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技術解説・フレームワーク紹介

WebAssembly入門:Rust・AssemblyScript・Goで始める高性能Webアプリ開発

はじめに

WebAssembly(WASM)は、ブラウザ上でネイティブに近い速度でコードを実行できる技術です。従来のJavaScriptだけでは負荷の高い処理や大量データ処理に苦戦する場面がありました。WASMを活用すると、画像処理や3Dレンダリング、ゲームエンジン、機械学習推論などをWebブラウザ上で高速に動かせるため、ユーザー体験を格段に向上させられます。ITに詳しくない経営者や事業担当者向けには「開発会社に高額なネイティブアプリを頼まず済む」「予算を抑えて高性能機能を提供できる」「費用相場感がつかみやすい」といったメリットがあります。本記事では、WASMの基本概念から主要な言語とフレームワークの比較、ツールチェーン、パフォーマンス最適化方法まで、開発会社選びや発注・予算管理の観点も交えて丁寧に解説します。

WebAssemblyとは何か?

WebAssemblyはバイナリ形式の中間言語で、ブラウザの仮想マシン上で動作します。
従来のJavaScriptはテキスト形式のスクリプトを逐次解釈実行する方式ですが、WASMはコンパイル済みのバイトコードを直接実行するため高速です。
HTMLやCSS、JavaScriptと同様にWeb標準技術として位置づけられており、主要ブラウザはすでに対応済みです。
WASMを利用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 高速な実行性能:数倍から数十倍のパフォーマンス向上が期待できる

  • 多言語サポート:C/C++、Rust、Go、AssemblyScriptなど複数言語からコンパイル可能

  • セキュアなサンドボックス:ブラウザ上で安全に隔離実行されるためセキュリティリスクが低い

  • 既存ライブラリ活用:ネイティブ向けに書かれたライブラリをWASMで再利用できる
    WASMは特に、画像処理や音声認識、機械学習推論、ゲームエンジン、CADツールなどの高負荷処理に向いています。
    一方、DOM操作やUI制御はJSとの連携が必要で、頻繁なデータ受け渡しではオーバーヘッドも発生します。
    そのため、WASMは「演算処理をWASMに任せ、UIやイベント制御はJSで行う」というハイブリッド構成が一般的です。
    発注時には、WASMで実装する部分とJSで実装する部分を明確に分け、開発会社にスコープを提示しましょう。
    これにより、要件定義がクリアになり、予算(費用)とスケジュールのすり合わせが容易になります。
    WASM導入は初期学習コストがかかるものの、高性能を引き出す部分だけに絞れば、相場感の中で導入可能です。
    まずはPoC(概念実証)で簡易的にベンチマークを取り、発注前の費用対効果を確認しましょう。

主なWASM言語&フレームワーク比較

WASM対応言語として代表的なのはRust、AssemblyScript、Goです。
それぞれ特徴が異なるため、開発会社選びや予算策定に影響します。

Rust+wasm-bindgen

Rustは安全性とパフォーマンスを両立する言語で、メモリ安全をコンパイル時に保証します。
wasm-bindgenライブラリを使うと、Rustの関数をJavaScriptから簡単に呼び出せます。
メリットは高速な実行速度と豊富なエコシステム、型安全なコードです。
デメリットは学習コストが高く、開発会社ではRust経験者の確保が難しく費用が増す可能性があります。
開発会社選びでは「Rust言語経験」と「wasm-bindgen実績」を重視しましょう。

AssemblyScript

AssemblyScriptはTypeScriptライクな文法でWASMをターゲットにコンパイルできる言語です。
TypeScript経験者がスムーズに移行でき、学習コストが低い点が魅力です。
メリットは既存のTypeScriptライブラリと親和性が高く、開発スピードが速いこと。
デメリットはRustほどの最適化が期待できず、大規模な数値演算ではパフォーマンスで劣る場合があります。
予算を抑えつつ短期間でPoCを作りたいなら、AssemblyScriptを提案できる開発会社が適しています。

Go+TinyGo

Go言語はシンプルな文法と高い並行処理能力を持ちます。TinyGoコンパイラにより、GoコードをWASMに変換できます。
メリットはGoエコシステムの豊富なライブラリと並行処理の強みを活かせる点です。
デメリットは現状、WASM出力の最適化が進んでおらずバイナリサイズが大きいことが課題です。
開発会社ではGo経験者が多いため発注コストを抑えやすい反面、ツール成熟度を見極める必要があります。
各言語の相場感は、PoC約30~50工数、本格開発100~200工数程度。言語選定による単価差はおおむね10~20%です。
開発会社に見積もりを依頼する際は、言語ごとの工数と単価モデルを明示してもらいましょう。
これにより、費用(コスト)面での最適なバランスを取れます。

