設備修繕依頼アプリの開発ユースケース|現場からの報告をデジタル化する業務改善の実例

工場や施設、店舗などで起きる「設備の故障」や「不具合報告」は、紙のメモや口頭、メールなどアナログな手段に頼っている企業も多いのが現状です。
こうした情報がうまく管理されていないと、修理漏れや対応遅延、二重対応といったトラブルが発生し、業務効率にも悪影響を与えます。
本記事では、実際に開発された「設備修繕依頼アプリ」のユースケースを通じて、どのような業務課題を解決できたのか、どのような機能設計が効果的だったのかを解説します。
受託開発を検討する際の参考としてもご活用ください。
どんな業種・現場で活用されたか?
今回のユースケースは、複数の飲食店舗を展開する企業によるものでした。各店舗での冷蔵庫や厨房設備、空調機器の故障・不調が発生した際に、本部へ修繕を依頼するフローを効率化することが目的です。
対象ユーザー:各店舗の店長・スタッフ、本部の施設管理担当者
導入前の課題:
- 店舗からの報告が電話・LINE・メールなどバラバラ
- 写真が添付されておらず、状況が伝わらない
- 本部がExcelで対応履歴を管理しており、検索・集計が困難
実装された主な機能と工夫点
1. 修繕依頼の投稿フォーム(スマホ対応)
- 故障カテゴリ・優先度の選択
- 故障内容のテキスト入力
- 写真アップロード(最大5枚まで)
- 店舗情報はログイン情報と連動し自動入力
※スマートフォンに最適化されたUIで、現場のスタッフでも直感的に入力可能にしました。
2. 通知・ステータス管理機能
- 投稿時に本部にメールとアプリ内通知を同時送信
- ステータスを「受付済み」「対応中」「完了」で管理
- ステータス変更時に依頼者へ自動通知
※通知機能により、進捗確認のための問い合わせが大幅に減少しました。
3. 管理画面による履歴確認・フィルタ検索
- 対応ステータスや店舗別にフィルタ可能
- 修繕の依頼件数や対応期間の集計機能を実装
※施設管理部門では、予算管理や修繕傾向の把握にも活用されています。
4. 外部業者との連携機能
- 一部の修繕案件を外部の専門業者に転送可能
- 担当業者がモバイルブラウザ上で対応状況を更新可能な簡易ページを用意
技術的な選定ポイント
- クラウドサービス環境での構築により、全国の店舗からのアクセスを想定
- バックエンドにはLaravel(PHP)、フロントにはVue.jsを採用
- 写真ファイルのバリデーション(サイズ・拡張子)をサーバー側で厳格に制御
- データベース設計では、設備カテゴリや優先度などをマスタ管理
導入後の成果と効果
- 修繕依頼の「対応漏れ」がゼロに
- 月次の修繕件数とコストを数クリックで把握可能に
- 外部業者との連携もスムーズになり、手配時間を約40%短縮
現場スタッフからも「入力しやすい」「写真で伝わる」と好評で、他業務への応用も検討されています。
類似業務への展開可能性
このような仕組みは、以下のような業務にも展開が可能です:
- 建物管理会社における修繕・点検業務
- 工場内の設備点検・異常報告
- 医療・介護施設の備品破損報告
- 学校や行政機関での施設トラブルの受付管理
特に、写真を含めた現場報告→本部承認→外部手配という流れは、業種問わず多くの現場で必要とされています。
まとめ:現場の声を反映したアプリ開発が業務効率を左右する
本ユースケースでは、単なるフォームの電子化ではなく、「誰が」「何を」「どう操作するか」にまで踏み込んだUI/UX設計が成功の鍵となりました。
設備修繕という地味ながらも日常的な業務に着目し、それを仕組みで見える化・効率化したことで、組織全体のコストと品質の管理が飛躍的に改善されました。
これから開発依頼を検討する企業の方も、類似の業務課題がないかを見直し、自社専用のアプリ開発による業務改善を検討してみてはいかがでしょうか。