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Edge Functionフレームワーク比較:Cloudflare Workers・Vercel Edge・Fastly Compute@Edge入門

Edge Functionとは?次世代サーバーレス基盤の基礎

Edge Functionは、従来のクラウドリージョン単位で動作するサーバーレス関数と異なり、CDNネットワークのエッジポイント(世界各地のキャッシュサーバー)でコードを実行します。ユーザーに最も近い場所で処理を行うため、APIレスポンスはミリ秒オーダーで返り、システム全体のレイテンシを劇的に低減できます。初期の検証では、東京―大阪間のHTTP往復時間が100ms程度だったケースが、Edge Function導入後は10ms以下に改善した事例もあります。
エッジコンピューティングのメリットは主に以下の3点です。

  • 高速レスポンス:ユーザーの位置に最も近いノードで実行し、遅延を最小化

  • 負荷分散:トラフィックをネットワーク全体で分散処理し、一極集中を回避

  • 帯域節約:キャッシュ付きレスポンスや部分的なHTML生成でオリジンサーバー負荷を軽減

例えば、ECサイトでページキャッシュとAPI集約をEdge Functionで実装すると、従来必要だった「システム側のサーバー拡張」や「CDNキャッシュ設定」の工数を大幅に削減でき、追加のインフラ費用が抑えられます。発注先の開発会社を選ぶ際は、Edge Functionの運用経験やマイクロサービス化対応実績を確認し、「選び方」のポイントとしてプロジェクト要件に適合するかどうかを見極めることが重要です。

Cloudflare Workersの特徴と費用相場

Cloudflare Workersは、Edge Functionの代表格で、JavaScriptやTypeScript、Rust、C++など多言語をサポートします。開発者はWorkers独自のAPIを利用し、既存のWorkers KV(Key-Valueストア)やDurable Objects(ステートフルオブジェクト)と連携可能です。主な特徴は以下の通りです。

  1. グローバル展開:200以上のエッジロケーションで稼働し、どの国のユーザーにも均質な性能を提供

  2. 開発スピード:Wrangler CLIによるローカルテストとワンコマンドデプロイで、システム全体の開発期間短縮

  3. 無償枠と従量課金:無料プランで月間100万リクエストまで対応可能。超過分はリクエスト単価$0.50/100万リクエスト程度

  4. 拡張ストレージ:追加でWorkers KVやR2(S3互換オブジェクトストレージ)を統合しデータ保持もOK

費用相場としては、プロダクション環境で月間1,000万リクエストを想定した場合、無料枠を超えた900万リクエストに対して約$4.50のコストが発生します。加えて、Durable Objects利用やKVストレージ容量(月間$5~$50程度)を加味しても、従来のVMやコンテナ運用に比べて「費用」負担は圧倒的に低く抑えられます。

発注時の「予算」検討では、Workersの従量課金モデルを踏まえ、ピーク時想定リクエスト数とデータストレージ使用量を要件定義書に明記しておくと良いでしょう。また、CloudflareのEnterpriseプランを利用する場合、FIXED料金でパフォーマンス保証やSLAを組み込めるため、安定運用を重視する場合のコスト相場把握にも役立ちます。

Vercel Edge Functionsのメリットとユースケース

Vercel Edge Functionsは、Next.jsフレームワークと深く統合されたEdge Functionです。主にフロントエンドエンジニアが馴染みやすいTypeScript/JavaScript環境で、Next.jsのAPI Routesやミドルウェアとしてエッジで動作する機能を提供します。Vercelの特徴は以下です。