ツールチェーンと開発フロー

WASM開発では、まず言語ごとのコンパイラとバンドラを用意します。
Rustならwasm-pack、AssemblyScriptならasc、TinyGoならtinygoコマンドを使用します。
次に、npmやyarnでJavaScript側のパッケージと結合し、WebpackやRollupといったバンドラでバイナリとJSを同梱します。
ビルドパイプラインにはGitHub ActionsやGitLab CIを組み込み、テストとデプロイの自動化を図ります。
テストはWASMバイナリの単体テストと、Js側との統合テストに分けて実施します。
例えば、Rustではwasm-pack test 、AssemblyScriptではas-pectなどでテスト自動化が可能です。
CIでテストが通過したら、NetlifyやVercelへ自動デプロイし、CDN配信を設定します。
これにより、ユーザーへ最新のWASMバイナリをグローバルに迅速に配信できます。
開発会社選びでは、これらのツールチェーン経験と自動化能力があるかを評価すると良いでしょう。
発注時に「CI/CD設定」の工数を明示してもらい、スムーズなプロジェクト進行を実現します。

パフォーマンス最適化とコスト考慮

WASMは高速ですが、バイナリサイズやロード時間がUXに直結します。
最適化の基本は、不要なコードを除去するツリーシェイキングと、バイナリ圧縮(gzip/Brotli)です。
Rustでは–releaseフラグ、AssemblyScriptでは–optimizeフラグを取り入れることで最適化が図れます。
また、バイナリの分割(code splitting)を行い、必要な機能だけを遅延ロードする戦略も有効です。
パフォーマンスチューニングに伴う追加工数は、相場で20~40工数程度見込んでおくと安心です。
コスト面では、WASMバイナリ自体は無料配布できますが、CDNトラフィックとビルド時間(CI利用料)が課金対象になります。
CDN利用料はデータ転送量に応じて月数千円~数万円、CI時間は分単位で課金され、月額数千円程度です。
開発会社にパフォーマンス最適化の範囲と相場を確認し、予算に反映させることが重要です。
また、発注時に「最適化ガイドライン」や「ロードマップ」を作成してもらうと、コスト管理が容易になります。

導入事例:Rust+WASMによるリアルタイム画像フィルタリング

あるスタートアップ企業では、Webベースの画像加工ツールにおいて、アップロード直後のフィルタ適用速度がボトルネックとなっていました。
従来のJavaScript実装では、高解像度画像を扱うときにブラウザがフリーズすることもあり、ユーザー体験の低下とコスト増加(不満対応工数)が深刻でした。
そこで開発会社との協業にあたり、Rustでコア部分を実装し、WASM(WebAssembly)にコンパイルするアプローチを採用しました。
選定理由は、Rustのメモリ安全性と高速な数値演算性能を活かせる点でした。
開発会社は事前に要件定義フェーズでPoCを提示し、実行速度とメモリ消費をベンチマークしました。
このベンチマークにより、従来比で3倍以上の高速化と、メモリ使用量を50%削減できることが証明されました。
要件定義段階で発注した工数は約60工数(相場120~150万円)で、プロトタイプ提出までに約4週間を要しました。
その後、本番実装フェーズでさらに80工数(相場160~200万円)を投じ、リリースまで2カ月で完了しました。
発注時には、システム全体のスコープとWASM部分のスコープを明確に分け、見積もりを分離してもらうことで予算管理を徹底しました。
本番リリース後、ユーザーの離脱率は従来の10%から3%に改善し、問い合わせ件数も70%減少しました。
コストパフォーマンスを考慮しても、改善効果が大きく、投資回収期間はわずか3カ月でした。
開発会社の選び方としては、「Rust経験者がチームにいるか」「wasm-bindgenを使った実績があるか」を重視。
発注前に相見積もりを取り、開発会社A社を選定しました。
A社はコミュニケーションがスムーズで、要件変更へのレスポンスも早かったため、追加費用発生を最小限に抑えられました。
また、WASMバイナリの圧縮やツリーシェイキングも事前に提案してくれ、導入後のCDNコストを月数千円削減しています。
このケースは、高負荷計算処理をWebで実現しつつ、予算・費用相場を抑えられる好例となりました。

