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最新技術比較:RxJSによるリアクティブ開発 vs Vue 3 Composition API活用法

昨今のWebシステム開発では、ユーザーインターフェイスの状態管理やデータフローをいかに効率的に扱うかが課題となっています。特にシングルページアプリケーション(SPA)の需要が高まる中で、リアクティブプログラミングと呼ばれる設計手法が注目されています。本記事では、代表的なリアクティブライブラリであるRxJSと、Vue.jsの最新版で採用されたComposition APIを、技術面・開発コスト面の両面から比較解説します。開発会社を選び方や予算、費用相場の視点も交え、導入検討の判断材料となる情報を提供します。

リアクティブプログラミングとは何か

リアクティブプログラミングは、データの変更をストリーム(連続したイベント)として捉え、それに対するリアクション(反応)を宣言的に記述する手法です。従来の命令的なコードでは、状態が変わるたびに手動でDOM操作やコールバック関数を呼び出していましたが、リアクティブでは次のようなメリットがあります。

  • 直感的なデータフロー管理

  • 副作用(サイドエフェクト)の集中制御

  • コードのモジュール化と再利用性向上

ただし導入には学習コストが必要で、開発会社選び方ではリアクティブ経験の豊富なベンダーを選定しないと、要件通りの実装に時間と予算を要するケースがあります。

RxJSの特徴と導入メリット

RxJSはJavaScriptで多用されるObservableパターンをベースにしたライブラリです。主にAngularで採用されてきましたが、ライブラリ単体でも利用可能です。

  1. Observableベースのストリーム操作

    • map, filter, reduceなどの演算子で複雑なデータ変換が可能

  2. キャンセル可能な非同期処理

    • HTTPリクエストやWebSocketなどを容易に管理

  3. 豊富なエコシステム

    • 社内SEやCTO向けにも安心のドキュメントとコミュニティサポート

ただし、コード量が増えがちで、学習曲線も比較的急峻です。開発プロジェクトの初期フェーズで「RxJSを使ったら工数10%増加」という見積もりもあるため、予算計画時には相場を意識した発注が求められます。

Vue 3 Composition APIの特徴と導入メリット

Vue 3で新たに導入されたComposition APIは、従来のOptions APIとは異なるアプローチでリアクティブ性を実現します。

  • setup関数内でリアクティブ変数を定義

  • ライフサイクルフックを一元管理

  • TypeScriptとの相性が向上

Composition APIはVueエコシステム内で統一して書けるため、開発会社を選び方においてはVue経験者が多数在籍するベンダーであれば、学習コストほぼゼロで導入可能です。しかも、ライブラリ追加なしでリアクティブ機能を手軽に使える点が大きな強みです。

効果的な技術選定プロセス

両者を比較検討する際は、以下のフローがおすすめです。

  1. 要件定義フェーズでの技術マッチング

    • UIの動的要件やデータ同期待機の有無を洗い出し

  2. PoC(概念実証)による工数試算

    • RxJS版とComposition API版でサンプル機能を実装

  3. 開発会社の技術力評価

    • ポートフォリオや過去の開発事例をヒアリング

  4. 予算・費用相場を踏まえた見積もり比較

    • 単純比較ではなく、保守性・拡張性を含めた総コストを算出

たとえば小規模プロジェクトであればComposition APIが費用対効果に優れ、大規模システムで複雑なストリーム処理が必要な場合はRxJSに軍配が上がるケースが多いでしょう。

実装サンプル比較

以下に、ボタンクリックでカウントアップする簡易サンプルコードを示します。

RxJSの場合

import { fromEvent } from 'rxjs';
import { scan } from 'rxjs/operators';

const button = document.getElementById('btn');
const count$ = fromEvent(button, 'click').pipe(
  scan(count => count + 1, 0)
);
count$.subscribe(count => {
  document.getElementById('output').textContent = count;
});

Vue 3 Composition APIの場合

import { ref } from 'vue';

export default {
  setup() {
    const count = ref(0);
    const increment = () => count.value++;
    return { count, increment };
  }
}

ご覧の通り、コード量・可読性ともにComposition APIのほうがシンプルです。ただし、複数非同期ストリームを組み合わせるとRxJSの強みが発揮されます。

実装ベストプラクティス:RxJSとComposition APIの併用

リアクティブプログラミングをプロジェクトに導入する際、RxJSとVue 3 Composition APIをそれぞれ別々ではなく、適材適所で併用するとメリットが大きくなります。例えば、Composition APIで基本的なUIのリアクティブ性を担保しつつ、複雑な非同期フローや複数ストリームの結合部分だけをRxJSに任せることで、コードの可読性と保守性を両立できます。このアプローチには以下のポイントがあります。

  • Composition APIのrefreactiveを主体にユーザー操作や単純データの双方向バインディングを実装

  • RxJSのmergeMapswitchMapを使い、APIコールやWebSocketイベントなどの重い非同期処理を集中管理

  • onUnmountedフックを利用して、RxJSのサブスクリプション解除を忘れないようにする

  • VueのライフサイクルとObservableのライフサイクルを同期させ、メモリリークを防止

実装時のTipとして、サービス層やComposable関数にObservableのロジックを閉じ込め、コンポーネント側は極力シンプルに保つことが重要です。また、バグ追跡やパフォーマンス計測には、RxJSのデバッグ用演算子(taplog自作関数)とVue DevToolsを併用すると効率的に問題を発見できます。

