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建設現場DX事例:写真管理アプリ導入で工数66%削減!

事例紹介:建設現場の写真管理アプリを導入したF社の挑戦

F社は全国に20の工事現場を持つ中堅建設会社です。これまで現場写真の管理には紙の台帳とデジカメによる撮影・手入力で日報を作成しており、写真の紛失やメタデータ(撮影日時・位置情報)の欠落が頻発していました。経営企画のDさん(40代)は、「システム 開発会社 選び方」「予算」感がわからないまま、現場DXの第一歩としてスマホベースの写真管理アプリ開発を決意。

  • 主要要件:オフライン撮影対応、GPS埋め込み、クラウド同期

  • 目的:報告業務工数30%削減、写真検索時間を99%短縮

  • 制約:初期予算400万円以内、リリースまで5カ月
    Dさんはまず、自社の現場業務フローを洗い出し、どこに無駄が生じているかを可視化。これが後の「発注」要件定義の骨格となりました。

課題認識とゴール設定

実際に現場で使われていたExcel台帳には、

  • 写真がフォルダ名に依存し紐付けられ、複数現場で同一ファイル名が競合

  • 撮影日時はファイル作成日時に頼っており、手動で修正が必要

  • オフライン環境下で撮影した写真が同期漏れを起こす
    といった課題が山積していました。そこでDさんは以下のゴールを掲げました。

  1. 現場でスマホ撮影→即クラウド反映できる同期機能

  2. 撮影データに自動で位置情報とタイムスタンプを埋め込む

  3. 写真リストを工事番号や担当者別に即検索可能に
    これらを実現することで、日報作成にかかる時間を現在の平均60分から20分へ短縮し、報告漏れによるトラブルも撲滅することを目指しました。

開発会社選定と評価基準

Dさんはまず、Web検索と同業他社からの紹介で6社をピックアップし、以下の4つの評価軸でスコアリングしました。

  • 業界実績:建設業向け業務システム開発経験の有無

  • 技術力:React NativeやFlutterなどクロスプラットフォームの知見

  • コミュニケーション:要件すり合わせの品質と報告頻度

  • コスト透明性:工数×単価の明示と追加発注ルールの定義
    これらをExcelで可視化し、上位3社に詳細ヒアリングを実施。結果、モバイルオフライン処理に強みを持つC社を選定しました。

予算策定と交渉のポイント

C社から出された見積もりは総額480万円でしたが、Dさんは社内稟議を通しやすくするため以下の交渉を行いました。

  1. フェーズ分割:要件定義+モックアップ 100万円、開発 300万円、保守予備 80万円

  2. オフショア活用:簡易実装工数20%をオフショア拠点へ委託

  3. 価値ベース提示:初期3カ月でのROI(工数削減見込み)を経営層に定量報告

  4. リスク予備:追加要件に備えたリザーブ予算を上限15%に設定
    これらの交渉により、総額を400万円ちょうどに調整しつつ、予備費を確保。経営層の了承を得て正式に「発注」を行いました。

キックオフと体制構築

開発開始に先立ち、DさんはF社側の体制とC社の開発体制を統合するキックオフを実施しました。

  • F社側:Dさん(PM)、現場監督2名、ITサポート1名

  • C社側:プロジェクトマネージャー、モバイルエンジニア、バックエンドエンジニア

  • コミュニケーション:Slack専用チャンネル、週次定例MTG、月次レビューで進捗・障害共有

  • 役割分担:「要件定義」「設計」「開発」「テスト」「リリース」「保守」をWBS化
    初動でルールを徹底したことで、情報共有の抜け漏れを防ぎ、スムーズな開発開始につながりました。

要件定義フェーズでの現場とのすり合わせ

要件定義では、C社のエンジニアとF社現場監督が対面でワークショップを実施しました。紙台帳の運用手順を画面モックで再現しながら、以下を確認。

  • オフラインモード時の撮影フローとクラウド同期のタイミング

  • 写真に付与する工事番号や担当者情報の優先入力方式

  • エラー時のリトライ方法やログ保存先の仕様
    この対話型ワークショップにより、開発初期段階での「発注」要件漏れを防ぎ、後工程での追加工数リスクを大幅に削減できました。

開発中に発生したオフライン同期問題と解決策

開発中盤、オフライン時に撮影した写真が同期後重複登録される不具合が発生。原因は端末キャッシュの同期フラグ管理不備でした。

  1. 撮影時にUUIDを発行し、クラウド保存時に重複チェック

  2. ローカルDB(SQLite)に同期ステータスカラムを追加

  3. 再同期時のトランザクション処理で一貫性を担保
    これらの改修により、同期重複件数はゼロに。現場からの「手作業で後処理していた」工数を完全に排除しました。

テスト・検収フェーズのポイント

テストでは、単体テストと結合テストだけでなく、実際の現場環境を想定したユーザー受入テスト(UAT)を重視しました。

  • シナリオテスト:電波状況が不安定な山間部を想定したWi-Fi vs 4Gテスト

  • ストレステスト:短時間に大量撮影してもアプリが応答を返し続けるか検証

  • エッジケース:GPS取得失敗時のフォールバック挙動を確認
    UATでのフィードバックを即スプリントに反映し、品質を底上げ。納品前のバグ発生率を80%削減できました。

UI/UX改善と現場教育

F社のドライバー向けに、操作性を高めるUI改善を実施。特に、撮影ボタンの大きさや同期ステータス表示を工夫し、誤操作を防止しました。また、リリース前に現場で2回のハンズオントレーニングを行い、アプリの操作とトラブルシューティングを実践形式で共有。

本番リリースと初期トラブル対応

リリース当日にはリリースウィンドウを設定し、データベースのバックアップとロールバック手順を文書化。リリース後には即時のモニタリングを行い、わずかな同期遅延を即日パッチで解消しました。緊急ホットフィックス体制を組んだため、トラブル対応工数は予定の半分で完了し、サービス停止時間は10分未満に抑えられました。

運用保守体制の構築とSLA

納品後、C社との保守契約を月額保守パッケージ(上限20時間/月)で締結。

  • SLA:平日9時~17時の対応、2時間以内に初動報告

  • 定例レポート:月次で同期成功率やエラー件数を可視化

  • 定期メンテ:四半期ごとにライブラリやOSバージョンアップ検証
    この体制をあらかじめ「費用 相場」に盛り込むことで、追加費用請求なしで継続的な安定運用を実現しました。

導入後効果の見える化とKPI改善成果

導入から3か月後、F社では以下の改善が確認できました。

  • 写真紛失件数:月10件→0件

  • 日報作成工数:60分→20分(66%削減)

  • 現場訪問時の報告遅延:月5件→1件

  • ドライバー満足度:アンケートで平均4.5点(5点満点)
    これらKPIを経営層に定量報告し、次年度予算に追加機能(AIによる写真自動タグ付け)の開発費を確保できたことが大きな成果です。

プロジェクトを通じて得た教訓と次の展望

本プロジェクトから得た主な教訓は以下の通りです。

  • 要件定義は現場巻き込みで具体化:モックアップで認識齟齬を徹底排除

  • フェーズ分割+リスク予備費の明示:稟議承認時の不安を解消

  • 現地UATとハンズオン教育の効果:導入初期のサポート工数を削減

  • 運用SLAの事前策定:保守発注後のトラブルコストを抑制
    次のステップとして、AI画像分析による自動品質チェック機能をPoCフェーズで検証し、全社展開を目指します。不安な場合は

    で費用感を早めに把握し、段階的に進めることをおすすめします。

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