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次世代GraphQLフレームワーク徹底比較 – Apollo Federation、Hasura、tRPCの選び方と費用感

はじめに

近年、API設計におけるGraphQLの人気が急上昇し、様々なフレームワークが登場しています。GraphQL自体はクエリ言語の仕様ですが、実装にはフレームワークやライブラリが欠かせません。本記事では、スタートアップから大規模システムまで対応可能な次世代GraphQLフレームワークとして、Apollo Federation、Hasura、そしてtRPCを取り上げ、以下のポイントから技術的特徴と費用相場感を解説します。

  • アーキテクチャの違い

  • 開発スピードへの影響

  • 保守・拡張性

  • 予算や発注の際に注意すべきポイント
    これからシステム開発を検討する開発会社選びや、予算計画に役立つ知見をぜひご活用ください。

アーキテクチャ比較:Apollo Federationの設計思想

Apollo Federationは、マイクロサービスアーキテクチャに対応したGraphQLゲートウェイの実装として注目されています。複数のサブグラフ(GraphQLモジュール)をひとつの連合スキーマにまとめることで、サービスごとに独立したチームが開発を進めつつ、統一的なAPIを提供できます。

  • 各サブグラフは担当チームが自由にSchemaを設計

  • Gateway層でEntitiesを結合し、データの一貫性を確保

  • Apollo StudioによるSchema管理・変更履歴の可視化
    このアプローチは、選び方の観点で「複数プロジェクトをまたがる大型システム」に最適です。ただし、Federation導入にはGatewayサーバーの運用コストや、サブグラフごとのテスト整備が必要となり、一般的な費用相場は初期構築で数百万円~、ランニングコストも月額数万円からと高めに見積もるべきでしょう。

フルマネージド型Hasuraでスピード重視の選択肢

HasuraはPostgreSQLを背後に持つフルマネージドのGraphQLエンジンで、書くだけでCRUD操作が即座にGraphQL APIになります。サーバレスにも近い感覚で開発が進められるため、初期予算を抑えながらMVP開発やPoCに適しています。

  • DBスキーマ変更=即時GraphQLスキーマ変更

  • 権限管理やWebhook連携がGUIで設定可能

  • 無料プランから利用でき、小・中規模ではコスト相場が低い
    ただし、複雑なビジネスロジックやトランザクションを多用するシステムでは、Hasura単体では限界があり、Lambdaやサーバーレス関数による補完開発が必要になります。開発会社へ発注する際は「Hasura×サーバーレスの組み合わせで50万円以下」という目安を伝えると見積もり精度が上がります。

tRPC:TypeScriptネイティブなエンドツーエンド型

tRPCはTypeScriptの型をフロントからバックエンドまでエンドツーエンドで共有できるRPCライブラリです。RESTやGraphQLとは異なるアプローチですが、型安全とシンプルな開発体験で急速に支持を集めています。

  • フロントエンドとバックエンドで同じ型定義を利用

  • ルーティングとバリデーションを一元化

  • GraphQLのスキーマ生成/解釈コストなし
    特にNext.jsやReactのプロジェクトで導入すると、開発スピード品質を両立できます。一方で、既存のGraphQL環境への移行は大きなコストがかかるため、新規プロジェクト向けの選択肢です。システム全体をtRPCに切り替える場合、開発会社の発注見積もりとして概ね100万円~200万円程度の相場が目安となります。

総比較:技術選択が与える費用・予算への影響

上記3つのフレームワークは、それぞれ得意分野とコスト構造が異なります。開発初期段階での選び方は、以下のような軸で検討するとスムーズです。

  1. チーム構成とスキルセット:TypeScriptエンジニア中心ならtRPC、DB重視ならHasura、マイクロサービスならApollo Federation

  2. 開発スピード重視 vs 保守性重視:PoCやMVPではHasura、長期運用ではFederation

  3. 予算と費用相場:Hasuraで初期費用を抑え、トランザクション多用ならFederationでコスト配分

特に予算を抑えつつ短期間でシステムを立ち上げたい場合、Hasuraを中心にtRPCを組み合わせるハイブリッド構成も検討に値します。
次章では、導入プロジェクト別の具体的なユースケースを詳述します。

導入事例1:スタートアップX社のMVP開発

スタートアップX社は、飲食店向け予約管理アプリのMVP(Minimum Viable Product)開発を急ぐため、サーバーレスを前提としたスモールチーム体制でプロジェクトを発足しました。予算は限られており、費用を最小限に抑えつつ素早くプロトタイプを完成させる必要がありました。

  • 技術選定:バックエンドはHasuraのフルマネージドプランを利用し、DBスキーマ定義後すぐにGraphQL APIを利用可能に。フロントはNext.js+tRPCで型安全なUI連携を実現。

  • メリット:開発開始2日目には基本的なCRUD画面が完成し、5日間で予約・確認・キャンセル機能を含むMVPを社内検証に投入。

  • 予算目安:Hasura無料枠+tRPC自前サーバレス環境で、外部のクラウド費用は月額5千円未満。開発要員3人の人件費を含めても、おおよそ100万円以内で収まりました。