  • Git連携デプロイ:GitHubやGitLabプッシュで自動ビルド&デプロイ。発注後のCI/CD構築工数を削減

  • ISR(Incremental Static Regeneration):ページを静的生成しつつ、更新時のみ新たにビルドしてエッジキャッシュを更新

  • 分析ダッシュボード:リクエスト統計、パフォーマンスモニタリングを可視化し、運用コストの最適化に貢献

  • チームコラボレーション:プレビュー環境をプルリク単位で自動生成し、ステークホルダーへの共有が簡単

費用面では、無料プランでも月間100ギガバイト転送量までサポート。Proプラン(月額$20/ユーザー)でビルド分散やチーム機能を追加でき、Enterpriseプランでは従量課金を固定費化して予算管理しやすくなります。相場として、月間10万ビルド分散&データ転送量50GB規模のスタートアップであれば、Proプラン1~2人分のコスト($40~$80/月)と予算感としてはほぼ同じです。
Vercelを活用する発注先の「選び方」は、Next.jsとの親和性やUI/UX開発経験を重視し、ライブラリ共存時のバンドルサイズ最適化ノウハウがあるかどうかをチェックすると良いでしょう。

Fastly Compute@Edgeの特性と導入費用

Fastly Compute@Edgeは、WASM(WebAssembly)実行環境上でEdge Functionを開発できるプラットフォームです。RustやAssemblyScriptなどネイティブに近いパフォーマンスで軽量実装が可能で、CDNプロバイダーとしてのFastlyのエッジノードをフル活用できます。主な特長は次の通りです。

  1. 高性能:WASMバイナリ実行による高速処理と低メモリ消費

  2. プラグインアーキテクチャ:VCL(Fastlyのカスタム言語)とも連携し、既存CDN設定と併用可能

  3. リアルタイム設定反映:管理画面からのコード更新が即座に全エッジに展開

  4. 従量課金+固定費オプション:月間リクエスト数やデータ転送量に応じた従量課金制と、Enterprise向けの固定費プランを選べる

導入費用は、初期設定費用20万円程度に加え、従量課金が1百万リクエストあたり$0.45前後。大規模トラフィック向けには固定費プランで「相場」よりも低コストに抑えられる場合があります。発注前にはトラフィックピーク予測を開発会社と協議し、従量課金制で予算をいくら見込むか、または固定費オプションでコスト上限を設定するかを決めておくと、「予算」超過リスクを回避しやすくなります。

開発フローとCI/CDパイプライン構築

Edge Function開発では、「コードを書いてすぐにエッジにデプロイ」というスピード感が魅力ですが、同時に品質を担保するCI/CDパイプライン整備も重要です。一般的な流れは以下のようになります。

  1. ローカル開発・エミュレーション:Wrangler(Cloudflare)、Vercel CLI、Fastly CLIなどを使い、ローカル環境でエッジ関数を実行・デバッグ

  2. ユニットテスト:関数単位でロジックをテスト。JestやMochaを活用し、ビジネスロジックの品質を担保

  3. 統合テスト:ステージング環境でエッジとオリジンサーバーの連携を検証。APIレスポンスやキャッシュ動作をチェック

  4. コードレビュー&セキュリティスキャン:ESLint/Prettierだけでなく、依存パッケージの脆弱性チェック(npm auditなど)も実施

  5. 自動デプロイ:GitHub ActionsやGitLab CIでプッシュイベントをトリガーに、本番エッジへのデプロイを自動化

たとえばCloudflare Workersなら、wrangler publish --env productionをCIジョブに組み込み、プルリク承認後に自動で本番環境へ反映できます。VercelではGit連携を有効化すると、mainブランチのマージで即座にEdge Functionsを含むアプリ全体がデプロイされます。Fastly Compute@Edgeでも、Fastly CLIとGitHub Actionsを組み合わせ、Pull Requestマージ時に自動でプッシュ・有効化する設定が可能です。これらを活用することで、ヒューマンエラーによる「発注」ミスや手動デプロイによるダウンタイムを回避でき、結果として「費用対効果」を高められます。

