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開発ユースケース紹介

マニュアル管理をDXする!社内ナレッジ共有システムの開発ユースケースと業務改善インパクト

導入

「いつも同じ質問が飛び交う」「紙の手順書が古いまま放置されている」「あの人しかやり方を知らない」——多くの企業で共通するこれらの課題は、「ナレッジ共有が属人的で非効率」なことが根本原因です。

本来、業務に必要な手順・知識・問い合わせ対応の履歴などは「共有資産」として扱うべきもの。しかし、現実にはExcel、PDF、紙ベースで分散管理され、検索も更新も不便な状態が温存されています。

このような状況を改善するため、ある中堅企業が「社内ナレッジ共有システム(マニュアル+Q&A+履歴管理)」をスクラッチで開発し、大きな効果を上げた事例をご紹介します。特に「既存の仕組みでは限界」「SaaSでは柔軟性が足りない」と感じている企業にとって参考になる内容です。

開発の背景:現場から上がった“共通の悩み”

このプロジェクトが始まった背景には、次のような現場の声がありました。

・複数部門で「同じようなマニュアル」がバラバラに存在し、最新版がどれか分からない
・新人教育のたびに同じ内容を口頭で説明していて非効率
・業務システムの操作方法が更新されてもマニュアルが古いままで混乱する
・「引き継ぎ時に何を伝えればよいか」が属人的で不明瞭
・FAQのような情報が一度限りで使い捨てになってしまう

こうした悩みは、業務効率だけでなく教育コストやミスの増加、業務属人化といったリスクにもつながっていました。

導入されたシステムの概要と機能構成

開発されたシステムは、Webベースのナレッジ共有ツールで、次のような機能を備えています。

・マニュアルのカテゴリ・タグ管理(部署別・業務別)
・文書のバージョン管理機能(変更履歴を保持)
・FAQ投稿・検索(従業員からの質問と回答を資産化)
・閲覧履歴/編集履歴のトラッキング
・未読マニュアルの通知/アサイン機能
・全文検索(キーワード・タグ・カテゴリ横断)
・権限管理(部署単位/個人単位で閲覧・編集を制御)

開発当初は「マニュアル投稿・閲覧機能」に絞っていたものの、運用中のフィードバックにより「Q&Aの可視化」や「参照数の集計」などの機能が順次追加されました。

技術スタックと開発期間

システムは中小企業でも保守しやすい構成で設計されています。

・フロントエンド:Vue.js(SPA構成)
・バックエンド:Laravel(PHPベース)
・DB:MySQL
・インフラ:AWS(EC2/RDS)
・全文検索:Elasticsearch連携(検索精度向上)

開発は3名体制(PM+FE+BE)で進められ、初期リリースまで約4ヶ月、改修含め半年で安定運用に至りました。

導入によって得られた成果と改善効果

システム導入から半年後、以下のような成果が実感されています。

・業務マニュアルの重複が大幅に減り、検索性が向上
・教育担当者の業務が軽減され、育成効率が向上
・更新のたびに通知が届くことで情報の鮮度が保たれる
・投稿履歴が評価対象になることで社内貢献の可視化が促進された
・同じ質問が繰り返されることが激減(Q&A機能の活用)

特に印象的だったのは「引き継ぎ時の不安が減った」「異動しても“知識ベース”があることで安心できた」といった声で、業務の属人化解消に大きな効果を上げています。

市販SaaSではなくスクラッチ開発にした理由

既存のナレッジ管理SaaS(例:Notion、Qiita Team、DocBaseなど)ではなく、自社開発に踏み切った理由は以下の通りです。

・部署単位で「非公開マニュアル」「限定公開Q&A」が必要だった
・マニュアルのフォーマットや構成に自社独自ルールが多かった
・文書管理と社員の教育管理(未読通知など)を連動させたかった
・投稿内容に社内承認フローを組み込みたかった
・アクセスログや検索履歴を活用して改善サイクルを回したかった

これらは汎用ツールでは難しい要求であり、スクラッチ開発によって“自社の運用実態に合った”ツールを手に入れられたことが成功要因のひとつでした。

見積もり・発注時に検討すべき観点

この種のシステムを開発会社に依頼する場合、以下のポイントを明確にしておくと、スムーズな進行と費用感の把握に役立ちます。

・投稿するナレッジの種類(マニュアル、FAQ、手順書、事例など)
・文書構成のテンプレート要件(画像、表、動画、添付ファイルなど)
・検索要件(全文検索/タグ検索/高度なフィルター)
・文書の公開・非公開ルール(誰にどこまで見せるか)
・編集フローの制御(承認制か、自由編集か)
・更新通知や未読管理の有無
・外部システム連携(AD認証、Slack連携、社内ポータルとの統合など)

こうした項目を整理しておくことで、開発会社側との要件定義が明確になり、想定外の工数増やミスマッチを防ぐことができます。

まとめ:ナレッジの共有は“情報資産の最大化”でありDXの起点

マニュアルやFAQといったナレッジは、単に“過去の記録”ではなく、日々の業務を支え、改善につながる「企業の資産」です。共有が属人化している状態は、情報のロス・非効率・教育コスト増加といった見えない損失を生み出し続けています。

ナレッジ共有システムは、こうした課題を根本から解決するツールであり、特に中小企業や成長フェーズの組織においては「人に依存しない運営体制」構築の第一歩となるはずです。

スクラッチ開発による柔軟な対応で、既存のSaaSではカバーしきれない自社課題を解決する取り組みは、今後さらに広がっていくと考えられます。

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