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開発ユースケース紹介

「社内“引き継ぎミス”をなくすための開発プロジェクト」|属人化を乗り越えた通知・ドキュメント連携の実践事例

システム開発を依頼する際、企業担当者の多くが重視するのは「どんな機能が実装されるか」「コストや納期が適正か」といった表層的な指標です。しかし、実際に運用が始まった後に見えてくる“真の課題”は、業務の属人化や情報の引き継ぎ不足によって発生するミスや混乱です。

今回は、「社内の引き継ぎ漏れによる業務トラブルが頻発していた企業」が、情報共有と通知フローの再設計を含むシステム開発を行い、現場レベルで大きな変化を実現したユースケースをご紹介します。

「ドキュメント整備なんてどの会社もやってるのでは?」と思われるかもしれませんが、本プロジェクトの鍵は、「ドキュメントと通知機能を一体化」させた点にあります。

属人性の排除に苦労している企業担当者にとって、費用対効果の高いシステム開発依頼の参考になる視点をお届けします。

プロジェクトの背景:引き継ぎが口頭、トラブルが日常茶飯事

このプロジェクトの依頼元は、従業員200名規模の建設関連企業。長年Excelやメールを使った運用が続いており、業務のナレッジは属人的に蓄積されていました。

  • 担当者が退職した途端、見積もり方法が誰にもわからなくなる

  • 口頭で引き継いだ内容を後任がメモし忘れ、大規模な発注ミスに発展

  • トラブル対応の記録が共有されておらず、同じ対応ミスが繰り返される

これらの問題に対して、従来の「ドキュメントをしっかり書こう」という方針では限界があると判断され、「“誰に何をどう通知すべきか”まで含めて再設計」するというプロジェクトがスタートしました。

要件定義で注目したのは“タイミング”と“責任者”の明確化

開発初期段階では、単にマニュアルや業務手順書の整備にとどまらず、次のような論点で要件を整理しました。

  • 情報を「いつ」記録すべきか

  • 「誰」が「どの情報」を引き継ぐべきか

  • 情報を共有した「通知」はどのチャネルを使うか

  • 共有の確認をどう可視化するか(既読/未読)

これにより、「情報を整備すること」が目的ではなく、「整備された情報が届いて、確認されている状態を保証する」ことをゴールとする開発設計が採用されました。

実装されたシステムの主要機能

このプロジェクトで開発されたのは、既存の業務ポータルに追加する形での「社内引き継ぎ支援モジュール」です。以下が主な機能です。

1. 担当業務ドキュメントのテンプレート自動生成

  • タスク登録時に「対応手順テンプレート」が自動表示

  • ユーザーは該当箇所を埋めるだけでドキュメント化できる

  • 手順内容はカテゴリごとにカスタマイズ可能

2. 引き継ぎ通知の自動送信(Slack/メール/LINE WORKS)

  • タスクステータスが「完了→引き継ぎ待ち」になった時点で自動通知

  • 通知メッセージにはドキュメントURLが添付される

  • 受信側が確認ボタンを押すと「確認済」ステータスに変化

3. 引き継ぎ進捗のダッシュボード可視化

  • 各チームの引き継ぎ完了率を週次で表示

  • 個人ごとの「引き継ぎ滞留件数」「未確認ドキュメント件数」も一目瞭然

  • 管理者は「リマインド通知」をワンクリックで送信可能

4. 過去の引き継ぎ履歴と差分比較機能

  • 同一業務の過去の引き継ぎ内容を履歴形式で閲覧可能

  • 変更点が自動ハイライトされるため、差分を見逃さない

実装技術とフレームワーク構成

このシステムは以下のような構成で実装されました。

  • フロントエンド:Vue.js(業務ポータルUIと統合)

  • バックエンド:Laravel(ドキュメントAPI・通知制御)

  • 通知連携:Slack API / SendGrid / LINE WORKS SDK

  • インフラ:AWS Fargate+RDS+S3(ドキュメント格納)

  • 認証管理:社内SSO(Azure AD)

導入時には、開発会社側から「通知頻度が多すぎると逆に読まれなくなる」という指摘があり、通知の回数やタイミングはログデータからABテスト的に最適化されました。

効果測定:属人性解消とミス削減の可視化

導入後6ヶ月で実施された効果測定では、以下のような成果が確認されました。

  • タスク単位の引き継ぎミス:導入前月平均7件 → 1件に減少

  • 引き継ぎ対象ドキュメントの作成率:42% → 96%に上昇

  • 引き継ぎ対応完了までの平均所要日数:5.1日 → 1.8日に短縮

さらに、「新人教育の内容が属人化していない」という評価が社内アンケートでも多く挙がり、定着支援ツールとしても高く評価される結果となりました。

成功要因:ドキュメントだけでなく通知と確認を設計したこと

今回のプロジェクト成功のカギは、「ドキュメントを書きましょう」ではなく、「誰に、何を、いつ知らせ、どう確認するか」まで設計した点にあります。

つまり、“整備”だけではなく“共有される状態”をシステムで保証したことで、運用レベルでの属人化を初めて本格的に打破できたのです。

開発会社を選定する際に意識すべきポイント

このような仕組みの開発を依頼する際は、以下のような観点で開発会社を評価することが重要です。

  • ドキュメントと通知が連携する設計経験があるか

  • 業務フロー全体から「抜け漏れポイント」を指摘してくれるか

  • 通知のUX(頻度・文面・チャネル)に配慮できるか

  • 運用設計込みで提案ができるか

単なるシステム開発だけでなく、「運用ストレスの解消」という視点で提案してくれる会社こそ、信頼に値します。

まとめ:「伝えたつもり」ではなく「伝わった設計」が定着の鍵

社内システムや業務アプリ開発において、「情報共有」は永遠の課題です。紙やExcel、メールで回っていたものをデジタル化するだけでは不十分で、共有された情報が届き、確認されている状態をシステムで支えることが必要です。

今回紹介した引き継ぎ支援システムのように、「ドキュメント整備×通知設計」という観点から開発依頼を行えば、属人化・情報漏れ・トラブル再発といった多くの悩みを根本から解決できる可能性が広がります。

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