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ContractFlow:APIファースト契約テスト+モック自動生成フレームワーク入門

ContractFlowとは

ContractFlowは、OpenAPI/GraphQLスキーマをベースに、APIのインターフェース設計からモックサーバー自動生成、契約テスト(Consumer Driven Contract Testing)までを一貫してサポートする新世代の開発フレームワークです。従来、要件定義フェーズで仕様書を作成し、その後モック開発→実装→テスト→運用という長いリリースサイクルを経る必要がありましたが、ContractFlowを導入することで、API仕様の確定直後にモック環境が手元で立ち上がり、実装チームとUIチームが並行して開発を進められるようになります。

ContractFlowのコアコンセプトは「Design-First × Contract-Driven」。まずドキュメントとして公開されたAPIスキーマを信頼のソースとし、そこから自動的にスタブサーバーやテスト用クライアントを生成します。テストコードの中では「契約」を明示的に定義することで、APIプロバイダー/コンシューマー間の齟齬をCIパイプラインの段階で検知可能にします。これにより、リリース後の仕様変更による障害やリグレッションのリスクを大幅に低減できます。

さらにContractFlowは、CI連携プラグインを備え、Gitプルリクエストごとに契約テストを自動実行し、失敗した場合はマージできない仕組みを提供。これにより、チーム横断的に「仕様=契約」が常に同期した状態を保証することが可能です。

APIファースト設計のメリット

APIファースト設計とは、画面やバッチ処理などのクライアント実装を行う前に、まずAPI仕様をドキュメントとして公開し、設計の品質を担保する手法です。メリットとしては以下が挙げられます。

  1. 並行開発の推進
    UI/UXチームはAPIモックを利用して画面実装を進められるため、バックエンド実装と高いレベルで並行開発が可能になります。これによりスケジュール短縮やコミュニケーションコストの削減が図れます。

  2. 相見積もり精度の向上
    要件定義書にAPIスキーマ(OpenAPI/GraphQL)を添付して見積もり依頼すると、各システム開発会社は同一のインターフェース前提で工数やコストを試算できるため、見積もり比較時のばらつきが小さくなります。

  3. 保守運用性の強化
    API仕様を一元管理することで、仕様変更履歴が明確化され、後方互換性を保ちつつバージョン管理が容易になります。これにより、保守運用コストの予測とコントロールがしやすくなります。

  4. 品質担保の自動化
    API契約テストをCIに組み込むことで、仕様からの逸脱を自動検知し、デグレードや障害の早期発見につながります。

以上のようにAPIファースト設計は、見積もり依頼時の前提共有から開発品質、保守運用コストまで、プロジェクトのライフサイクル全体にわたる効果をもたらします。

ContractFlowの主要機能

ContractFlowが提供する機能は主に以下の4つです。

  • モックサーバー自動生成
    OpenAPI/GraphQLスキーマを読み込んで即座にモックAPIサーバーを起動。サンプルデータはJSON Schemaやfaker.jsプラグインを通じて自動生成され、エンドポイントごとにパラメータ依存ロジックにも対応します。

  • 契約テストコード生成
    スキーマと一緒にYAML形式の契約シナリオを記述するだけで、MochaやJest、JUnitなど主要テストフレームワークのテストコードを自動出力。テスト実行時にスキーマ検証とレスポンス整合性チェックを同時に行います。

  • CI/CDプラグイン
    GitHub Actions、GitLab CI、Jenkins向けのプラグインを用意。プルリクエスト時にスキーマ差分を自動検知し、新旧契約テストを並列実行。テスト失敗時はマージブロックやチケット自動作成までサポートします。

  • スキーマバージョン管理ダッシュボード
    Web UIでAPI仕様の履歴管理やステータス(ドラフト・レビュー中・リリース済み)の可視化が可能。外部チームや見積もり先へシェアしやすい公開URLを発行できます。

これらの機能を組み合わせることで、要件定義や見積もり依頼時に提示するAPI仕様に対し、テクニカルリスクを最小化しつつ複数社からの正確な相見積もりを獲得できる環境が整います。

ContractFlow導入ステップ

  1. スキーマ定義フェーズ
    要件定義書作成時に、まずOpenAPI 3.1またはGraphQL SDLでインターフェースを定義。既存ドキュメントがある場合は自動変換ツールでインポート可能。

  2. モックサーバー起動
    CLIコマンドcontractflow mockを実行するだけでローカルにモック環境を構築。UI/UXチームや外部ベンダーも同一仕様で動作確認ができる。

  3. 契約テストシナリオ作成
    シナリオYAMLを用いて、エンドポイントごとの正常系・異常系テストケースを記述。サンプル値や境界値もスキーマ依存で自動補完。

  4. CI統合
    CI設定ファイルにContractFlowプラグインを追加。PR/MRパイプラインで自動的に契約テストを実行し、仕様逸脱を即座に検知。

  5. 運用・ガバナンス
    ダッシュボードでリリース済みスキーマのバージョン管理を行い、バックエンド実装チームとAPIプロバイダーへの通知フローを構築。

導入後は、API仕様のライフソースを常に最新化しつつ、見積もり依頼時にも「ContractFlow対応スキーマ一式」を提示することで、開発を受託する会社に対して具体的かつ公平な評価軸を提供できます。