  • 発注ポイント:外部の開発会社に依頼する場合、「HasuraとtRPC組み合わせで約70万円」に収まるよう見積もりを依頼し、オーバースペックなGraphQL設計を避けると良いでしょう。

導入事例2:大手ECサイトのマイクロサービス構築

大手EC企業Y社では、既存のモノリシックREST APIからGraphQLマイクロサービスへのリプレイスを計画しました。分業チームが独立して開発し、段階的に切り替えたいという要件があったため、Apollo Federationが最適解となりました。

  • 構成概要:商品情報、在庫管理、注文履歴をそれぞれサブグラフとして構築。Gateway層でFederationを実装し、単一のGraphQLエンドポイントを公開。

  • 開発会社選び:Node.js環境でApolloを得意とするベンダーを選び方の基準に。Schema設計やサブグラフ間のリゾルバ調整に強い会社を比較検討。

  • コスト相場:初期構築で450万円前後、月額の運用費(クラウド課金+契約DB管理費用)で約20万円。ドキュメント管理やCI/CD構築を含めると、500万円超の見積りが一般的です。

  • 学び:Federation導入時にはスキーマのオーケストレーションとガバナンスが鍵。Schema変更フローを整備しないと、各サービスが競合して追加費用を招く可能性が高まります。

導入事例3:中堅企業Z社の社内業務システム再構築

社内向け勤怠管理システムを刷新したいZ社では、オンプレミスDB+従来のSOAP APIからのモダナイズを検討。新システムではクラウドとレガシー資産の両立が課題でした。

  • 技術スタック:Hasuraを社内プライベートネットワークにデプロイし、既存Oracle DBと接続。tRPCを一部のフロントモジュールで採用し、細かいビジネスロジックはLambda関数+Apollo Gatewayで補完。

  • 利点

    1. Hasuraで迅速に標準CRUD APIを生成

    2. tRPCで社内ツールのUI開発を高速化

    3. Apollo FederationでレガシーSOAPをGraphQL化

  • 予算・費用:システム全体で約300万円の開発費。保守契約を含めても月額15万円程度の相場で運用可能となり、従来の年間数百万円かかっていたメンテ費用を大幅に削減。

  • ポイント発注時は「プライベートHasura環境+tRPC一部組み込み」の構成を明示し、無駄なApolloサブグラフ開発を除外して見積もりをクリアにすることが重要です。

導入事例4:グローバルSaaS製品の多言語対応

SaaS型人事評価システムをグローバル展開するW社では、多言語・マルチテナント対応が必須条件でした。

  • 採用技術

    • Apollo Federationで各国別サブグラフを提供

    • Hasuraで共通マスター情報を管理

    • tRPCで社内管理画面のリアルタイムプレビューを実現

  • 運用コスト:マルチクラウドを採用し、各リージョンにGatewayレイヤーを配置。初期開発400万円、年間運用200万円の予算規模で稼働中。

  • 成果

    • デプロイとスキーマ更新が自動化され、ダウンタイムゼロで言語追加可能

    • 拡張要件にも柔軟に対応でき、顧客へのシステム提案時に「短期間で機能追加可能」という強みを獲得

導入事例5:社内DX推進プロジェクト

金融業界大手P社では、レガシーシステム群のデータ連携をDXとして推進。基幹系データをGraphQL化し、BIツールやモバイルアプリから一元アクセス可能にするプロジェクトです。

  • 構成:Apollo Federationをコアに、既存SOAPやRESTをGraphQLサブグラフに包みこむ。HasuraをBI用キャッシュレイヤーとして配置。

  • コスト試算:PoC段階で100万円、正式導入時に+300万円程度。年間運用は50万円前後。発注先は金融業向け監査対応実績のある開発会社を選定し、ドキュメント整備を厳格に実施。

  • ポイント

    1. スキーマの後方互換性を担保するため、FederationのDirective設計を細部まで検証

    2. HasuraキャッシュはBIアクセス負荷を大幅削減

    3. 運用後の追加機能はtRPCでクイック対応


まとめ:技術選定と予算配分の最適解

本記事では、Apollo Federation、Hasura、tRPCという3大GraphQL/RPC技術の特徴と、実際の導入事例を通じた費用予算相場感をご紹介しました。選定のポイントは以下の通りです。

  • 小規模・MVP開発:Hasura+tRPCで初期コストを抑制

  • 大規模マイクロサービス:Apollo Federationでチーム分散に対応

  • ハイブリッド構成:Hasura×Apollo×tRPCの組み合わせで柔軟に

  • 発注時の注意:構成を明確化し、不要な開発工数を省く

  • 運用コスト:プラン選定・クラウド配置で数万円~数十万円/月を見込む

どの技術も特有のメリット・デメリットがありますので、開発会社への発注時には要件・体制・予算をしっかり提示し、最適な見積もりを得ることが肝要です。

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