1. HOME
  2. ブログ
  3. アプリ・システム開発の基礎知識
  4. ローコード/ノーコード時代の発注基礎講座:企画〜保守まで総点検
BLOG

ブログ

アプリ・システム開発の基礎知識

ローコード/ノーコード時代の発注基礎講座:企画〜保守まで総点検

ローコード・ノーコードとは何か?基礎概念

ローコード開発は「80%をコンポーネントで組み立て、残り20%を独自コードで補う」開発手法です。ドラッグ&ドロップ UI‧自動生成 API‧テンプレート DB スキーマを備えた PaaS を利用するため、従来のスクラッチ開発より圧倒的に工数を削減できます。一方、ノーコードは“完全テンプレート”志向でコーディング不要が前提です。エンタープライズ業務システムでは カスタマイズ自由度=競争優位性 となるため、ローコードをベースに必要最小限のコード追加を行うハイブリッド型が主流です。外部 SaaS と REST/GraphQL 連携し、SaaS 間のデータ同期や ID 連携をボタン操作で構成できる点が最大の特徴です。

なぜ今ローコードを採用すべきか:ビジネスメリットと制約

DX 推進部門が自社内の業務システムを高速で迭代するには、要件確定前の試行錯誤を許容するプラットフォームが必要です。ローコードは「仕様変更=UI 拖曳修正」で完結するためプロトタイプを数時間で提示でき、業務担当者のフィードバックを即時反映できます。さらに開発会社側は 保守契約で毎月の改善サイクルを請負 しやすく、継続的な収益構造を構築できます。ただし、

開発フローの違い:従来開発 vs ローコード

ウォーターフォール型は要件凍結後に設計→実装→テストへ進みますが、ローコードプロジェクトでは “プロトタイプ=要件定義” として扱います。設計書よりもプラットフォーム上の画面・ロジック定義を一次成果物にするため、

  1. ペーパーモック→クリックダミーを即日共有

  2. スプリントレビューで業務担当が直接 UI を操作

  3. “見たものが完成物” という認識を全関係者で共有
    というサイクルが回ります。QA はユニットテストよりも 統合試験+ユーザー受入れテスト(UAT) を重視し、外部システムとの契約テストで回帰を自動化します。

システム開発会社選びの新基準:ローコード実績と費用相場

従来の評価軸(言語・FW スキル、人月単価)に加え、

  • プラットフォーム認定資格の保有人数

  • AppExchange/Marketplace 公開アプリ数

  • テンプレート再利用比率とライセンス割引率

  • TCO 試算シート提示の有無
    を確認してください。費用相場はスクラッチ比 40〜60%が目安ですが、ライセンス料込みかを必ず確認します。特に ユーザー数課金 のプランでは将来的な拡張時に予算を圧迫しやすいため、予備費を 15%程度確保すると安全です。

予算策定のステップ:TCO と費用対効果の可視化

  1. 初期ライセンス費:開発環境+本番環境

  2. 開発会社の実装費:ストーリーポイント換算

  3. 運用ライセンス/年:ユーザー追加シナリオ3パターンで試算

  4. 改善スプリント費(月次):Velocity×人月単価×12 か月

  5. ROI:削減工数・売上増の定量効果を3年累計で算定

TCO 試算を早期に開示すれば、経営層と同じ物差しで投資判断できます。

見積もり依頼書 (RFP) に盛り込むべき7項目

  1. プラットフォーム名とバージョン

  2. サンドボックス環境提供有無

  3. SLA:UI レスポンス 3 秒以内 95% など

  4. データ移行手順と追加費用

  5. テンプレート再利用率

  6. オフショア/ニアショア活用の範囲

  7. 変動費(ライセンス・API コール課金) の上限シミュレーション
    この7項目が欠けると追加見積もりが発生し、予定予算を越える要因になります。

発注プロセスと契約形態:請負か準委任か

ローコード案件では要件変更が前提になるため、準委任契約+成果物検収書 を組み合わせるケースが多いです。マスターサービス契約(MSA)で基礎単価を定め、施行スプリントごとに作業注文書を発行する方式を採用すると、追加開発時の社内稟議が簡略化されます。

プロジェクト管理とガバナンス:IT 部門と業務部門の協働

IT ガバナンスを維持するには、

保守運用フェーズで見落としがちなポイント

  • ライセンス更新月の為替変動リスク

  • Marketplace コンポーネントのサポート切れ

  • ローコードプラットフォームの UI 仕様変更による研修コスト
    といった運用 OPEX をキャッシュフロー計画に含めることが重要です。月次振り返りで KPI 未達が続く機能はスクラッチ化を検討し、パフォーマンスを最適化します。

失敗しないためのチェックリストとまとめ

  • KPI は「秒・%」で数値化したか

  • ライセンス体系を3年後まで試算したか

  • RFP に7項目を明記したか

  • ガバナンス体制と CI/CD を構築したか

  • 保守 OPEX と為替リスクを盛り込んだか

上記を押さえれば、ローコード/ノーコード導入でも 予算超過ゼロ・ROI 最速化 を実現できます。開発会社と長期パートナーシップを築き、アジャイル改善を継続しましょう。

お問合せ

不明点やお見積りの依頼などお気軽にください。




問い合わせを行う

関連記事