログ集約機能の有無

  4. コスト見積もりのしやすさ:従量課金モデルの理解しやすさ

  5. コミュニティとサポート体制:ドキュメント充実度やベンダーサポート

社内SEやCTOの視点では、短期的な「導入コスト」と長期的な「維持費用」をバランス良く考え、フレームワーク導入時の見積相場を複数社に確認しながら予算交渉を進めると良いでしょう。

事例:スタートアップが選んだ理由

架空の企業「TechNova社」は、スマホアプリと管理用Webシステムの両方を迅速に立ち上げるため、Serverless Frameworkを採用しました。選択理由は以下の通りです。

  • マルチリージョン展開:海外ユーザー向けに同一コードベースで各AWSリージョンへデプロイ

  • デプロイ速度:平均10分の本番反映時間を実現

  • コスト可視化:プラグインを用いて月次呼び出し回数と費用をダッシュボード化

  • コミュニティ実績:トラブルシューティング情報が豊富で、開発会社との連携もスムーズ

結果的に、TechNova社は初年度開発費用を予算内に収めつつ、機能追加サイクルを3週間ごとに回すことに成功しました。

継続的インテグレーションとデプロイメントの自動化

近年、システム開発会社ではCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインを組み込み、開発スピードと品質を同時に高める取り組みが必須になっています。フレームワーク選定の際には、GitHub Actions、GitLab CI、CircleCIなど主要ツールとのプラグインやテンプレート連携を確認しましょう。たとえばServerless Frameworkには「serverless-deployments-plugin」があり、GitHubへのプルリクエスト検証や自動デプロイが可能です。AWS SAM BI版では、CodePipelineと連動させることで、ビルド・テスト・ステージング・本番デプロイを一貫したワークフローで回せます。

効果的な自動化を実現するポイントは次の通りです。

  • ブランチ戦略の統一:Git FlowやGitHub Flowをチーム全体で合意しておく

  • テスト自動化:ユニットテスト、統合テスト、APIテストをCIに組み込む

  • ステージング環境の導入:本番と同一構成でテスト可能にし、リリース前に不具合を発見

  • デプロイ前後のヘルスチェック:LambdaのWarmupやステートフルリソースの疎通確認

CI/CDの導入・維持にかかる予算は、主にクラウド料金と外部CIツールのサブスクリプション費用に分かれます。相場としては、小規模プロジェクトで月数千円、中規模以上で月数万円程度が目安です。発注時に「自動化要件」を明確にしておくことで、不要な追加費用を回避できます。

可観測性とモニタリングの実装

サーバーレス化したシステムは、インスタンス単位の監視ではなく「分散トレーシング」や「メトリクス収集」が鍵を握ります。OpenTelemetryを活用すると、LambdaやFunctionの呼び出し回数、レイテンシ、エラー率を可視化しやすくなります。Datadog、New Relic、AWS X-RayなどのAPM(Application Performance Monitoring)ツールと連携し、リアルタイムダッシュボードを構築しましょう。

以下の要点を押さえておくと、可観測性の整備がスムーズです。

  • カスタムメトリクスの定義:ビジネス指標(例:ユーザー登録数、決済成功数)をLambdaからアプリケーションログとして送信

  • 分散トレース:API Gateway→Lambda→外部API→DBまでのリクエストフローを追跡

  • アラート設定:しきい値を超えた場合にSlack/メールで通知

  • ログ集約:CloudWatch LogsやAzure Monitorでログを一元管理し、検索性を高める

これらを構築する初期費用としては、設計・実装・テストを含めて開発会社への発注で数十万~百万円程度が相場です。可観測性は運用コストを大幅に削減し、障害対応時間の短縮にも直結します。

セキュリティ対策とアクセス制御

サーバーレスではコードとインフラが密接に連携するため、IAMポリシーやロール設定がセキュリティの肝になります。最小権限原則(Least Privilege)に基づき、各関数ごとに必要最低限のアクセス権を付与しましょう。
また、次の技術を導入するのが推奨されます。

  1. WAF(Web Application Firewall) の配置:SQLインジェクションやXSS対策

  2. Secrets Manager/Azure Key Vault:APIキーやDBパスワードの安全な管理

  3. API Gatewayの認証:CognitoやOAuth2を用いたJWT認証

  4. 脆弱性スキャン:依存ライブラリの自動検出とアップデート

実装上のトラブルを防ぐため、発注時に「セキュリティ要件」を要件定義書に明示し、見積もりに含めましょう。セキュリティ強化により、追加費用が発生する場合もありますが、後々のインシデント対応コストと比較すれば十分に投資効果があります。

コスト最適化のPDCAサイクル構築

費用は「構築時」「運用時」「追加開発時」の3フェーズで発生します。特に運用フェーズでは従量課金が継続的にかかるため、定期的なコストレビューを行い、PDCAサイクルを回すことが重要です。以下のような施策を実践しましょう。

  • 毎月の請求アラート設定:予算超過を未然に検知

  • 使用状況レポート:アクセス数や関数実行回数を可視化

  • リソース整理:未使用の関数やIAMロールを削除

  • スケジュール起動:夜間・休日の不要な処理を停止

これによって、無駄な費用を年間で数十~数百万円単位で削減できます。予算計画時には、こうした運用コスト最適化策を含めた発注見積もりを取得することをおすすめします。

他クラウド・OSSフレームワーク比較

主要クラウド以外にも、OpenFaaSやKubelessなどOSSライブラリを利用してオンプレ/Kubernetes環境にサーバーレスを構築する選択肢があります。

  • OpenFaaS:任意のコンテナレジストリとの連携が容易で、クラウド利用料を抑制可能

  • Kubeless:KubernetesのCRD(Custom Resource Definition)上で関数を管理し、既存のクラスターを活用

  • Knative:Kubernetesネイティブなサーバーレスプラットフォームで、柔軟なスケーリングを実現

OSSフレームワークはイニシャルコストを抑えやすい一方、保守・運用の工数や専門スキルを社内に持つ必要があります。開発会社選びでは「Kubernetes運用実績」や「OSSコミット数」も評価基準に加えましょう。

導入時の落とし穴と解決策

サーバーレス導入プロジェクトでよくある失敗パターンと、その回避策を整理します。

  • 要件定義の曖昧さ:非機能要件(RTO/RPO、可用性、レスポンスタイム)を明示し、開発会社と合意

  • コールドスタート見落とし:アクセス量ピーク前にプロビジョンドコンカレンシーを設定

  • テスト不足:ローカルテストだけでなく、本番環境相当のステージングでE2Eテストを実施

  • 過度なベンダーロックイン:抽象化レイヤーを設計し、将来的なマイグレーションを見据える

これらの教訓をプロジェクト管理に反映させることで、追加費用や納期遅延を防げます。

フレームワーク選定のチェックリスト

最後に、上記を踏まえたうえでフレームワーク選びのチェックリストをまとめます。

  • 利用クラウド/オンプレの環境に最適か?

  • CI/CD/テスト自動化との親和性は?

  • 可観測性/モニタリング機能は充実しているか?

  • セキュリティ要件を満たせるか?

  • 総TCO(総所有コスト)を算出し、相場と比較したか?

このリストをもとに発注要件を整理し、複数社から見積もりを取り、予算交渉や開発会社の選び方を検討しましょう。

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