セキュリティと認証対策

エッジで動作する関数は、インターネットに近いポイントで実行されるため、認証・認可と通信の保護が欠かせません。主な対策は以下です。

  • JWT認証:エッジでJWTトークンの検証を行い、オリジンサーバーへの不要なリクエストを防止

  • APIキー管理:環境変数やSecret ManagerでAPIキーを安全に保持

  • TLS強制:CloudflareやVercel、FastlyではHTTPS通信のみを許可する設定を有効化

  • CSRF/CORS制御:エッジ関数内でオリジンチェックやトークンチェックを実装し、不正リクエストを遮断

  • WAF連携:Cloudflare WAFやFastly WAFでレートリミットやSQLインジェクション対策を組み合わせ

これらのセキュリティ要件は、要件定義時に開発会社へ「選び方」の一つとして提示し、見積もり時に「セキュリティ対応」は別途工数として明示してもらうことが重要です。TLS証明書の管理もクラウドベンダー標準機能を活用することで運用コストを抑えられます。

ロギングとモニタリング戦略

Edge Functionは従来のサーバーと異なり、実行ごとに短命であるため、ログやメトリクスの収集設計が肝になります。おすすめの設定は次のとおりです。

  • 構造化ログ:JSON形式でリクエストID、ステータスコード、処理時間、エラー情報を出力

  • ログ集約:Cloudflare Logpush、Vercel Analytics、Fastly Real-time Log Streamingを利用し、S3やElasticsearchへ転送

  • メトリクス収集:Cloudflare Analytics API、Vercel Analytics、Fastly Insightsでリクエスト数・エラー率・レイテンシを可視化

  • アラート設定:DatadogやGrafana、CloudWatch等の外部監視ツールに連携し、閾値超過でSlack通知

これにより、Edge環境でもエラー発生時やパフォーマンス劣化の兆候をすばやくキャッチでき、運用保守フェーズでの追加障害対応コストを抑制できます。またログ保管期間やデータ転送量を適切に制限しないと「費用」が膨らむため、保管ポリシーを定義しておくことも忘れないでください。

コスト最適化テクニック

Edge Functionは従量課金モデルのため、実行回数やデータ転送量に応じた最適化が重要です。具体的には:

  1. レスポンスキャッシュ:CDNキャッシュヘッダーを活用し、動的部分だけEdge Functionで処理

  2. バンドルサイズ削減:不要ライブラリを排除し、起動時間と実行時間を短縮

  3. バッチ処理:頻度の低いバッチ枠で一括処理し、ピーク時のリクエスト数を分散

  4. コンカレント実行制限:Functionの同時実行数制限を設け、従量課金を抑制

  5. 帯域圧縮:HTTP圧縮(Gzip, Brotli)をEdgeで有効化し、転送データ量を削減

これらを実装することで、従量課金費用を20~30%程度削減できるケースが多く、「予算」策定時には必ず最適化要件を要件定義書に盛り込み、開発会社に対応を委ねるようにしましょう。

開発会社選びと発注時のポイント

Edge Functionは新しい技術領域のため、選定時に見るべきポイントは以下です。

  • 導入実績:Edge Functionを使ったプロダクション案件の本数

  • マルチプラットフォーム対応:Cloudflare, Vercel, Fastlyなど複数環境の経験

  • セキュリティ/運用スキル:認証・暗号化・WAF設定実績

  • CI/CD構築力:GitOpsやIaC(Terraform/ Pulumi)連携の経験

発注時には、RFPで「対応フレームワーク」「想定トラフィック」「キャッシュ要件」「セキュリティ要件」「CI/CD要件」を具体的に提示し、各社から詳細な見積もりを取得しましょう。コスト比較時には、初期開発費用だけでなく運用保守費用や従量課金予測も含めたTCO試算を行うことが重要です。

まとめと今後の動向

Edge Functionは、ミリ秒レイテンシとグローバル分散処理を実現する次世代技術です。Cloudflare Workers、Vercel Edge Functions、Fastly Compute@Edgeのいずれも強力ですが、適切なフレームワーク選びと開発会社選定、要件定義が「コスト最適化」と「品質担保」の鍵となります。現時点ではバンドラー最適化やキャッシュ設計、CI/CD統合など初期設定に工数がかかるものの、中長期的には追加インフラ費用を抑え、開発スピードを飛躍的に向上させる効果があります。まずは

で貴社プロジェクトの費用感をスピードチェックし、Edge Function導入の第一歩を踏み出しましょう。

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