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Webhookとは?双方向のシステム連携を実現するリアルタイム通知の仕組みを解説

複数のサービス間でリアルタイムに情報を連携したい──そんな要件をもつシステムで、近年よく使われている技術が「Webhook(ウェブフック)」です。

SaaS連携、決済完了通知、チャット自動投稿、システム間トリガー処理など、Webhookは“受け身”なAPI連携とは異なる、イベントドリブンな設計を実現する仕組みとして注目されています。

この記事では、開発を外注する側の担当者にもわかりやすく、Webhookの基本構造・使われ方・導入時の注意点を解説します。

よくある課題:ポーリングによる遅延とサーバー負荷

従来のAPI連携では、クライアント側が「定期的に相手システムに問い合わせて状態を確認する(ポーリング)」方式が主流でした。

しかしこの方式では、次のような課題があります。

  • 数分〜数時間に1回の確認ではリアルタイム性がない
  • 確認のためだけのリクエストが大量に発生し、サーバーに負荷がかかる
  • 更新がなかった場合でも無駄な通信が繰り返される

こうした非効率を解消する仕組みとして登場したのが「Webhook」です。

Webhookの仕組みと基本構造

Webhookとは、「イベントが発生したときに、事前に登録されたURLに対して通知を送る」仕組みです。

動作の流れ(基本構成)

  1. 通知先となるURL(エンドポイント)を登録
  2. イベントが発生すると、外部サービスがHTTPリクエスト(POST)を送信
  3. 自社システムでそのリクエストを受け取り、必要な処理を行う

例:決済サービスのWebhook連携

  • StripeやSquareで決済が完了したタイミングでWebhookが発火
  • 事前に設定しておいた自社のURLに通知が送られる
  • 自動で注文ステータスを「支払済」に更新したり、メール送信などの処理を行う

使われ方の代表例

  • フォーム送信通知(例:Typeform → Slack投稿)
  • GitHubのPushイベント通知 → CI/CDの実行
  • Shopifyで注文発生 → 在庫管理システムへ通知
  • Stripeで支払い完了 → ユーザーへメール送信

Webhook導入時の技術的な注意点

Webhookは非常に便利な仕組みですが、受け手側の設計や運用に注意が必要です。

1. 到達保証とリトライ設計

  • Webhookは基本的に「送信されるだけ」であり、失敗しても自動で再送されないことが多い
  • 通知受信時には必ず200 OKを返すように設計し、内部処理に失敗してもログと再処理でカバーする

2. セキュリティ対策(なりすまし防止)

  • 送信元が正規のサービスかどうか、署名付きのHMAC検証やIPアドレス制限などを導入する
  • パラメータ改ざんを防ぐため、リクエスト内容の検証も重要

3. 冪等性の確保(同じ通知が複数来ても安全に処理できる)

  • 同じイベントが複数回通知される可能性を考慮し、「一度だけ処理される」ような設計(リクエストIDの重複チェックなど)を行う

4. スケーラビリティと非同期処理

  • 突発的に多数のWebhookが送られてきた場合でも処理落ちしないよう、キュー処理や非同期ジョブ設計を取り入れる

Webhook導入に向いているユースケース

以下のようなシステムでは、Webhookの活用が大きな効果を発揮します。

  • 決済/注文/アカウント登録などの「イベント発生→即時処理」が求められる業務
  • チャット通知や外部連携が頻繁な業務ツール系アプリ
  • 他社SaaSとの自動連携が多数ある統合系システム
  • 開発スピードを重視し、柔軟な自動処理フローを構築したいスタートアップ

開発依頼時に確認しておくべき仕様項目

Webhookを導入する際、発注者側として次のような観点を明確にしておくとスムーズです。

  • どの外部サービスから通知を受ける予定か?
  • 受け取った通知でどんな処理を実行したいか?
  • 通知失敗時のリトライやバックアップ処理の要否
  • 通知内容(JSON)をどう検証するか?
  • ログの保存期間、再送処理の運用方針
  • 非同期処理で問題ないか、リアルタイム性が必須か

まとめ:Webhookは“能動的なAPI連携”を実現する強力な武器

Webhookは、外部サービスとの双方向の連携をリアルタイムで実現できる仕組みです。ポーリングのような“受け身”の連携ではなく、**「イベントが起きたら即通知される」**という特性を活かすことで、業務の自動化や即時性を大きく向上させられます。

ただし、その設計と運用にはセキュリティや到達保証、冪等性といった慎重な配慮が必要です。

開発を外部に依頼する場合も、「Webhookで連携したい」といった表現だけではなく、「〇〇というイベント発生時に、XXの処理を確実に実行したい」といった具体的な利用目的まで明示することで、より的確な設計提案を受けることができるでしょう。

Webhookは、連携を“受け身”から“仕組み化された即応”に変える技術──その力を正しく活用することで、システムの柔軟性と即時性を一段と高めることが可能になります。

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