ゼロトラストセキュリティとは?従来のセキュリティとの違い

「ゼロトラスト(Zero Trust)」は、現代のシステム開発会社やWeb開発会社、アプリ開発会社が直面する最重要テーマのひとつです。
従来の「境界型(Perimeter型)」セキュリティは、“社内は安全、外は危険”という前提に立ち、ファイアウォールやVPNでネットワーク境界を守る発想でした。
しかしテレワーク、クラウド、スマホアプリ開発、SaaSの普及で境界は曖昧になり、「誰も信用しない」「全てを都度検証」という新しい考え方が必要となっています。
ゼロトラストは、
・社内ネットワーク上でもユーザー・デバイス・アプリを一切“信用しない”
・システムにアクセスする度に「認証・認可・検証」を徹底
・権限管理、ログ監査、多要素認証、暗号化、通信の常時保護など、総合的なアプローチ
という思想を基盤に、あらゆるWebシステム開発・業務システム開発において“攻撃に強いサービス”を実現します。
ゼロトラストが今、受託開発で求められる理由
1. クラウド移行・SaaS導入の加速
今やほぼ全てのシステム開発会社、Web開発会社がAWSやAzure、Google Cloudを基盤とする“クラウドネイティブ”な開発・受託開発を担っています。
顧客企業もSaaS(Google WorkspaceやSalesforceなど)を多数利用。
“どこからでも”アクセスできる便利さが増す一方で、境界型の限界が露呈。
「内部不正」「なりすまし」「クラウド間移動攻撃」など“信頼できる場所”が消えつつあります。
2. テレワーク・BYOD時代の業務システム開発
従業員が自宅や外出先から、私物スマホやノートPCで業務アプリ・Webシステムにアクセスする時代。
セキュリティ対策は“端末や場所に依存せず”、個人の識別とデータ・通信の保護が中心へ。
3. サイバー攻撃の巧妙化
ランサムウェア、標的型攻撃、APIハッキングなど攻撃手法は日々進化。
たった1台の端末侵害から“水平展開”されて全社に被害が及ぶリスクが増大。
ゼロトラストは「被害拡大を最小化」「リアルタイム監査・自動封じ込め」に強み。
業務システム・Webアプリでのゼロトラスト設計の基本
ゼロトラスト実践は単なる「多要素認証の導入」や「VPN廃止」ではありません。
以下のような多層的な設計が必要です。
1. ID・アクセス管理(IAM/認証基盤)
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全ユーザーに一意のIDを付与し、IDごとに細かく権限を設定
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SSO(シングルサインオン)、多要素認証(MFA)、行動ベース認証を併用
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サービス間の認可(OAuth2.0/OpenID Connectなど)の最適設計
2. マイクロセグメンテーション
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社内ネットワークを小さなセグメントに分割
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アプリごと、ユーザーごとに通信・データアクセスを制御
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万が一侵害が起きても被害範囲を局所化
3. データ暗号化・秘匿化
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端末・通信・ストレージの全段階で暗号化
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暗号鍵管理・HSM(ハードウェアセキュリティモジュール)活用
4. 継続的な監査・可視化・異常検知
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操作ログ・アクセスログをリアルタイム監視
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不審な挙動(アクセス頻度・異常端末・国外IPなど)を即座にアラート
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SIEMやEDRツールとの連携で“自動封じ込め”も視野に
ゼロトラストに基づくWebシステム開発の具体的フレームワーク
1. APIゲートウェイと認証プロキシ
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全API通信をAPIゲートウェイで集約・制御
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JWT(JSON Web Token)やOAuth2.0でトークンベース認証
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クライアントサイド(スマホアプリ等)からの直接DB接続禁止
2. RBAC(ロールベースアクセス制御)の実装
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全リソース・操作単位で「誰が・何を・どこまでできるか」を定義
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権限エスカレーション(特権昇格)防止
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組織改編・人事異動にも追従可能な“動的RBAC”の設計
3. コンテナ/サーバーレス+ゼロトラスト
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KubernetesやAWS Lambda、Azure Functionsなどモダンインフラでマイクロサービスを運用
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各コンテナごとに認証・認可を細分化
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「1台破られても全体は守られる」強固な設計へ
スマホアプリ開発におけるゼロトラスト実装のポイント
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端末の認証/認可とサーバーサイドの認証を連携
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ローカルデータの暗号化・自動消去
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“一時的なオフライン利用”時でも後から全操作をサーバーに記録
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アプリケーションレベルの脆弱性診断(ペネトレーションテスト)の定期実施
保守運用フェーズでのゼロトラスト
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定期的な権限棚卸し(不要な権限の自動失効)
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ログ監査・アラート運用
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新しい脅威情報(CVEや脆弱性)を自動でシステムに反映
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「開発→テスト→本番→運用」でゼロトラストが切れ目なく貫徹されるフロー
費用・見積もり・コスト最適化視点
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ゼロトラストは「実装・運用コストが高い」と誤解されがちだが、“被害コスト削減”で長期的にはメリット大
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受託開発時は「必要最小限から段階的に導入」し、費用対効果の高い部分から展開
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クラウドベースのゼロトラストサービス(Azure AD, AWS Cognito, Okta, Google IAM等)活用で開発費用を抑制
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“運用コスト込み”の見積もり提案や、保守サポートまで含めたシステム開発費用モデルが主流
ゼロトラスト対応プロジェクトの失敗パターンと注意点
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要件定義で「現状把握」不足→実装範囲が曖昧
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一部のシステム・アプリだけで導入→“抜け穴”が生じやすい
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ユーザビリティ低下(認証フローが煩雑になり現場に定着しない)
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運用後の「監査・改善フロー」不全で形骸化
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クライアント・現場担当者との合意形成不足による“棚ざらし化”
今後の開発会社選び・受託開発におけるゼロトラストの重要性
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ゼロトラスト対応を明確に掲げる開発会社が“案件獲得力”を高める時代
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クライアント企業も「ゼロトラスト対応していますか?」という質問が一般化
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受託開発の提案書・見積もり段階から、ゼロトラストアプローチの方針明記が望ましい
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将来のクラウド移行・システム連携・新規拠点展開も見据えた“柔軟な拡張性”をアピール
まとめ:全てのシステム・アプリに“ゼロトラスト”の視点を
ゼロトラストは「一部の大企業や金融機関だけ」のものではなく、
“業務システム開発・Webシステム開発・スマホアプリ開発”すべての現場で“新しい常識”となりつつあります。
見積もり依頼時・要件定義時に「ゼロトラストを意識した設計ができる会社」を選ぶことが、
コスト最適化・保守運用の安心・将来のシステム拡張にも直結します。
貴社のシステム開発パートナー選びや、費用感・実装事例の相談にも、ぜひ本記事の観点をご活用ください。