テスト駆動開発と品質保証

リアクティブコードを含む部分はテストが難しいと言われがちですが、適切にツールを選べばムダなく品質を担保できます。RxJSでは「Marble Testing」と呼ばれるストリームシミュレーション手法を活用し、イベントの発火タイミングやエラー伝播を明示的にテストできます。Vue側は「Vue Test Utils」でComposableをモックし、setup関数内のロジックを単体テストします。具体的には以下のステップです。

  1. ユニットテスト

    • Observableの各演算子(filtermapなど)が期待通り動作するかをMarble図で定義

    • Composable関数が返すref値の初期状態・更新を検証

  2. 統合テスト

    • HTTPリクエストやVue Routerとの連携部分をモックし、実際のDOM上でクリック→更新までの一連動作をテスト

  3. E2Eテスト

    • CypressやPlaywrightを使い、リアクティブなUI状態変化(Loading→Success→Error)を自動で検証

こうした品質保証を組み込むことで、リリース後のバグ発生率を大幅に抑えられますし、開発会社選び方でも「テスト体制の整備」を評価指標に含めると、相場以上の安定品質を実現しやすくなります。

予算管理と開発会社との交渉ポイント

プロジェクト全体の予算を計画する際、リアクティブ技術導入分のコストをどのように織り込むかは重要です。一般的に、RxJSを新規で学習する工数は約10~15%増、Composition APIは既存Vue知見を活かせるため工数増はほぼゼロと言われます。そこで、以下の交渉ポイントを押さえましょう。

  • 技術学習コストの明示化:見積書に「RxJSトレーニング」「Composition APIハンズオン」の項目を作成

  • スコープ管理:リアクティブ部分の適用範囲(何画面、何API)を明確化し、追加発注リスクを低減

  • フェーズ分割:PoC(概念実証)フェーズで小規模に技術評価し、本格導入フェーズへ移行する条件を契約に盛り込む

  • リスク共有:学習曲線やパフォーマンス課題など、想定リスクとその対策(例:RxJSのBundleサイズ削減策)を共有

このように交渉を進めることで、開発会社との認識齟齬を防ぎ、予算超過を未然に防ぎやすくなります。

パフォーマンス最適化とコスト抑制戦略

リアクティブ技術は便利ですが、適切な最適化を怠るとバンドルサイズの肥大や不要な再レンダリングが起こりがちです。プロジェクトを効率的に回すため、以下の戦略をおすすめします。

  1. Tree Shakingとコードスプリッティング

    • RxJSの個別パッケージ(rxjs/operatorsのみ)をインポート

    • VueのDynamic Importで画面ごとにChunkを分割

  2. Lazy Loadingとデバウンス

    • リアルタイム検索などの高頻度イベントにはdebounceTimethrottleTimeを適用

  3. サーバーサイドレンダリング(SSR)

    • 初期表示速度を向上させ、クライアント負荷を軽減

  4. キャッシュ戦略

    • Reactive Queryライブラリ(例:Vue Query, RxQuery)でデータ取得結果をキャッシュ

これらの最適化によって、ユーザーのUX改善だけでなく、サーバー負荷と通信コストの抑制にもつながります。

保守・運用フェーズの効率化

リリース後の保守・運用を見越した設計は、長期的なコスト削減に直結します。チームがスムーズに障害対応できるよう、以下の仕組みを整えましょう。

  • モニタリング・アラート設定

    • SentryやNew Relicでエラー発生箇所(Observableのエラー含む)を即時通知

  • ログ・トレース管理

    • RxJSのストリームIDを付与し、どのイベントが失敗したかを特定しやすくする

  • ドキュメントとテンプレート整備

    • Composition API用の共通Composableテンプレート、RxJSパターンライブラリを社内Wikiにまとめる

  • 定期的な技術レビュー

    • リーン開発の観点で、四半期ごとに技術スタックの見直しとライブラリバージョンアップを実施

メンテナンスにかかる稼働は、事前の仕組みづくりとドキュメント整備で7割以上削減できることもあります。

導入後の拡張性と技術選定の見直し

プロジェクト中盤から後半にかけて、新たな要件や市場変化が発生するのは必至です。そこで重要なのが「技術の揺らぎ」を前提とした設計です。以下の観点で定期的に振り返りを行いましょう。

  • モジュール化の徹底

    • Observableロジック、UIロジック、API呼び出しロジックを完全に分離

  • POC結果の評価

    • 実際の運用データを基に、RxJSとComposition APIの費用対効果を再度試算

  • 開発会社との定例ミーティング

    • 見積り段階で見落とした追加開発や技術リスクを共有し、次フェーズの予算に反映

  • コミュニティ動向のキャッチアップ

    • RxJSやVueのメジャーアップデート情報を常にウォッチし、機能廃止や新機能を評価

こうしたPDCAサイクルを回すことで、導入後も柔軟かつ低コストで技術スタックをアップデートできます。

まとめと次のステップ

本記事では、RxJSとVue 3 Composition APIを比較し、実装からテスト、予算交渉、パフォーマンス最適化、保守・運用まで一貫したプラクティスを紹介しました。技術選定は一過性のものではなく、プロジェクトのライフサイクルに応じた見直しが必要です。投資対効果を最大化するため、まずは小規模なPoCからはじめ、「3分でわかる!スマホアプリ・Web開発の費用感をスピードチェック。」で自社プロジェクトの費用感を確認してみてください。

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