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開発ユースケース紹介

建設現場向けIoT統合管理システム導入事例

背景とプロジェクト発足の経緯

日本全国で土木・建設プロジェクトを手がける架空企業「ナゴミ建設株式会社」は、現場ごとに異なる機器管理や作業進捗の把握に膨大な工数を費やしていました。従来はエクセル管理や紙ベースの報告書を用い、現場責任者や工事会社への「発注」「予算」「費用」情報も個別にメール送付する運用です。これにより、リアルタイム性がなく、複数現場間でのリソース再配分や予算超過の早期発見が困難でした。

事業責任者のAさんは、業務効率化とコスト削減を目的に、IoT機器とクラウドを組み合わせた統合管理システムの導入を決断。その際、「システム選び」「開発会社選び」のポイントとして以下を重視しました。

  • 既存機器との連携可否:IoTセンサーは各社製品が混在するため、統一的に情報収集できるか

  • スケーラビリティ:全国の現場に拡張する際の「費用」増加を抑えられるか

  • ユーザーインタフェース:現場の作業員でも直感的に操作できるか

これらを満たすパートナー探しのために、社内SEやCTOとの協議を重ね、開発会社候補を5社に絞り込みました。その後、RFPを発行し、提案内容や相場感を比較したうえで、最終的に「コスト試算の精度」「IoTプラットフォームの拡張性」「過去導入実績」を高く評価したシステムベンダーB社を選定しました。

開発会社選定プロセスと交渉ポイント

B社との最初の打ち合わせでは、ナゴミ建設が保有する各種IoTセンサーや工事進捗アプリの仕様を詳細にヒアリング。特に予算感を合わせるため、以下の項目で見積もりと交渉を進めました。

  1. 初期開発費用

    • システム要件定義、プロトタイプ開発から本開発までをフェーズ分割し、各フェーズごとに発注可能な「費用モデル」を採用

  2. 月額利用料金

    • クラウド基盤の稼働台数とデータ転送量の見込みをベースに、スモールスタートから段階的に拡大する「従量課金型」プランを提案

  3. 保守・サポート費用

    • 24時間365日のアラート監視体制をオプション契約とし、現場の緊急対応コスト増を抑制

  4. 追加機能開発の単価

    • 現場からの要望が後日発生した際に、見積プロセスを簡略化する「時間単価契約」を締結

交渉の結果、初期フェーズは500万円、月額利用は20万円(データ転送量1TBまで)と、業界相場の約15%削減を実現。RFP発行時に想定した「予算」「相場」を大幅に上回るコストパフォーマンスとなりました。

開発フェーズ:要件定義からプロトタイプへ

ナゴミ建設のIoT統合管理システム開発は、要件定義フェーズから徹底した現場ヒアリングを行ったことが成功の鍵でした。まず、現場責任者や工事会社担当者とワークショップを開催し、以下のポイントを議論しました。

  • データ取得頻度:1秒間隔の取得が必要な機器と、1分間隔で十分な機器を分け、システム負荷を最小化

  • アラート条件:温度・振動・稼働時間など、現場リスクに直結する閾値を決定

  • ユーザーロール設計:現場作業員、責任者、管理部門それぞれに最適化した画面権限を定義

  • 多言語対応:外国人作業員が増えているため、英語・中国語UIの併記を検討

これに基づき、2週間のスプリントでプロトタイプを作成。AWS IoT Coreと連携し、シミュレーションデータを用いてデータフローとダッシュボード画面を早期に共有しました。社内SEやCTOからのフィードバックで発見されたUI/UX改善点はすぐに反映し、要件定義から4週間で最終要件を固めることができました。

続いて、細かな「発注」管理に備え、フェーズ毎に明確な成果物と承認フローを設計。これにより、追加要件や仕様変更時の追加「費用」発生を最小限に抑え、開発フェーズ間での認識齟齬を防止しました。

本番導入と運用フェーズ

プロトタイプで実証した要件をもとに、本番環境構築を開始。ナゴミ建設の複数現場にわたるスモールスタートとして、まず5現場で稼働させ、以降フェーズを拡大する計画でした。運用フェーズで重視した点は以下のとおりです。

  • 段階的リリース:5現場ずつ順次導入し、障害発生時の影響範囲を限定

  • トレーニング計画:現場作業員向けのオンライン/オフライン研修を併用し、操作ミスによるアラート誤発報を削減

  • オンサイトサポート:リリース初月はB社の技術者を週1回派遣し、現地でリアルタイムに対応

  • KPIモニタリング:システム稼働率、アラート検知率、現場作業効率向上率をダッシュボードで可視化

運用開始後3ヶ月で、現場報告書作成にかかる工数が平均60%削減され、作業員の移動時間も全体で30%短縮されました。また、予算オーバーの兆候を早期に発見・調整できたことで、当初想定の年間「予算」内で収めることができました。

成果と定量的効果

導入から半年後、ナゴミ建設が得た定量的な効果は以下のとおりです。

  1. 作業効率:現場報告作成工数60%削減、週当たり50時間の余剰時間を創出

  2. コスト削減:紙・エクセル管理コスト、交通費、人件費含めて年間約1,200万円の削減

  3. 品質向上:アラート検知漏れゼロを達成し、安全リスク低減による損害保険料10%減

  4. 拡張性:IoT機器追加時の初期設定工数を従来の5分の1に短縮

これらの成果は、プロジェクトチームと開発会社B社が綿密に連携し、「開発会社選び」「予算管理」「相場把握」を徹底した結果です。特に、月額利用料金の従量課金型プランを選択したことで、スモールスタートから大規模展開まで無理なくステージを拡大できました。

教訓と次期展開に向けたポイント

今回のユースケースから導き出された教訓と、今後ナゴミ建設が取り組むべきポイントは以下のとおりです。

  • 現場との密なコミュニケーション:初期要件定義の精度が後工程の「費用」抑制に直結するため、定例ワークショップは継続必須

  • フェーズ分割の徹底:大規模現場一括導入はリスクが高く、スモールスタート→拡張の手順がコスト見通しを安定させる

  • ナレッジベースの充実:フェーズ毎に得られたノウハウを社内Wikiに蓄積し、次期開発・発注時に標準化されたテンプレートを利用

  • リアルタイムコスト可視化:導入後も継続的にダッシュボード改善を行い、異常コスト増を即時把握

  • ベンダー評価の定期見直し:B社との成功体験をもとに、他社製品との比較検証やベンチマークテストを定期的に実施

これらを踏まえ、次期展開では土木現場以外の建築現場やプラント設備にも同様のシステムを展開予定です。事業責任者と技術リーダーが得た知見を活用し、さらなるROI向上を目指します。

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