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社内メンターマッチングアプリの開発ユースケース|スキル継承と離職防止を支援するシステム設計とは

近年、企業の人材戦略において注目されているのが「社内メンター制度」の仕組み化です。

人手不足、早期離職、スキルギャップといった課題に対し、経験者と若手社員をつなげるメンタリングは効果的な手段とされますが、その運用は属人的になりがちです。

そこで導入が進みつつあるのが、社内メンターマッチングアプリ。社員情報をベースに自動的にマッチングし、進捗管理や評価フィードバックまで一元化できるこの仕組みは、企業の定着率改善・育成効率化に大きく寄与します。

本記事では、このアプリの構成や実装上のポイント、導入効果を具体的に解説します。

よくある課題:メンター制度が属人化・形骸化してしまう

メンター制度を紙やExcelベースで運用している企業では、次のような課題が生じがちです。

  • 配属後、メンター・メンティーがうまく決まらず、放置状態になる
  • 担当者の主観でマッチングが決まり、不公平感やミスマッチが発生
  • 進捗状況が見えず、人事・管理職が支援タイミングを逃す
  • 面談記録や評価が残らず、制度改善の根拠が得られない

これらの課題に対応するためには、**「可視化」「自動化」「蓄積」**の3要素が必要となり、それを実現する手段として、社内向けアプリの導入が有効です。

社内メンターマッチングアプリの構成と主な機能

この種のシステムは、ユーザー管理・マッチング・コミュニケーション・フィードバック収集といった機能を持つ総合型の社内ツールです。

主な構成要素

  1. ユーザー管理基盤
  • 社員情報(所属、スキル、性格診断結果など)をDB化
  • LDAPやSSOと連携した認証制御も可能
  1. マッチングロジック
  • 希望職種、強み、性格傾向、キャリア志向などを元に自動マッチング
  • 手動で調整できる柔軟性も確保
  1. スケジューラー連携
  • Google WorkspaceやOutlookと連携し、面談日程を簡単に調整
  1. フィードバック記録
  • 面談ごとの振り返りや簡易評価を記録
  • 人事が横断的に参照可能
  1. 通知・リマインド機能
  • 面談前日通知や月次の進捗フォロー通知を自動送信
  1. 分析ダッシュボード
  • 面談実施率、満足度スコア、継続率などの可視化

ユースケース事例と導入効果

新卒育成支援の効率化(大手IT企業)

  • 毎年数百名単位で配属される新卒社員のケアに活用
  • スキルや志向に応じてメンターを提案、属人性を排除
  • 面談履歴と定着率を紐づけ、制度改善に活用

中堅層のスキルアップ支援(製造業)

  • 技術継承が課題となる中堅人材向けにマッチング運用
  • 担当製品や工程の親和性をもとに組み合わせ
  • 若手からのフィードバックを技術資料として再活用

離職率の可視化と予兆検知(サービス業)

  • 月次の面談報告から「相談件数の減少」「ネガティブ発言の増加」などを検知
  • 離職予兆として早期に人事介入
  • 定量データによる説得力ある経営レポート作成も可能に

実装上の技術的論点と検討ポイント

スキル/性格データの収集方法

  • 自己申告だけでなく、360度評価やパルスサーベイとの連携を検討
  • 既存の人事DBと統合する場合は項目マッピングが重要

プライバシー配慮と表示制御

  • 面談内容や相性情報は関係者以外が見られないようロール設計を明確に
  • ログインユーザーごとの表示制御とアクセスログの保存が求められる

面談スケジューラーとの連携

  • 外部カレンダーとの双方向連携はOAuthベースで設計
  • 社内標準が複数ある場合、ユーザーごとの設定も考慮する必要あり

モチベーションを下げないUI設計

  • 自己評価やコメント入力が負担に感じないUX設計が重要
  • 「今日の気分」などライトな入力UIとの併用が有効

開発依頼時に確認すべき仕様観点

  • マッチング対象とする社員範囲(全社・一部組織)
  • スキルや志向の分類軸と収集方法(タグ形式、質問回答形式など)
  • スケジューラーや認証との連携の有無
  • 面談記録の保存期間と管理者のアクセス範囲
  • メンタリング以外の用途(1on1、キャリア面談など)への汎用性の検討

まとめ:メンタリングを「仕組み」で支える時代へ

人材育成は、もはや担当者個人の工夫に任せるだけでは持続しません。

メンターマッチングアプリの導入は、属人的になりがちな制度をデータドリブンに転換し、「誰と誰をつなぐべきか」「どこで支援が必要か」を可視化する強力な支援ツールとなります。

定着率や育成効果といった定量成果につながる設計ができれば、経営層への説得力も増し、導入の後押しにもなります。

発注担当者としては、単なる「マッチング機能がほしい」ではなく、「組織の何を変えたいのか」「どんなデータを活用したいのか」から仕様を整理して開発に臨むことが、成功の鍵となります。

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