ケーススタディ:大手小売業のマイクロサービス移行

ある大手小売業では、従来のモノリシックな基幹システムをマイクロサービス化するプロジェクトにおいて、ContractFlowを採用しました。移行初期の課題は、複数チームが異なるAPI仕様をそれぞれ試作し、統合時に大規模なインターフェース不整合が発生していた点です。ContractFlow導入後、まず全サービスのOpenAPIスキーマをレポジトリで一元管理し、API設計レビューをオンラインで実施。設計確定と同時にcontractflow mockコマンドでスタブサーバーが自動立ち上がり、画面チームとバックエンド実装チームが完全に並行開発可能となりました。

契約テストの自動化により、マージ時には旧バージョンとの互換性を担保しつつ非互換な変更を禁止。結果として、統合作業の手戻り工数を従来の70%削減し、リリースサイクルを半年から四半期へと大幅短縮できました。特に保守運用段階で、新APIバージョン公開時に自動差分検知→全契約テスト実行→レポート生成、という流れが確立されたことで、障害ゼロのアップデートを実現しています。

ケーススタディ:スタートアップのモバイルアプリ開発

シード期のスタートアップでは、スマホアプリのプロトタイプ開発を最速で市場投入するために、API設計からUIモック、テストまでをチーム内でスピード勝負しました。要件定義フェーズでGraphQL SDLを用いたAPI仕様を策定し、ContractFlowのGraphQL対応プラグインで即座にモックサーバー起動。アプリ開発チームはバックエンドを待たずに実装に着手でき、MVPリリースまでわずか3週間という短納期を達成しました。

さらに、ユーザーフィードバックを元にした仕様変更が週単位で発生しましたが、ContractFlowの契約テストをCIパイプラインに組み込んでいたため、仕様改修に伴うリグレッションをほぼゼロに抑制。小規模チームでも品質とスピードを両立できたことで、開発会社選びにおいても「短期間でのフェーズ分割開発」に強みを発揮し、後続フェーズの受託案件拡大に成功しました。

開発会社選びのポイント

システム 開発会社 選び方 予算 費用 相場 発注の観点では、ContractFlow対応の有無が大きな差別化要因となり得ます。まず、見積もり依頼時に「APIスキーマ一式+ContractFlow用設定ファイル」を提示し、対応可否と対応コストを明示的に確認しましょう。対応実績がある会社は、APIファーストや契約テストの自動化に精通しており、要件定義から保守運用フェーズまでを通じたトータルコスト計算が得意です。

予算策定では、導入ライセンス費用(プロプライエタリプラグイン利用時)やCI/CDプラグイン設定工数、初期スキーマレビュー工数をフェーズ別に細分化し、相見積もり比較の項目に追加しておくことが重要です。特に「要件定義」「設計」「実装」「テスト」「保守運用」各フェーズの工数と単価を個別に比較し、合計金額だけでなくフェーズごとのばらつきが小さい会社を選ぶことで、予算超過リスクを抑えられます。

ライセンスモデルと費用シミュレーション

ContractFlowはオープンソース版とエンタープライズ版(商用プラグイン含む)があり、導入規模や自社CI環境との親和性に応じて選択可能です。オープンソース版は無償で利用できますが、商用サポートや拡張プラグイン(GraphQL連携、ワークフロー通知機能など)はエンタープライズ版が必要です。

費用対効果を可視化するためには、対象APIエンドポイント数と契約テストシナリオ数を基にライセンス費用を算出し、①手作業テスト工数削減②障害対応工数削減③リリースサイクル短縮によるビジネスインパクトを定量化します。例えば、月次リグレッションテストに要する10人時を自動化で2人時に低減した場合、初年度で約96人時の削減効果(8人×12ヶ月)となり、ライセンスおよび運用コストを上回るROIが期待できます。

契約テスト+モック活用の今後展望

API連携が多様化し、外部パートナーやサードパーティサービスとの統合が増える中で、ContractFlowのような契約駆動開発フレームワークは必須ツールとなりつつあります。特にB2Bシステム開発会社や大規模SIerでは、顧客向けに「モック環境提供+契約テストレポート」を納品できる体制を整えることで、差別化提案が可能です。

今後は、gRPCやStreaming API、イベント駆動アーキテクチャ(Kafka, Pulsarなど)への対応も計画されており、マイクロサービス全体の契約駆動品質保証を実現するエコシステムへと進化が期待されます。これにより、従来のREST/GraphQLだけでなく、リアルタイム通信を伴う業務システム開発にも水平展開が可能となるでしょう。

ビジネス成長フェーズにおいては、ContractFlowを活用したPoC実績をベースに開発会社選びやRFP策定を行うことで、技術リスクを最小化しつつ迅速な受託開発受注に繋げることができます。

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