導入事例:AssemblyScriptで実現するインタラクティブ3Dビューア

別の事例では、3DモデルビューアをWeb上で提供したい企業が、AssemblyScript×WASMの組み合わせを選びました。
この企業は、製品デザインレビュー向けに複数MB級の3Dデータを滑らかに回転・拡大縮小する必要がありました。
従来はネイティブアプリの開発を想定していましたが、開発会社に相談した結果、ブラウザのみで完結するソリューションを提案。
AssemblyScriptはTypeScriptに近い文法で、既存のフロントエンドチームが短期間で習得できる利点があります。
要件定義フェーズで実施したPoCでは、60工数(相場100万~130万円)で簡易ビューアを構築し、動作検証を行いました。
PoC成果をもとに発注規模を80工数(相場150万~180万円)に調整し、最終的に合計140工数で本番実装を完了。
ユーザーからは読み込み時間が従来比30%短縮されたとの評価を得られ、Webサイト離脱率の改善につながりました。
このプロジェクトでは、発注時に「システム要件」「ユーザー数」「3Dデータサイズ」の3つを明確に提示し、
見積もり内訳を「ワイヤーフレーム作成」「WASM実装」「UI調整」「テスト」に分けたことで、透明性の高い発注プロセスを実現しました。
さらに、CDNとキャッシュTTL設定により、3Dモデルデータのトラフィックコストを月額数千円に抑制。
開発会社の選び方では、AssemblyScript経験のあるSIerを優先し、相見積もりでコストとスキルをすり合わせました。
このケースも予算管理が功を奏し、想定相場内で高性能な3DビューアをWebで提供できた成功例です。

開発会社選定と発注時のチェックポイント

WASMプロジェクトで開発会社を選定するときは、以下のポイントを必ず確認しましょう。

  1. 言語実績:Rust/AssemblyScript/GoいずれかのWASM開発経験の有無を証明できるか

  2. 事例共有:類似ユースケースでのパフォーマンス改善事例やコスト削減事例を持っているか

  3. コミュニケーション:要件定義からテストまで、開発プロセスを明文化して共有できるか

  4. スコープ管理:WASM部分とJS部分の境界を明確にし、見積もり内訳を分離できるか

  5. パフォーマンス試算:事前ベンチマークを含む見積もりプランを提示できるか

  6. ライセンスリスク:WASM関連ツールやフレームワークのライセンスコストを把握しているか
    これらの項目をRFPに盛り込むことで、発注時の認識ずれや追加費用のリスクを抑制できます。
    また、相見積もりでは「PoC → 本番実装 → 最適化」というフェーズ分割発注を提案し、段階的に予算を確定すると安心です。
    開発会社には必ず「予算超過時のアラートルール」や「追加発注の承認フロー」を契約書に明記してもらいましょう。

予算管理と費用最適化のテクニック

WASMを取り入れたシステム開発では、予算策定と費用管理が成功の鍵を握ります。
まず、発注前にプラットフォーム利用料やCDNトラフィック費用、CI/CD利用料を洗い出し、相場データを基に試算します。
開発工数はPoC/本番/最適化フェーズごとに分割し、それぞれにバッファ10〜15%を設定しましょう。
また、パフォーマンスチューニングやバイナリ最適化は後工程にまとめて発注すると、前倒しで予算消化を平準化できます。
組織内の承認ワークフローをシンプルにし、費用超過アラート発生時には自動的にメールやSlackで通知を受け取る仕組みを整えると効果的です。
さらに、

を活用して相場を簡易チェックしつつ、開発会社と費用感をすり合わせれば、予算管理の精度が格段に上がります。

運用・保守とパフォーマンス監視

WASMバイナリを本番環境にデプロイした後は、運用・保守とパフォーマンス監視を徹底しましょう。
主要監視項目は以下の通りです。

  • レスポンスタイム分布:WASM呼び出しの平均/95パーセンタイル応答時間

  • エラー率:バイナリ読み込み失敗やAPI呼び出しエラー

  • バージョン互換性:WASMランタイムのブラウザ対応状況とユーザー端末シェア

  • CDNトラフィック:バイナリダウンロードのデータ量と課金額
    監視ツールとしては、New RelicやDatadogのBrowser Real User Monitoringを使い、WASM実行部分のパフォーマンスを可視化します。
    アラート閾値を設定し、レスポンスが基準値を超えた場合は開発会社へ自動通知。SLAとして「95%のリクエストが100ミリ秒以内」を掲げると運用品質が担保できます。
    保守フェーズでは、ブラウザのアップデートに伴うWASMランタイムの互換性チェックを定期的に実施し、
    発見した問題は小規模タスク(相場1工数=約2万円)で即時修正。これにより、ユーザークレーム対応コストを低減できます。

将来展望とまとめ

今後、WASMはさらに進化し、Thread APIやWebGPUとの連携が進むことで、より高度なシステム開発を可能にします。
たとえば、3Dゲームエンジンをブラウザに統合したり、機械学習モデルをクライアントサイドで推論したりといったユースケースが増えるでしょう。
開発会社選びや予算策定、発注フローもそれに合わせて進化させ、「PoC→本番→運用→継続的改善」のサイクルを回し続けることが成功の秘訣です。
本記事を参考に、WASMを活用したシステム開発の発注・予算管理・費用最適化をぜひ実現してみてください。

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