1. HOME
  2. ブログ
  3. 開発ユースケース紹介
  4. リサイクル業界のDXを支える|買取・査定・在庫を一元管理する業務システムの開発ユースケース
BLOG

ブログ

開発ユースケース紹介

リサイクル業界のDXを支える|買取・査定・在庫を一元管理する業務システムの開発ユースケース

導入:リユース業界の業務は「分断されすぎている」

ブランド品や古着、家電、ゲームソフト、骨董品など、多種多様な商品を扱うリユース(中古買取)業界は、今まさに変革の時を迎えています。

店舗に加えてネット販売(EC)も当たり前、複数店舗の在庫連携、リアルタイムの査定管理など、業務の複雑さは増す一方。しかし現場では、「Excelでの管理」「メールや電話での査定依頼」「システムが分かれていて二重入力」など、アナログな運用がいまだに主流です。

今回は、そんな課題を抱えていた地方のリサイクルチェーン企業が、業務全体を一元化する**「買取・査定・在庫管理システム」**を新たに開発した事例をご紹介します。業界にありがちな“よくある困りごと”と、それをどう解決したかを、システム開発視点から深掘りしていきます。

ユースケース概要:買取から販売までの業務を一気通貫で管理

今回の開発プロジェクトでは、以下のような業務フローを一元的に管理するシステムを構築しました。

  1. 来店またはLINE・WEBからの買取査定依頼受付

  2. 担当者による査定額の提示と承認管理

  3. 査定結果を元に商品の買取登録

  4. 商品情報(カテゴリ、ブランド、状態など)と写真を一括登録

  5. 倉庫在庫と店舗在庫の分離管理

  6. ECモール(楽天・Yahoo・自社サイト)への商品情報自動連携

  7. 商品売却後、在庫反映とレポート出力

  8. 各店舗での買取件数・売上・在庫回転率のダッシュボード管理

対応範囲は多岐に渡るが、要件整理が成功の鍵

このプロジェクトでは、「フルスクラッチ開発」で業務フローに最適化された設計が行われました。要件の中心は、現場の声を拾い上げながら、

  • アナログ運用のどこがネックか?

  • システム化することでどれだけ業務工数が減るか?

  • どの情報を誰がいつ入力・更新すべきか?

といった“実務に根差した設計”が徹底された点が大きな成功要因となっています。

開発の背景:「システムが増えすぎて、逆に非効率」

もともとこの企業では、以下のような分断されたシステムが運用されていました。

  • 買取管理:紙ベース+店舗内ローカルExcel

  • 査定業務:メール+チャット+印刷物

  • 商品登録:EC専用システムと店舗POSが別々

  • 在庫管理:店頭在庫と倉庫在庫が一元管理されていない

  • 売上管理:各チャネルでCSV出力→手動集計

これにより起きていた問題は、

  • 入力ミス、重複、属人化

  • 担当者ごとに処理の仕方が異なる

  • 査定の履歴が残らず、トラブル時の証拠がない

  • ECとの在庫差異が頻発(売れたのに店頭に残っている)

  • 仕入から売却までのコスト管理ができない

これらの課題を統合的に解決するため、「業務システムとしての一元化」が必要となったのです。

システムの主な構成と技術的ポイント

開発にあたっては、以下のような技術的アーキテクチャが採用されました。

  • バックエンド:Laravel(PHP)+MySQL

  • フロントエンド:Vue.js+TailwindCSS

  • インフラ:AWS(ECS/RDS/S3/CloudFront)

  • 外部連携:楽天・Yahooの商品API、LINE連携、Google認証

  • 管理画面:SPA構成でスタッフ操作のUIを高速化

  • 画像管理:S3とCloudFrontによるCDNキャッシュ

特に、査定~商品登録のUIは「スマホでも完結できる」ように設計され、倉庫スタッフが現場で撮影→商品登録→価格設定まで行える構成になっています。

結果として得られた業務改善効果

導入後、以下のような定量的成果が出ています。

  • 商品登録作業が平均15分→5分に短縮

  • 査定対応の平均リードタイムが48時間→12時間へ

  • ECと店舗在庫の差異が95%以上解消

  • スタッフ間の業務属人性がほぼゼロに

  • 店舗間の商品移動管理が自動記録され、棚卸の作業時間を60%削減

また、ダッシュボードで日次の売上・在庫回転率・買取件数などが可視化されたことで、「数値に基づいた判断と仕入戦略」が実現されています。

開発会社選定時に重視した観点

発注企業が特に評価したポイントは以下です。

  • 「業界理解」を踏まえたヒアリング力

  • 要件を粒度高くブレイクダウンする提案力

  • 査定・買取・販売の分離設計(ドメイン分割)の知見

  • EC API連携など“実装しにくい領域”への対応力

  • 運用フェーズを見据えた「設定項目」や「ログ管理」設計の丁寧さ

このような実務への深い理解をベースにした開発パートナーとの協働が、プロジェクト成功の鍵を握っていました。

発注側が意識すべき設計視点とは?

同様のシステムを検討する際には、以下のような視点が重要です。

  • 「査定」「在庫」「販売」「買取」は別のドメインと捉えて整理する

  • 店舗とECの両方に適用するUIをどう設計するか?

  • 商品ステータス(査定中/出品中/売却済/返却など)の状態遷移は整理済か?

  • 業務ごとの担当者権限と操作範囲は分離できているか?

  • 「CSVでの一括操作」は必要か?逆に危険か?

  • EC連携APIはリアルタイムかバッチか?どのくらいの頻度か?

これらの観点を要件定義段階で押さえることで、開発後のトラブルや想定外の費用増を防ぐことができます。

まとめ:リユース業界にも“システム設計の筋肉”が必要だ

本記事で紹介したように、リユース業界においてもシステムの重要性は年々高まっています。特に「アナログな業務×在庫×EC」という複雑な領域では、部分的なツール導入では限界があり、業務全体を一貫して支える業務システムの構築が求められます。

開発会社を選ぶ際は、単に技術力だけでなく、業務構造そのものを理解・設計できる“提案型”のパートナーを選ぶことが、DX推進の成否を大きく左右するでしょう。

お問合せ

不明点やお見積りの依頼などお気軽にください。




問い合わせを行う

関連記事